動物業界のお仕事:ペットフードメーカーの研究開発職(キョーリン)

「いきもののわ」6月の特集では、いろいろな「動物業界のお仕事」を紹介していきます!

今回は、ペットフードメーカーで新商品の研究開発をしている上岡さんに、1日の業務や就職までの経緯、この仕事を目指す人へのアドバイスなどをお聞きしました!

写真:キョーリンの上岡さん

朝礼にて、1日の業務や連絡事項を社内の関係者と共有します。朝礼を終えた後に、午前中の業務として実験水槽の給餌・観察や測定などをしています。

写真:色差計で魚の体色を測定する

お昼休みを挟み、午後からは実験水槽の給餌やメールチェックをします。その後、チーム内で1時間ほど新商品の開発に関するディスカッションをしたのちに、文献調査を行います。夕方からは研究にまつわる装置の組み立てや実験水槽の世話をし、18時頃に帰宅します。

写真:水槽の世話も業務の一環

自分の考えたアイデアや研究の成果が、実際の商品として形になったときにやりがいを感じます。思っているような結果が出ずに試験に行き詰まることも多いですが、自分が開発した商品がホームセンターなどの店舗に並んでいるのを目にすると、苦労して良かったと実感できます。魚の食性や習性を考えて、栄養バランスや嗜好性にこだわった商品が、世界中の魚に使われることで、ちょっぴり世界に貢献できたのかなと感じます。

写真:研究の成果が商品となることがやりがい

小さい頃から魚が好きで、水族館や釣りに行くのが楽しみでした。魚の世界に興味をもち、その魅力にどっぷりと浸かることができる仕事を見つけたいと思っていました。

そこで、水産関係の大学に進学し、魚に関わるさまざまな分野に触れる中で、ペットフードの研究者という仕事に魅力を感じました。魚の栄養や生態に関する知識を活かし、魚の健康や幸せにつながる商品を開発することができる仕事は、私の夢にぴったりだと感じていました。また、大企業よりも中小企業で働くことを望んでいました。中小企業の方が自分のアイデンティティを大切にし、自由な発想で新しいことに挑戦できるのではないかと考えていたからです。

写真:キョーリン 山崎研究所の外観

水産関係の大学院で魚について学んだ後、キョーリンに入社しました。

大学院では、魚類に対する海洋酸性化の影響についての研究をしていました。魚に関する幅広い知識や論理的な思考や実験の進め方について学びましたが、専門分野の知識よりも、科学的なアプローチや問題解決能力を身につけられたことが大きかったと思います。

キョーリンに入社してからは、1年間営業職として勤務しました。営業では、ユーザーや流通の人間が商品を選ぶプロセスについて学び、ユーザーのニーズを把握することの重要性を実感できました。その後、社内公募に応募して現在の研究職に就きました。

「生き物を観察する力」と「コミュニケーション能力」の2点を高めることをアドバイスしたいです。

魚用フードの研究者になるためには、対象の生き物をよく観察することが重要です。生き物のちょっとした行動から製品改良のアイデアが生まれることがあります。研究を進めるうえでは論理的な思考が大切ですが、生き物に対する直感は欠かせません。日ごろから生き物をよく観察することで直感が磨かれると思います。

写真:生き物を観察する力は欠かせない

また、商品の開発では他の部署やチームメンバーと協力して仕事を進める必要があります。とくに生き物を扱う仕事では他の人に頼らざるを得ない部分があるので、日ごろからのコミュニケーションが重要です。

上岡聖也(うえおか・せいや)
株式会社キョーリン 山崎研究所勤務