動物業界のお仕事:動物用医薬品メーカーの学術職(日本全薬工業)

「いきもののわ」6月の特集では、いろいろな「動物業界のお仕事」を紹介していきます!

今回は、日本全薬工業で学術職をしている杉本さんに、1日の業務や就職までの経緯、この仕事を目指す人へのアドバイスなどをお聞きしました!

*資料作成、社内・社外への情報発信、営業の支援などを、学術的な面から行う職種

写真:日本全薬工業の杉本さん

1日の業務について教えてください!

当社は動物用医薬品業界ではめずらしい、直販体制を採用しているメーカーです。そのため、学術職の業務は多岐にわたります。

私の主な業務は、営業の同行支援、院内セミナーの実施、お問い合わせへの対応、学会出展、専門家の方々との面談、製品販売戦略会議への参加などです。これらの活動を通じて、製品の正確な情報を提供することで「動物病院での日常診療の支援」および「獣医療の発展への貢献」を目指して活動しています。決まった1日のスケジュールはありませんが、例として業務の流れを紹介します。

朝はまず資料作成、メールの確認、お客様からいただいたお問い合わせへの対応をしながら、営業担当者と一緒にその日の準備を進めます。

写真:社内で資料作成や問い合わせ対応を行う

日中は営業との同行や、動物病院などでのセミナーのために外出します。営業同行では、獣医師の先生に製品情報を提供することで、製品に関する疑問点の解消に努めます。院内セミナーでは、治療領域ごとの疾患の特性や治療方法、そして自社の製品がどのように治療の役に立つかを伝えます。外出する予定がない日には、社内で資料作成や会議に専念することもあります。

写真:院内セミナーで自社の製品を解説する

夕方は、販売戦略会議にて、自社の各マネージャーやビジネスパートナーと、今後の製品プロモーションについて議論します。

仕事のやりがいを教えてください!

学術職は業務内容が多岐にわたるため、やりがいを感じられる場面も非常に多いと実感しています。

現場での活動では、先生方との面談を通じて製品の理解や納得を得られたときや、営業から感謝の言葉を受けたときに、大きなやりがいを感じます。また、実施したセミナーで多くの質問を受けたときには非常に充実感を覚えます。

写真:獣医師会でのセミナー実施風景

製品のプロモーションに関しても、準備していた説明資料が世に出たときや、その資料が現場で活用されるのを見たときには大きな喜びを感じます。

写真:学会のブースでの製品説明も業務のひとつ

どうしてこの職に就こうと思ったのですか?

幼いころから動物と触れ合う機会がたくさんありました。道端でケガをして飛べない鳥や、調子の悪そうな猫を見ることもよくあったのですが、どうすれば治るのかが全く分からず、とても悔しい思いをしました。この経験から「動物の体をもっと知りたい」という強い気持ちが生まれ、獣医学科への進学を決意しました。

大学で学ぶうちに、「広く獣医療に貢献したい」という思いが強くなりました。そして新たな薬を開発し、その情報を正確に伝えるためにも、製薬会社でありながら直接現場にも出向くことのできる今の仕事を志望するようになりました。

就職までの経緯を教えてください!

企業の合同説明会や、会社説明会などへの参加を経て、今の職へ就きました。私は新卒での入社時から現在の部署に所属していますが、別の部署で経験を積んでから移動してきた人や、臨床獣医師から転職した人もいます。

この職を目指す学生さんに、アドバイスはありますか?

この仕事では、正確で豊富な製品情報の把握が求められます。私たちの部署が作成する資料は、全国の営業員を通じて臨床獣医師に説明され、影響力を与えるものなので、正確性が非常に重要です。また、面談などで相手のもつ不明点や潜在ニーズを引き出すための、円滑なコミュニケーション能力も必要です。このように多様な能力が求められ、責任も伴うため、非常にやりがいのある仕事であることは間違いありません。

アドバイスと呼べるほどのものではありませんが、今いる環境で学習やコミュニケーションを楽しむことが、いつかこの仕事の助けになると思います。

杉本良輔(すぎもと・りょうすけ)
日本全薬工業株式会社 CA営業本部 CA販売戦略部 CAテクニカルサービスチーム