高さがあって食べやすい! とさまざまな猫たちに愛されている「脚付フードボウルシリーズ」。2014年から多くのファンに支持されてきたシリーズに、2022年から新しく仲間入りした斜めの食器「脚付にゃにゃめフードボウル」*は、どのような経緯で作られたのでしょうか? 猫壱代表の竹内さんに、製作秘話をお聞きしました!
*発売当初の名称は「脚付フードボウル 斜めタイプ」。
要望に応える形で誕生したプロジェクト
最初に「食器を斜めにしよう」と考えたきっかけを教えてください!
猫壱は、「子猫からシニア猫までが毎日使う《食器》で良いものができたら、多くの方に喜んでもらえる」という考えから、2014年に「脚付フードボウルシリーズ」を開発・発売しました。社内では「500個を売るのに半年ぐらいかかるかな」と予想していたのですが、2024年の時点では累計270万個ほどを販売するヒット商品となりました。しかし、同シリーズのレビューなどを通して、まだカバーできていない要望が見えてきたのです。
多かった要望は「ドライフードは食べやすいが、ウェットフードは舌で押されて端に寄ってしまう」というものでした。ほかにも、「うつむく姿勢になるので、首に負担がかかるのが心配」、「鼻ペチャの子で食べにくいことがある」などの声がありました。
これらの声に応えられる製品を検討し、「食器に角度をつけたら、フードが手前に集まって食べやすいのでは」という発想にたどりつきました。こうして2021年に、同シリーズの「斜めタイプ」の制作プロジェクトがはじまりました。
角度、サイズ、高さ、梱包……試行錯誤の結晶!
「斜めタイプ」を制作するうえで工夫した点を教えてください!
いちばん最初は、ざっくりと「脚付フードボウルシリーズに角度をつけたもの」をイメージしていました。しかし、ひとくちに「角度をつける」と言っても、角度が浅すぎると食べにくいですし、急すぎるとドライフードがこぼれてしまいます。食べやすさとこぼれにくさが両立する角度を探して数パターンの試作品を作りました。そして実際に猫に使ってもらったところ、設置面に対して15度が一番良い結果となりました。
次に試行錯誤をした点は、シリーズの特徴でもある、こぼれ防止のための食器のフチの「かえし」です。実は最初の試作では「斜めの食器にかえしをつけるのは難しい」と製造現場に断られていたのです。しかし、粘り強く製造現場と調整を重ねて、制作の承諾を得ました。制作難易度の高さから、最初は生産ロスがとても多かったのですが、徐々にノウハウが蓄積され、今はロスもかなり抑えられています。
ボウルの大きさや深さの設計も工夫しました。長毛の猫の胸元が汚れにくく、髭が当たらず食べやすい食器を目指して、同シリーズ浅広口タイプの高さを踏襲したままボウルの部分のみを大きくした試作品を作成しました。試作品を見たとき、開発担当者は、「パラボラアンテナだ」と思ったそうです。上部が大きくて脚が細いので、確かに似ていますね。
この試作品を猫に使ってもらったところ、食べやすいことが分かったので、この方向性のまま若干サイズを小さくして完成品としました。
こうして、プロジェクトがはじまってから1年後の2022年に、「脚付フードボウル 斜めタイプ」が発売されました。
ファンに愛される製品に
発売後、購入した方からの声はどのようなものでしたか?
ありがたいことに、「斜めタイプ」は多くのファンに愛される製品となりました。
購入のきっかけとして良くいただく声は「シニアになってウェットフードに切り替えたことで、フードをこぼしてしまうようになったため、こぼれにくい食器がほしかった」「顔の周りが汚れにくい食器がほしかった」というものです。購入した方からの「完食することが増えた」「食いつきが良くなった」という感想を見ると嬉しいですね。
2023年には、アンケートを通してファンの皆様から「にゃにゃめフードボウル」という名称をいただきました。今は「脚付にゃにゃめフードボウル」という名前で、サイズ展開を増やして販売しています。
最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします!
猫壱の製品を使用していただいている皆様、いつもご愛顧いただきありがとうございます。
今、専門店などで猫用品を探すと、高さがあって自然素材の食器が当たり前になっています。しかし当社が同シリーズを発売する前は、平たい形で、プラスチック製やステンレス製の食器がほとんどでした。当時、一般的ではなかった製品を発売するのには、購入や口コミ、ご意見などを通して支えてくださるお客様の存在は欠かせないものでした。つまり、猫壱はお客様と一緒に作りあげてきたブランドなのです。
これからも「猫ファースト」の姿勢を忘れずに、猫の生活を支える製品を作っていくので、よろしくお願いいたします。
竹内 淳(たけうち・じゅん)
株式会社猫壱 代表取締役社長兼CEO