世界を巡りお魚の買い付けをしている筆者が、お魚の買い付けや、出会った素敵なお魚などの体験談を紹介する本連載。
今回は、金魚の買い付けをご紹介します。
国産金魚の仕入れは、埼玉県加須市の加須市場で埼玉県産金魚、静岡県浜松市の浜松市場で東海地産金魚、愛知県弥冨市の日本市場で飯田産金魚の仕入れをしています。
国産金魚は、色彩や体型、鰭が高品質ですが、生産量の減少もあり価格高騰や入手困難な状況が続いています。
近年、東南アジアの養殖が盛んになり、輸入金魚を取り扱う問屋や小売店が増えています。そのため、「輸入金魚」を最新情報も含めて数回にわけて紹介します。
現地買付の様子
金魚は、生産者により体型や色彩が異なり、特徴の強い個体は価値が高くなります。広大な敷地から、すべての池をチェックした後に選別をします。
金魚は基本的に外で養殖をしている為、帽子を着用して水分補給をし、熱中症対策をして買い付けに臨んでいます。


輸入琉金と国産琉金の特徴
輸入と国産で特徴の違いを楽しむことができるのも金魚の魅力の一つです。
輸入ショートテール琉金

日本に輸入される琉金のなかでは、ショートテール琉金が多く流通しています。体高があり、四角い体型が特徴で別名ダルマ琉金とも呼ばれ、水槽内では横見から重厚感のある体型が楽しめます。ヒレが短いショートテールの為、遊泳力は弱いです。
国産琉金

丸い体型、大きく長いヒレのバランスが良いところが特徴です。赤い色彩は、生産者がこだわりを持って作出しています。池などからの上身や、水槽内での横見のどちらでも観賞を楽しむ事ができます。ヒレが長い為、遊泳力は高いです。
当社では、インドネシア産やタイ産の輸入金魚の中でも、売れ筋の小型サイズの個体を定番在庫しています。輸入金魚の優良個体の買い付けや定番在庫の種類拡張を目的に、現地の輸出業社や生産者を訪問し、買い付けをしました。
現地で買い付けた金魚の紹介
ショートテールサラサ琉金

サラサ模様が美しい個体を選別しました。
上記写真のような口が赤い個体は「口紅」と呼ばれ、入荷数は少ないです。
ショートテールタイガー琉金

黒色と赤色の色彩が美しい個体を買い付けました。
凝縮された色彩からは、将来性を感じます。
ピンポンパール

ピンポン玉のような体型から、その名がついた人気種です。
以前は、パールスケールやエッグパールと呼ばれていた体型が長い個体が多かったですが、優良個体の種親からの養殖により、年々品質は向上し、写真のような丸い形を買い付けられるようになりました。
ショートテールサラサ出目金(写真上)、ショートテールオレオ出目金(写真下)


珍しいショートテールの出目金です。
入荷数が少ないため、今後の定期輸入が望まれます。
真っ黒水泡眼

真っ黒な体色に、大きい水泡が見事な個体です。
種親だったため、今回は入手不可能でした。真っ黒ランチュウ、真っ黒オランダのように、今後の定期輸入が望まれます。
おわりに
輸入金魚のご紹介をしました。金魚は、われわれ日本人にとってなじみのある観賞魚であると同時に、品種改良によって形や色彩のレパートリーが多い観賞魚です。様々な品種の金魚をお届けできるように、これからも買い付けを続けていきます。
【執筆】
榎本弘紀(えのもと・ひろのり)
株式会社ジャパンペットコミュニケーションズに所属。
幼少期より、お祭りの金魚すくいをきっかけに観賞魚の飼育を初め、熱帯魚の収集、飼育から繁殖まで、観賞魚の世界に惹きつけられる。現在、国内外で新たなお魚を追い求め、観賞魚の奥の深さ・面白さを、より多くの方にご提供できるよう、チャレンジを続けている。