世界を巡れ! お魚ハンター体験記【第1回】ベタ

みなさんこんにちは!
熱帯魚ショップにはさまざまなお魚が売られていますが、そこにいるお魚たちがどこから、どうやって来たのかはご存じですか?
熱帯魚ショップには、国内で養殖・採取されたお魚もいれば、私のような「お魚ハンター」が海外から買い付けてきたお魚もいます。
この連載では、世界を巡りお魚の買い付けをしている私が、自分の体験談を中心に、お魚の買い付けや、出会った素敵なお魚を紹介します。
第1回は、熱帯魚のなかでもトップクラスの人気を誇るベタの買い付けです!

ベタの魅力

多彩なバリエーションで色彩の個体差もさまざまなベタは、世界で1匹だけの模様を持つ個体が多く、コレクター性が高いのも人気の1つ。
また、人懐っこい性格から、ペットフィッシュとしても飼育者を魅了します。小型の飼育ケースでも飼育ができ、繁殖が狙えることも特徴です。
そんなベタは、店頭や通販サイトでも多くの個体が並び、1年を通じて手軽に購入できる人気の高い品種になっています。
海外では、ベタ王国であるタイに続き、インドネシアにもトップクラスのブリーダーが増えていて、多くの優良個体が作出されています。

ベタの買い付けは一期一会

現地では、多くの優良個体を買い付けるために生産者、輸出業者、市場などを訪問して買い付けをします。
ベタの買い付けは一期一会。良いと思った個体と出会ったら即購入して、次の仕入れ先に進みます。
選別時のチェックポイントは、目が潰れていないか、背骨が曲がっていないか、ヒレが欠けていないかなどです。

市場での買い付けの様子。袋ごしにしっかりチェックして選別する。

ベタファームでは、下の写真のようにベタがガラス瓶でストックされています。

ベタファームでの買い付けの様子。

時にはガラス瓶の上に乗り、ガラス瓶を割らないように絶妙なバランスをとりながら、細心の注意をはらい選別します。
ガラス瓶は濁っていたり汚れたりしている時もあり、セレクトは難易度が高く、いつも苦戦しています。
ベタファームでの買い付けは、ストック数が多く、新しい品種が発掘できることがあります。また、ファーム側でも訪問時の特典として新しい品種を準備してくれる場合もあるので、必ず訪問するようにしています。

買い付けで出会ったベタたち

PKHM丹頂

白と赤の美しいジャパンカラーで、出会った時には衝撃が走りました。
現地の人も、私が日本人だからか「タンチョウ、タンチョウ」と強調してオススメしてくるので、日の丸が綺麗な個体は必ず購入をしています。

PKHMマスタードガスアバター

人気のアバターと、これまた人気のマスタードガスの品種改良で、センセーショナルな美しい個体です。

PKHMアルマゲドン

数年前より登場している種類です。
タイでの買い付けでコンテストブリーダーを訪問した際に、各ヒレに赤いスポットが細かく広範囲に入った素晴らしい個体と巡り合うことができました。

PKHMスターテール

衝撃的な出会いをした個体です。
お店の人に渡された木の棒の先端にベタの顔をした「ダミー」を近づけたところ、興奮して尾ビレを広げたのですが、その時に輝く星形の模様がハッキリと現れました。
見た瞬間に衝撃が走ったのを今でも覚えています。

PKHMビックダンボイヤー

ダークブルーの体色に、かなり大きい胸ビレが特徴です。

PKHMスペシャル

何の個体を品種改良して作出されたか…謎が多い異彩の個体です。

※今回写真で紹介しているPKHMという品種は、プラガットハーフムーンの略称です。

さいごに

今回はベタの魅力と、海外での買い付けの体験談を紹介しました。
美しさや人懐こさから人気のベタには、タイやインドネシアに、たくさんのトップブリーダーがいます。
お魚の買い付けは新しい出会いの連続で、毎回楽しんでいます。
次回以降も、魅力的なお魚たちの買い付けについて、ご紹介させていただきます!

世界で買い付けたお魚は、下記リンクからご覧いただけます。
おさかなオンライン(運営:㈱ジャパンペットコミュニケーションズ)

【執筆】
榎本弘紀(えのもと・ひろのり)
東京都練馬区出身。株式会社ジャパンペットコミュニケーションズ所属。幼少期、お祭りの金魚すくいをきっかけに観賞魚の飼育を始め、熱帯魚の収集、飼育から繁殖まで、観賞魚の世界に惹きつけられる。現在、国内外で新たな観賞魚を追い求め、その奥深さ・面白さを、より多くの方にご提供できるようチャレンジを続けている。

【編集協力】
柴山淑子