動物業界のお仕事:動物医薬情報担当者(ゾエティス・ジャパン)

「いきもののわ」6月の特集では、いろいろな「動物業界のお仕事」を紹介していきます!

今回は、動物用の医薬品メーカーでMR(医薬情報担当者)をしている伊藤さんに、1日の業務や就職までの経緯、この仕事を目指す人へのアドバイスなどをお聞きしました!

写真:ゾエティス・ジャパンの伊藤さん

動物用医薬品のMRは、動物病院に訪問して自社が販売している薬の情報を伝えたり、疑問を解決したりするのが主な業務です。

朝は販売代理店への訪問からはじまります。担当している動物病院の情報や、動物病院で採用されている薬の使用状況などの情報を交換します。

写真:販売代理店との打ち合わせの様子

日中は、動物病院の診察時間の合間に、獣医師の先生に面談のアポイントを取って訪問します。タイミングによっては、それ以外の時間帯(診察時間中)に面談していただける場合もあります。また、より製品を知ってもらうために動物病院での院内セミナーなどを実施しています。

写真:院内セミナーを実施することも

事務仕事やオンライン会議は、外出中の空き時間に車の中などでしています。そのため、ノートパソコンとオンライン会議システムが業務に欠かせません。

当社は新薬を販売することが多いので、薬を活用していただくまでの情報提供に時間がかかることが多くあります。しかし、それまで治療がうまく進んでいなかった犬や猫などの症状が、私が販売した薬のおかげで改善したときには喜びを感じます。また、治療の選択肢を増やすことで獣医療の発展に貢献できることにもやりがいを感じています。

子どものころから動物が好きで、ウサギ、ハムスター、犬などを飼っていました。小学生のときには飼育委員として一生懸命に動物のお世話をしていました。なので、子どもの頃から漠然と「動物にかかわる職業に就きたい」と考えていました。

大学に進学し、動物に関して幅広く学んでいるうちに、生化学の分野に興味をもつようになりました。そして、動物と生化学のどちらの分野にもかかわれる職業を調べているうちに動物医薬の業界を知り、興味をもちました。

写真:伊藤さんの愛猫たち

獣医学や生命科学を学べる大学に進学して、専門的な知識を身につけ、卒業後に動物医薬を販売する会社に就職しました。その会社から転職をして、現在の会社で働いています。

今は、医療機器、サプリメント、フード、保険、ITシステムなど多くの分野が獣医療に関わっているので、ここで紹介した動物医薬以外にも獣医療にかかわれる職業がたくさんあります。また、ペット産業だけでなく畜産産業まで視野を広げると、さらに多くの仕事が見つかりますよ。

動物医薬のMRは、おもに動物病院で働く「人」と関わる仕事です。そのため、コミュニケーション力や学習力が求められることを伝えたいです。

直接的に動物や、動物の「いのち」に関わることはありませんが、医療の進歩にまつわる情報を的確に獣医療の現場に伝えることで、動物と飼い主さんの幸せな時間をサポートできる仕事だと思います。

伊藤麻衣(いとう・まい)
ゾエティス・ジャパン株式会社 コンパニオンアニマルビジネス統括部 中日本営業部