知らなかった! フクロモモンガ用フードの開発秘話

大きな目と長い尻尾、そして皮膜を広げて滑空するフクロモモンガ。有袋類という他の哺乳類とは異なったユニークな動物で、ハムスターやモルモットと同様、ペットとして人気の小型哺乳類です。
今回は、そんなフクロモモンガ専用フードの開発秘話をご紹介します。

フクロモモンガの好みは?

野生のフクロモモンガは、ユーカリやアカシアの樹皮をかじって樹液を舐めたり、果汁や花粉、昆虫などを食べたりしています。フクロモモンガ専用フードの開発は、野生のフクロモモンガの情報を収集するところから始まりました。

フクロモモンガ

フクロモモンガは、野生の情報が乏しく、海外の動物園の飼育記録なども幅広く調べました。彼らが食べそうな原料を組み合わせて試作を繰り返しましたが、すぐに行き詰まってしまいました。ある程度は食べてくれるレシピを作ることはできましたが、他にないから仕方がなく食べているという感じで、「喜んで食べてくれている!」と自信を持てるレシピを作ることができませんでした。

調べた情報から、試しにアカシアの樹液を与えてみましたが、ほとんど食べてくれませんでした。とにかく試行錯誤しかないという状況で、昆虫成分やフルーツなどを強化したレシピを組み合わせるうちに、徐々にフクロモモンガの好む味が見えてきました。
同時に分かってきたことは、彼らにとって味も大切なのですが、ペレットの形状や硬さも重要な要素であるということです。

フードを食べるフクロモモンガ

最初に作ったペレットは、フクロモモンガには固すぎて食べてくれないことがありましたが、何度も試作を重ね、細長い粒形状にし、食感もサクサクした食べやすいものにしました。こうすることで、手でつまみ、自然に食べられるようになりました。試作を繰り返す事で喜んで食べてくれるようになり、初めて与えた時でも、すぐに手を伸ばしてくれる配合が見えてきました。

手でつまみながらフードを食べるフクロモモンガ

もちろん、栄養価についてもこだわりました。フクロモモンガに必須な栄養を満たすことは当然必要であり、健康に配慮したフードを目指しました。また、飼育下では肥満になりやすいので、高カロリーにならないよう配慮しました。

ひかりモモンの粒

腸内細菌をヒントに

フクロモモンガは後腸動物で、盲腸の微生物が食べた物を分解し、エネルギー源や必要な栄養を作り出します。つまり、腸内細菌のバランスが非常に重要な生き物です。腸内環境を重視して、生きた菌である「ひかり菌」を餌に添加することにしました。ひかり菌の添加により、糞の臭いが減少する効果が得られました。
また、試作品を与え続けて気がついたことがありました。フクロモモンガが餌を食べた後に口に残ったカスを吐き出す、いわゆる「ぺっぺカス」の量が少ないのです。データを取ってみると、明らかな差がありました。「ぺっぺカス」が少ないことは、清掃の手間が減るというメリットがあります。

ひかりモモンの完成

最終的に、ミルワーム(昆虫)を主成分としたフードに、11種類のフルーツや、腸内環境をサポートするひかり菌を加えた、理想的なレシピが完成しました。
フクロモモンガ専用フードが完成に近づくと、開発チームは長期試験を開始しました。この段階で重要なことは、実際にフクロモモンガを飼っているブリーダーや、専門家との協力です。試作したフードを実際に与えてもらい、健康状態をチェックしました。体重管理や毛艶、活力などをしっかりと見守り、必要に応じて微調整を行いました。

こうした過程を経て、当社の販売するフクロモモンガの専用フード「ひかりモモン」が完成しました。

フクロモモンガ専用フード「ひかりモモン」

【執筆者】
株式会社キョーリン
魚類を中心に、両生類・爬虫類、小型動物、鳥類など多くの動物種が食べるフードを製造しているペットフードメーカー。
HP:https://www.kyorin-net.co.jp/
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