フォトエッセイ  犬と人が織りなす文化の香り【第8回】イギリス・ロンドン

どこを切り取っても映える街:ロンドン

イギリス旅をするのであれば立ち寄りたかった街のひとつ、ロンドンの西部にあるノッティングヒル。映画でも有名になった街で、パステルカラーに彩られたヴィクトリア様式のタウンハウスが立ち並び、おしゃれな雰囲気とアーティスティックな空気が流れています。

そんな大都市、ロンドンならではの「人と犬たちのライフスタイル」がありました。

街中で絵を描く美大生の姿。傍らに小さなダックスフンドがいました。とってもフレンドリーな性格で、目の前を通り過ぎていく人と犬にしっぽで挨拶をしていました。そんな中、小さな子どもがダックスを触ろうと、「ワンちゃんを触ってもいいですか?」と声をかけていました。その後も、何度も似ている光景に出会いました。日本でそういった場面に出くわすことがほとんどなく、イギリスでのこういったマナーは“うわさ”でしたが、現実となった瞬間でした。

続いて、ノーリードで朝のポートべローマーケットに向かうラブラドール。飼い主の数メートル先を歩き、距離が開きすぎると振り返って待っていました。のんびりな飼い主を心配そうに振り返って見ている表情がなんともかわいらしく、何度も見てしまいました。

さらに、カフェでモーニングを楽しんでいる家族と犬たちの姿。様々なスタイルを見ることができました。

そんな地元の人と観光客でにぎわっているメイン通りから1ブロック外れると、あたりは閑静な住宅です。

このエリアでは、「ALL DOG MUST BE ON A LEAD=すべての犬たちに必ずリードをつけてくださいね。」というサインを見つけました。そのあたりでは、車やバイクなどが時折走ってきました。一部公共の場や道路の近くでは、事故などを防ぐ為です。

また、近くの公園には、「NO DOGS=犬は立ち入り禁止」のサインもありました。
イギリスでは、公園自体がドッグランのようなものですが、日本とは反対に人間の子どもが遊ぶエリアが柵で囲まれているため、入口でこのサインをよく見かけます。

ONとOFFの規則がしっかり守られているロンドン。守られているからこそ、大都市なのにのびのびとしたドッグライフがあるのだと感じさせられました。

次回は、コッツウォルズの犬たちと、その風景をご紹介していきます。

【写真・文】
蜂巣文香(はちす・あやこ)
写真家。犬、猫、コンパニオンバードなどのペット写真をはじめ、手仕事やライフスタイルなどさまざまな分野で“伝わる”写真を日々撮影している。広告や雑誌、書籍、WEBなど幅広く活躍中。欧米を中心とした海外での撮影経験も豊富。愛犬雑誌「Wan」(緑書房)でもおなじみのカメラマンで、柴犬をモチーフにしたカレンダーシリーズ「しばいぬ(卓上)」「日本の柴犬(壁掛け)」「黒柴(壁掛け)」(緑書房)も毎年好評を博している。
Instagram:dogtionary_hachi