動物病院の役割はヘルスケアの時代へ
ペットの健康診断を推進する獣医師団体、一般社団法人Team HOPEは2023年9月14日、設立より10周年を迎えたことを記念し、「ペットの健康寿命延伸のために…シックケアだけではなくヘルスケアの時代へ」と題したプレスセミナーを実施しました。
最初に「Team HOPE」創立者の太田亟慈さん(獣医師)より「Team HOPEの理念と10年の歩み」について説明がありました。それによると、「ペットの健康診断の普及」「ペットの健康寿命の延伸」「ペットとの幸せな生活を通じた豊かな社会作りへの貢献」をミッションに掲げて発足した「Team HOPE」は、賛同者を年々増やし、現在では2,722軒の動物病院が登録しているとのことです。
この間の取り組みとしては、全国統一の健康診断項目を策定し、2017年に10月13日(じゅういさん)を「ペットの健康診断の日」に、2021年には2月22日(にゃんにゃんにゃん)を「猫の健康診断の日」に制定するなどし、ペットの健康診断の普及に向けた活動を推進してきました。
それら取り組みにより、「Team HOPE」に登録している動物病院での定期健診受診率は、調査開始の2016年とくらべ、2022年では犬で約1.4倍、猫では約1.7倍に伸長しています*。
今後の展開としては、さらに質の高い健康診断の実施や受診のさらなる定着に向け、ウェブサイト**やYouTube***などを活用し、精力的に情報発信を続けていく方針です。
*定期的に健康診断を受診している犬…2016年=39%・2022年=55%、猫…2016年=24%・2022年=40%
**ウェブサイト https://www.teamhope.jp/
***Team HOPEチャンネル【公式】https://www.youtube.com/@teamhope2395、ジョージ先生が行く! Team HOPE動物病院訪問記 https://www.youtube.com/@teamhope4426
Team HOPE「わんにゃん健康マニフェスト」
「Team HOPE」学術顧問の石田卓夫さん(獣医師)からは「これからの犬と猫の健康診断」と題した講演がありました。石田さんは、犬や猫との生活が人の体や心の健康に及ぼす好影響などを紹介したうえで、犬や猫の健康寿命の伸長が人の健康寿命の延長につながるという側面からも、「獣医学はまさに社会のためにあるもの」と強調しました。
「Team HOPE」代表の上條圭司さん(獣医師)からは、今後の10年に向けた方針の説明があり、これまでの活動をさらに進化させていくための施策として、「健康診断メニューの改定」「広報の強化」「愛玩動物看護師の組織化」が掲げられました。さらに、犬や猫と幸せに暮らすための「わんにゃん健康マニフェスト」として、以下3点の達成目標が掲げられました。
1:日本の犬・猫の平均寿命を、1年伸ばします。
2:質の高い健康診断の受診率を、人間と同程度(約60%)に高めます。
3:動物病院をシックケアだけではなく「ヘルスケア」の場にします。
健康診断優秀賞を表彰
続いて「Team HOPE健康診断優秀賞」の表彰式が行われました。今回は、毎年継続して健康診断を受診している6家庭(犬14頭)が選ばれ、現地参加の柴犬だいふくママさん(柴犬だいふくくん)、リモート参加の橋本悦子さん(マイアちゃん、エマちゃん、ルルちゃん)、竹内友紀さん(心春ちゃん)、窪香織さん(ココロちゃん、シズクちゃん)、今村美江さん(モカちゃん、ノアちゃん、チンくん、ラムちゃん)、八木竜介さん(はちちゃん、ろくちゃん、よんちゃん)にそれぞれ表彰状が贈られました。受賞した柴犬だいふくママさんからは「Team HOPE、獣医師、飼い主のトライアングルにより、ペットのウェルビーイングを向上させていきたい」と今後の抱負が述べられました。
人と同様、犬や猫も病気をなくすことはできません。また、もし病気になったとしても、早期発見・早期治療が望ましいことも同様です。さらに、犬や猫の1年は、人に当てはめると4~5年に相当します。そのため、犬や猫がより健やかに暮らすためには、人よりも頻回の健康診断が求められます。まずはこの秋、かけりつけの動物病院に相談してみてはいかがでしょうか?
写真:柴犬だいふくママさん(右)をはじめ、6家庭(犬14頭)に「Team HOPE健康診断優秀賞」が贈られました。
写真:左から太田亟慈さん、上條圭司さん、柴犬だいふくママさん、柴犬だいふくくん、石田卓夫さん。上部モニターはリモート参加のみなさん。