フォトエッセイ 猫に呼ばれて世界の街へ【第1回】
はじまりの猫

私が旅先で猫の撮影を始めるきっかけとなったのは、旅行中に出会ったある猫でした。

その猫と一緒にいると、とても居心地がよく、初めて会う気がしない不思議な縁を感じました。彼はとても穏やかな性格で、よく寝て、好き嫌いをハッキリ意思表示する猫でした。気が付くと彼は私の傍に寄り添い、まるで私の言葉を理解しているかのような仕草をし、時には自然と一体になったような美しい姿を見せてくれました。

このような彼との交流を通じて、猫の個性や魅力にどんどん惹かれていきました。ほどなくして「彼を撮影したい」という思いを抱くようになり、カメラを手にすることになったのです。

今の自分があるのはこの猫と出会ったおかげだと感じています。これからも旅先での出会いを大切にし、猫の美しさや魅力を彼らが暮らす環境とともに伝えていきたいと思っています。

この連載では、そんな猫たちを紹介していきます。

【文・写真】
町田奈穂(まちだ・なほ)
埼玉県出身。世界中を旅しながら、地域の猫を撮影している。猫の表情や仕草、猫が暮らす環境の色と光に重点を置いた写真が特徴。2023年に世界一周旅行を達成し、初の個展を開催。その他、企業カレンダーやグループ展など精力的に活動中。
Instagram:cat_serenade
X(旧Twitter):naho_umineko