フォトエッセイ  犬と人が織りなす文化の香り【第1回】南フランス・プロヴァンス

犬の撮影経験豊富なカメラマンがこれまでに撮影した、海外で暮らすワンコたちと犬にまつわる風景の美しいショットをお届け。

今回は、南フランス・プロヴァンス地方の文化とワンコたちを紹介します。

エクス=アン=プロヴァンスのギフトショップ

古都・エクス=アン=プロヴァンスのギフトショップ。ラベンダーのサシェやワイン、名産品のオリーブとハーブで作られたせっけんなどが販売されています。プロヴァンスの住まいの特徴は、石積みの家が多いこと、そして縦に細長い小さな窓がいくつもあること。この窓を外側から彩っているのが、水色の雨戸の“Vole(ヴォレ―)”。フランス語の”盗む”からきた言葉で、「泥棒除けの雨戸」という意味です。

水の都ではワンコもダイブ!

多くの人がバカンスに訪れるプロヴァンス。そのなかでもリル・シュル・ラ・ソルグは、ソルグ川に囲まれた水の都、そしてアンティークマーケットの街としても有名です。

運河が流れている地下はひんやりとしているため、プロヴァンス自慢のワインやチーズの貯蔵庫として活用されています。水が豊かな街中には、噴水や運河に飛び込んで遊ぶ犬、そしてその近くの芝生でじゃれあう犬たちが。

飼い主さんたちはその傍らでブランケットを敷き、マルシェで調達したバケットやハム、チーズ、ワインなどを楽しむ。こんな映画のワンシーンのような光景が日常なのが、このプロヴァンスです。

看板犬がお出迎え

中央に見えるピンク色の建物は、古い修道院を改築した“シャンブルドット(民宿)”。看板犬のラブラドール・レトリーバーがいつもお出迎えしてくれます。リル・シュル・ラ・ソルグの街に滞在するときは、いつもここに泊まります。ここはマルシェの裏側に面しているため、街の人たちの抜け道にもなっているようです。早朝のマルシェに行き来する人たちの、日々の暮らしをのぞき込むことができました。

フランスもお散歩マナーは大切です

小さな街をのんびり歩いていると、マルシェやアンティーク市でたくさんの犬たちとすれ違いました。

これは、くねくねとした裏路地や公園を抜けるとき、目に飛び込んできた犬のサイン。「ここからは犬にリードを付けてください」という意味です。フランスでは、テリア種をシルエットにしている犬のサインを多く見かけることができます。

フランス流“猛犬注意”

エクス=アン=プロヴァンスにて、レストランの店先に貼られていたタイル。“猛犬注意”のサインですが、レトロな模様とイラストが素敵です。お店のテラスでは、実際は猛犬ではなくゴールデン・レトリーバーがお昼寝していました。フランス流のユーモアなのかもしれませんね。フランスでは、こうしたサインのひとつをとってもエクステリアを重要視しています。

【写真・文】
蜂巣文香(はちす・あやこ)
写真家。犬、猫、コンパニオンバードなどのペット写真をはじめ、手仕事やライフスタイルなどさまざまな分野で“伝わる”写真を日々撮影している。広告や雑誌、書籍、WEBなど幅広く活躍中。欧米を中心とした海外での撮影経験も豊富。愛犬雑誌「Wan」(緑書房)でもおなじみのカメラマンで、柴犬をモチーフにしたカレンダーシリーズ「しばいぬ(卓上)」「日本の柴犬(壁掛け)」「黒柴(壁掛け)」(緑書房)も毎年好評を博している。
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