『ふれあい動物園でのマナー』(長崎バイオパーク)

ふれあい動物園とは、動物と直接ふれあうことができる場所です(当園では、モルモットやウサギ、ヤギなどに餌をあげることができます)。
動物との関わりを通して、基本的な接し方や距離感、命の重さを学べます。
今回は、動物と人間の距離が近いふれあい動物園において、守ってほしいルールや注意してほしいことを紹介します。

ふれあい動物園のルール

ふれあい動物園に入るときに最も守ってほしいことは、『注意書きをよく読むこと』です。当たり前のように感じますが、なかなか守られていないのが現状です。施設によって細かいルールの違いはありますが、なぜ共通するルールを破ってはいけないのか、説明します。

PAW室内注意事項

動物を触る前と後は消毒をする

人間と動物の両方を守るために必要です。感染症を持ち込まない、持ち出さない、拡げないことが大切です。自分はウイルスを持ち込んでいないと思っていても、爪と皮膚の間や、靴底についた土に存在する場合があります。動物に触る前はもちろん、触った後も手洗い・消毒をきちんと行いましょう。

何かあったらスタッフを呼ぶ

動物がいる展示場に持ち物を落としてしまったり、動物に持ち物を取られてしまったりしたとき、自分自身で解決しようとすると、お互いに危険です。人の持ち込んだゴミが風で飛んで展示場に入り、動物が食べてしまったら、消化できずに最悪の場合、死に至ります。見て見ぬふりをせず、必ず近くのスタッフを呼ぶか、園に電話しましょう。

売られている餌以外のものを与えない

飼育員は、動物の健康管理が仕事なので、1日に与える餌の量を計算しています。売られている餌以外のものを与えてしまい、体重が異常に増えたり、急な病気になってしまうと、飼育員はなぜそのようになってしまったのか原因を探らなければなりません。また、動物ごとに食べられないものがあり、それを食べることで中毒になり、最悪の場合、死に至ってしまうこともあります。展示場付近の草などをちぎって与える行為も絶対にやめましょう。草食動物だからといって、どんな草でも食べられるわけではありません。動物によっては、毒草となる場合があります。信じられないことに、過去には自宅からパンを持ってきて動物に与えたり、自宅のペットも食べているからと、余ったペレットを持ってきたりする人もいました。
また、餌を与えるときに焦らしたり、隠したり、写真を撮るために長い時間与えなかったりすると、動物は嫌なことをされたと思い、噛んできたり、引っかいてきたりします。お互いが悲しい気持ちにならないように、自分がされて嫌なことは動物に対してもしないようにしましょう。

ウサギに餌を与える様子

勝手に動物を抱っこしない

動物を抱っこできる動物園は、かなり少なくなっていると思います。子どもや動物にあまり慣れていない人は、力が入ってしまい、怪我をさせてしまう危険があります。もちろん、普段から動物と関わっているなら抱っこしてもいい、というわけではありません。

モルモットを抱っこする様子

叩かない、蹴らない

動物に限らず、ガラスや展示ケースなども同じです。動物を叩いたり、蹴ったりすることはもちろん、寝ている動物を起こそうとガラスを叩くこと、興味を引こうとする行為はやめましょう。動物が無防備で寝ている姿を見られるのは、動物園だからです。野生下だと見られない寝姿を、しっかり観察してみましょう。起きているときには見えない場所まで、観察できるかもしれません。

大声を出さない

鳴き声の大きい動物や、興味を引きたい動物に対して大声で叫んだり、鳴き声の真似をしたりしないようにしましょう。動物が強いストレスを感じ、パニックになり、動物と人間の両方が怪我をしてしまう恐れがあります。

走らない、追いかけない

動物がその場から離れたときに、追いかけて触ろうとすることはやめましょう。自分よりもはるかに大きい生き物から、しつこく追いかけられることを想像してみてください。

動物を追いかける様子

フラッシュをたかない

動物は、人間よりも光や音に敏感です。カメラのフラッシュは、動物に強いストレスを与え、最悪の場合、失明してしまいます。また、AF(オートフォーカス)補助光の使用も控えましょう。

子どもたちへ

ふれあい動物園にきたら、動物をたくさん観察してみましょう! 動物たちの毛色や歩き方、鳴き方、食べているもの、角の数、足の指、うんちの形など、動物の中でも違うところがたくさんあります。動物に触るのが少し怖いと感じている子は、観察するだけでもすごく面白いと思います。また、動物のとる行動や生活について「なぜ?」と思ったら、ぜひ近くの飼育員に聞いてください。みんなの「なぜ?」を解決するのも飼育員のお仕事です。わたしたち飼育員は、だいすきな動物のことなら、なんでもお話したいと思っています。

大人の方々へ

特にお子様をお連れの方々への注意点になります。
まず、子どもから目を離さないようにしてください。同じ空間にいればいい、というわけではありません。子どもが危険な行為をしたとき、子どもと動物たちを守るため、動物とすぐ距離を取れるよう、「手を握ることのできる距離」にいてください。
子どもたちは大人の言動をよく見ています。大人が発する「臭い」や「気持ち悪い」「怖い」のようなネガティブな言葉もちゃんと聞いています。そのような言葉を聞いた子どもたちは、「この動物には気持ち悪いって言ってもいいんだ」「この動物は怖いんだ」という先入観に囚われてしまいます。大人は苦手でも、子どもたちは興味があるかもしれません。これは子どもだけではなく、周囲の人たちにも影響してしまいます。その動物のことが好きで会いにきている人もいることを忘れないでください。
また、子どもが嫌がっているのに無理矢理動物に触らせる行為や、動物をわざと子どもに近づけて怖がらせるような行為は、絶対にやめてください。小さい頃のそのような行為が原因で、動物のことが苦手になった人がたくさんいます。お子様の動物への興味を、大人が断ち切らないようにしましょう。また、子どもの迷惑行為は必ず保護者の方が注意してください。飼育員に怒られたから行為をやめる、ということを子どもが覚えてしまうと、飼育員に見つからなければ何をやってもいいと考えてしまいます。ふれあい動物園は託児所ではありません。大人が保護者としての責任をもちましょう。

最後に

ここまでたくさんのルールや注意点を説明しましたが、これらは人間と動物の両方を守るための最低限のルールになります。注意書きをしっかり読んでふれあいをすれば、とてもいい経験になります。今回お話ししたルールや注意点を踏まえて、ぜひお近くのふれあい動物園へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

【文・写真】
藤田美優(ふじた・みゆう)
バイオパーク株式会社 外部事業課 PAW

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