前回のフランクフルトから引き続き、ドイツを訪問した時の話です。
伝統的な木組みの家が立ち並ぶ街で
フランクフルトに滞在2日目。予定を決めていなかったこの日、隣の街マインツへ足を延ばすことにしました。フランクフルト中央駅からSバーン(近距離鉄道)で約40分の距離、ライン川とマイン川の合流地点にある街です。
最初に向かったのが、マインツ中央駅から歩いて15分ほどのドイツ三大大聖堂と言われるマインツ大聖堂(ザンクト・マルティン大聖堂)です。ステンドグラスや彫刻、宗教画を鑑賞しました。マインツ大聖堂の裏手を歩いていくと、「キルシュガルテン」というドイツ伝統の木組みの家が建ちならぶ広場に出ました。絵本からとびだしたかのような光景は、ドイツに抱くイメージそのものです。

朝早く人もまばらな中、1頭のゴールデンレトリバーがお店の前でポツンと座っていました。

そこへショッピングに来た飼い主とダックスフンド。2匹は短いあいさつを交わしていました。その犬たちのやりとりに飼い主は目を向けることはなく、買い物に夢中でした。その後もジャック・ラッセル・テリア、パグが次々にやってきて数秒の挨拶を交わしていました。とってもスマートな人と犬とのかかわり方に感心しました。

続いてマルクト広場に移動し、朝のマーケットで買ったリンゴとパンを抱え川沿いに向かいました。

そこで、一人のご年配とスモール・ミュンスターレンダーのレオに出会いました。ドイツが原産の犬だそうです。人生で初の犬種と出会い嬉しくなっているこちらの姿を見て、おじいさんは「旅行者なのか?」「どこの国から来たの?」と話しかけてくれました。会話をしている間、レオは通りすがりの犬に挨拶に行ったり、こっちに来たりしていました。おじいさんは、レオのことはほとんど気にかけてなかったようでした。

おじいさんとの会話のなかで印象だったのが、「レオとは1日最低2回、計3時間以上は散歩をしている」と言っていたことです。散歩は日課でもあり、ドイツでは犬を飼う人の責務でもあるようです。
子犬のころからの「きちんとしたしつけ」、そして「飼い主の責務」がしっかりできているからこそ、こののびのびとした人と犬との光景が「日常」なのだと感じました。
次回は、ローテンブルクの街と、そこで出会った犬と人の暮らしを紹介します。
【写真・文】
蜂巣文香(はちす・あやこ)
写真家。犬、猫、コンパニオンバードなどのペット写真をはじめ、手仕事やライフスタイルなどさまざまな分野で“伝わる”写真を日々撮影している。広告や雑誌、書籍、WEBなど幅広く活躍中。欧米を中心とした海外での撮影経験も豊富。愛犬雑誌「Wan」(緑書房)でもおなじみのカメラマンで、柴犬をモチーフにしたカレンダーシリーズ「しばいぬ(卓上)」「日本の柴犬(壁掛け)」「黒柴(壁掛け)」(緑書房)も毎年好評を博している。
Instagram:dogtionary_hachi
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