世界を巡れ! お魚ハンター体験記【第2回】フラワーホーン

みなさんこんにちは!

この連載では、世界を巡りお魚の買い付けをしている筆者が、自分の体験談を中心に、お魚の買い付けや、出会った素敵なお魚を紹介しています。
第2回は、1匹の熱帯魚を飼育する「ペットフィッシュ」として人気のあるフラワーホーンです。
フラワーホーンを日本に輸入してから20年以上が経ちますが、当初は頭部のコブも発達しておらず、シンプルな色彩の個体ばかりでした。
しかし、現在ではコブの発達、様々な色彩をもつものが幼魚のサイズから入荷できるようになりました。

海外ではコンテストも開催されるため、愛好家、生産者により品種改良が行われていて、進化が続いています。
フラワーホーンは、東南アジア(タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシア、インドネシア)でブリードが行われています。
買い付けでは、優良個体が多い熱帯魚王国タイに行き、まだ見ぬ新しい個体の発掘をしています。

フラワーホーンの魅力

・人に良く懐くので「ペットフィッシュ」の代表魚です。
・丈夫で飼育しやすい熱帯魚です。
・オスの個体は、頭部の大きなコブが特徴です。
・品種改良により、色彩バリエーションが豊富です。
・東南アジアでは、風水で「幸運を呼ぶ魚」とも言われており、赤は「幸運」、体側の黒い斑点は「金運」、体全体に散らばる青スポットは「愛情運」を意味すると言われています。

進化するフラワーホーンを追い求めて

日々、品種改良により進化を続けるブリード個体を求め、海外へ仕入れに行きます。
下の写真は頭部が著しく発達する数年前と現在です。

過去(左)現在(右)

フラワーホーンの買い付けは、フラワーホーンファームやフラワーホーンをストックする輸出業者、フラワーホーン専門店で水槽に入っている状態で行うことが多いです。

ただし、ときには下の写真のように、市場で大量の袋の中から選別し、買い付けることもあります。

買い付けで出会ったフラワーホーンたち

【フラワーホーン スタンダードタイプ(当社参考基準)】

日本では赤い体色が好まれる傾向が強いので、買い付け後も品質を安定して輸入するために、輸出業者と話して連携をしています。
写真は約8〜10 センチメートルの若い個体です。個体差はありますが、頭部のコブが発達し、体側の半分付近まで赤が入る品種を常時在庫しています。

【フラワーホーン フルレッド】

流通量の少ないフルレッド個体の中でも、全身まで赤色が到達した個体を初めて発見したときには、過去に入荷した個体は鰓(エラ)の付近までしか赤色が入っていなかったこともあり、とても感動しました。

【フラワーホーン キングカムファ】

頭部まで模様の入る美しい品種です。
以前は無色系の体色でしたが、近年は体色に赤色が入る派手な品種が入荷するようになりました。

【フラワーホーン“THAI SILK”】

全身が青い人気品種で、下の写真の個体以上に青が強くなる美しいものもいます。
近年は頭部が発達した迫力のある個体が安定的に入荷するようになりました。

【フラワーホーン レッドレキサスタイプ】

黄色の体色に赤色、青いスポットが入る派手な品種です。
頭部のコブが出ないテキサスシクリッドの改良種ですが、近年では頭部のコブの発達した個体が入荷するようになりました。

【フラワーホーンの色彩変異品種】

下の写真のように、品種改良によりハイブリッドの特徴が強くなった個体です。
入荷数量も少なく、個体差があります。
今後の新しいフラワーホーンの登場を予感します。

【現地フラワーホーン コンテスト入賞クラス個体】

現地のフラワーホーン専門店で、看板魚として見かけた見事な個体です。
白い体色に赤い模様が美しいとても高価な逸品でした。

さいごに

今回はフラワーホーンの魅力と、海外での買い付けの様子、買い付けで出会った魅力的な個体を紹介しました。
品種改良により進化を続けるフラワーホーン。
次回の買い付けでは、どんな個体に出会えるのか、今から楽しみです!

【執筆】
榎本弘紀(えのもと・ひろのり)
株式会社ジャパンペットコミュニケーションズに所属。幼少期より、お祭りの金魚すくいをきっかけに観賞魚の飼育を初め、熱帯魚の収集、飼育から繁殖まで、観賞魚の世界に惹きつけられる。現在、国内外で新たなお魚を追い求め、観賞魚の奥の深さ・面白さを、より多くの方にご提供できるよう、チャレンジを続けている。

[編集協力]
柴山淑子