世界を巡れ! お魚ハンター体験記【第4回】ワイルドフィッシュ(ブラジル・マナウス編)

みなさんこんにちは!
本連載では、世界を巡りお魚の買い付けをしている筆者が、体験談を中心にお魚の買い付けや、出会った素敵なお魚を紹介しています。
今回は、熱帯魚の宝庫である南米大陸のブラジルのワイルドフィッシュをご紹介します。

ブラジルには、地球上で類を見ないほどの多くの生物種に富んだ世界最大の熱帯雨林である「アマゾン」があります。
その秘境には、新発見される熱帯魚への期待が集まり、愛好家から注目されています。
ブラジルから日本に輸入される熱帯魚は、ブラジル北西部アマゾナス州の州都マナウスやブラジル北東部パラー州の州都ベレン、ブラジル南東部のサンパウロ州の州都サンパウロの3拠点の輸出業者により日本に輸出されます。

今回はマナウスに訪問した際に採集、買付けしたテトラの紹介になります。

ブラックウォーターでの採集

ブラジル・マナウス採集写真

ネグロ川とは、ブラジル北部を流れるアマゾン川支流の河川であり、水の色は、枯れ葉や流木などから溶け出したタンニンによって黒褐色に変色している事から、ブラックウォーターと呼ばれています。ネグロ川は日本語で黒い川という意味です。水質はpH4.0~5.0の酸性の水が流れる河川です。

現地の輸出業者や漁師と投網漁・追い込み漁を行い、採集しました。
ブリードされた個体と違い、野生のテトラはデリケートな個体もおり、捕獲後に小網ですくうと擦れによるショックで軽い痙攣を起こす事があります。その為、移動の際は容器や手に水を多く含み、水からあげないように慎重に取り扱います。

現地で採集、買付けをしたテトラ

スーパーレッドアロ―テトラ

全長8センチメートル。
尾ビレに入る上下の赤いツインバーが、弓矢のように見える事からアローテトラという名前がつきました。

マーブルハチェット、

全長4センチメートル。
体側から腹部にブラックマーブル模様の入る美しい品種です。
水面近くに生息し、その胸ビレを使い大ジャンプします。

アロワナテトラ

全長5センチメートル。
古代魚アロワナのような顔付きが名前の由来です。
現在は、輸入が少なく希少種です。

グリーンダーターテトラ

全長8センチメートル。
水底に生息し、全身緑色の美しい品種です。
写真は現地採集時の成魚です。

トゥッカーノテトラ

全長2.5センチメートル。
マナウスより入荷する、珍しいカラシン目を代表する人気種です。
青い目と赤茶の体色、体側の黒いラインの美しさが本種の魅力です。

産地による個体差の紹介

同じ種でも、産地による水質などの環境により模様が異なります。
カージナルテトラのブラジル産とコロンビア産の違いをご紹介します。

カージナルテトラ

ブラジル・リオネグロ産。全長4センチメートル。
青いラインが長く、赤い部分の面積とのバランスの良い個体です。ブリードの個体は、線が長くなる傾向があるので、リオネグロ産のブリードの個体だと思われます。

コロンビア産。全長4センチメートル。
青いラインが短く、赤い部分の面積が広い個体がコロンビアより多く輸入され、ショートラインカージナルと呼ばれています。

おわりに

今回は、地球の裏側に棲むお魚たちをご紹介しました。様々な環境に適応して生きているお魚たちは、とても美しくロマンに溢れています。
まだ見ぬお魚を求めて、これからも採取と買い付けを続けていきます!

【執筆】
榎本弘紀(えのもと・ひろのり)
株式会社ジャパンペットコミュニケーションズに所属。
幼少期より、お祭りの金魚すくいをきっかけに観賞魚の飼育を初め、熱帯魚の収集、飼育から繁殖まで、観賞魚の世界に惹きつけられる。現在、国内外で新たなお魚を追い求め、観賞魚の奥の深さ・面白さを、より多くの方にご提供できるよう、チャレンジを続けている。