書籍『どうぶつのアカチャンがうまれるまで 求愛・交尾・出産・子育て』(文・絵:タカギノネ、監修:楠田哲士)発刊

緑書房はこのたび、『どうぶつのアカチャンがうまれるまで 求愛・交尾・出産・子育て』(文・絵:タカギノネ、監修:楠田哲士)を発刊しました。

アカチャンができるってすばらしい!

著者のタカギノネさんは、動物園の飼育員を約30年間務め、現在はその知識を活かし、主にイラストレーターやライターとして、動物や自然にまつわるさまざまな情報を発信されています。

そのタカギさんが、飼育員時代にとても残念に感じていたことがあったそうです。それは、動物たちの交尾をみた来園者が、笑ったり、はずかしがったり、はやしたてたり、子どもたちにみせないようにする様子にしばしば遭遇したことです。

「アカチャンができることは神秘的で素晴らしいことなのに、動物たちの交尾をみて笑うなんておかしい」「目を背けずに、がんばっている動物たちを静かに見守り、生まれてくるアカチャンの姿を想像してほしい」と、タカギさんはそのたびに歯がゆい思いをしていました。
動物園の主要な役割である「教育」の機会として、交尾や子育ての場面に出会えたことを活用してほしいと願っていたからです。

そんな経験が、タカギさんをこの本の執筆に向かわせる原動力となりました。

この本をつくるきっかけは、飼育員時代の苦い経験

アカチャンの誕生と成長を学べる絵本

この本は、動物たちの「求愛・交尾・出産・子育て」の様子を解説した一冊です。ネコやゴリラなどのほ乳類、ツバメやエミューといった鳥類の「求愛~子育て」の様子を絵本として紹介しています。

基礎知識として、精子と卵子の合体などを解説したページ

児童もじっくりと読めるよう、やさしい文章とかわいいイラストで構成し、本文にはフリガナをつけていますが、親子で一緒に読むこともおすすめです。動物がふえるしくみを知り、命の尊さを感じ、さらには、性について学ぶ最初の一歩としても最適だからです。

哺乳類と鳥類の「求愛・交尾・出産・子育て」を中心に解説

動物園動物繁殖学の専門家が監修

監修者も注目してほしいポイントです。楠田哲士さんは、岐阜大学応用生物科学部教授として、全国の動物園や日本動物園水族館協会、環境省などと連携し、哺乳類や鳥類、爬虫類などを対象に繁殖の生理や行動に関する研究を進めている専門家です。この本の監修にあたっても、専門的見地から内容を精査し、著者への助言などを担当しました。
さらに、おとなの読者向けに「動物の繁殖と動物園の真の役割」について解説を執筆しています。

この本をきっかけに動物や環境問題への関心を高めてほしい

この本をどんな人たちに読んでほしいのか、どのように役立ててほしいのかについて、タカギさんがおとなの読者に向けてメッセージを送っていますので、以下にその内容を抜粋します。

子どもたちの好奇心は尽きず、いろいろな「なぜ?」にあふれています。そんな子どもたちの疑問にできるだけ丁寧に答えてあげたいですよね。
とくに、「赤ちゃんはどうやってできるの?」という質問に対しては、どのように答えればよいか、とまどってしまうかもしれません。そんなときはぜひ、近所に散歩に出かけたり、動物園に行ったりして、ヒト以外の動物たちを観察してみてください。
「これがオスで、これはメス」
そんな会話が、答えのはじまりになります。
ヒトの生殖のことを話すのはちょっと気が引けたり、どのように説明すればいいかわからなかったりするかもしれませんが、ヒト以外の動物のことを話すことで、赤ちゃんがどうやってできるのかを説明するときの心理的なハードルが下がるはずです。
なにより、動物がふえるということは、ほんとうに神秘的ですばらしいことなので、ぜひそれを伝えてあげてほしいと願います。
そして、そのようにして生まれてきたお子さんが、とても大切な存在なんだということ、ほかの人や動物も同じように大事だということも言い添えていただきたいと思います。
この本をきっかけに、動物たちの交尾をみたとき、子孫を残すために必死に生きている姿だからすばらしいと、素直に感じてもらえたら、嬉しい限りです。
動物のことをいろいろと考え、さらには、その先の環境問題についても関心をもつ人がふえていくことを期待しています。

自分もほかの人も、動物たちも、みんな大切な存在

【主要目次】
はじめに
 みなさんへ
 おとなのかたへ
1 動物がふえるしくみ
2 ほ乳類の求愛・交尾・出産・子育て
 ネコ
 オオカミ
 ウサギ(アナウサギ)
 ライオン
 キリン
 ゾウ
 ツキノワグマ
 ミーアキャット
 コモンマーモセット
 ニホンザル
 オランウータン
 ゴリラ
3 鳥類の求愛・交尾・出産・子育て
 ベニジュケイ
 ツバメ
 エミュー
まとめ
アカチャンができるってすばらしい
 みなさんへ
 おとなのかたへ
ちょっとむずかしい言葉リスト
解説:動物の繁殖と動物園の真の役割(おとなのかたへ)

【著者(文・絵)】
タカギ ノネ
静岡県生まれ。日本動物植物専門学院を卒業後、2022年まで京都市動物園に勤務。飼育員としてキリンなど数多くの動物を担当しながら、保全や教育、広報などにも携わる。
2022年からは動物をテーマとしたイラスト制作や執筆、自然観察会などの活動を展開している。公益財団法人日本自然保護協会自然観察指導員、一般社団法人日本森林インストラクター協会森林インストラクター。

【監修者】
楠田 哲士(くすだ さとし)
国立大学法人東海国立大学機構岐阜大学応用生物科学部教授(動物保全繁殖学研究室)、専門は動物園動物繁殖学、動物園学。
兵庫県神戸市生まれ。日本大学生物資源科学部動物資源科学科を卒業後、岐阜大学大学院農学研究科修士課程修了、岐阜大学大学院連合農学研究科博士後期課程修了、博士(農学)取得。その間に、東京都臨時職員(多摩動物公園飼育課)、日本学術振興会特別研究員を経て、2008年より岐阜大学応用生物科学部。
公益社団法人日本動物園水族館協会生物多様性委員会外部委員、日本野生動物医学会理事、野生動物保全繁殖研究会理事、動物園水族館繁殖研究アライアンス代表などを務める。
著書に『動物園学入門』(分担執筆、朝倉書店)、『動物園動物管理学』(監訳、文永堂出版)、『神の鳥ライチョウの生態と保全』(編著、緑書房)、『ハシビロコウの生物学』(監修、エヌ・ティー・エス)、『日本のいきものビジュアルガイド はっけん! ニホンイシガメ』(分担執筆、緑書房)など。

※略歴・所属は出版時の情報です。

【本書概要】
・書名:どうぶつのアカチャンがうまれるまで 求愛・交尾・出産・子育て
・著者(文・絵):タカギノネ
・監修者:楠田哲士
・発行:緑書房
・体裁:A5判 上製 96頁 オールカラー
・定価:本体2,000円(税別)
・発売日:2024年12月24日
・ISBN:978-4-86811-015-6

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