動物業界のお仕事:動物用医薬品メーカーの学術職(東亜薬品工業)

「いきもののわ」5月特集では、いろいろな「動物業界のお仕事」を紹介していきます!

今回は、動物用医薬品メーカーで学術職をしている小池さんに、1日の業務や就職までの経緯、この仕事を目指す人へのアドバイスなどをお聞きしました!

弊社は人と動物のプロバイオティクスを製造・販売しており、私の所属する動薬学術部では、主に既存製品の販売促進につながる仕事と、新たな製品の企画や導入を行っています。

普段はパソコン作業が多いため、1日の中でメリハリがつくように午前中は企画や考察など頭を使う仕事、午後は実作業や打ち合わせを入れるように心がけています。
資料作成やデータの整理などが1日の大半を占めますが、弊社製品を使って実験をしている関係機関との打ち合わせや、日本各地の営業担当社員からの問い合わせへの対応も行います。
一方、出張の日は終日セミナーや勉強会の開催、展示会や学会に参加します。弊社製品を広くよく知っていただくため、また私自身も新たな情報や生の声を知るために参加しており、勉強会では講師としてお話しさせていただくことも多くあります。

セミナーを行う東亜薬品工業の小池さん

弊社の動物用医薬品・混合飼料に関わる部署は、プロバイオティクスを通じて人と動物の健康に貢献することを目標に掲げ、日々仕事に取り組んでいます。出張先は、国内外の畜産・水産に関係するところで、各地の人と繋がることができます。出張先で会った獣医師や生産者から「御社の製品を使っています」「いい製品ですね」というお声がけは、大変嬉しく励みになります。
日々のオフィスでの仕事も間接的に各地の人に役立っていると感じられ、目の前の動物を治す獣医師とはまた違ったやりがいがあると思います。

小学生の頃に通っていた動物病院の女性獣医師に憧れていました。動物が好きだったことや、資格を持って長く働けるところにも魅力を感じ、獣医師になろうと考えました。その後、獣医学科のある大学に進み、動物病院で獣医師として10年ほど働きました。

直接動物を診察・治療できる臨床の仕事はとても楽しくやりがいがありましたが、ライフスタイルの変化に伴い転職を考え、獣医師としての経験を活かせる動物に関連したオフィスワークを探していたところ、この仕事に出会いました。

前述の通り、最初からこの仕事を目指していたわけではありません。ですが、今までの経験はどれも繋がっていると感じる日々を過ごしています。
転職の際に、希望が叶う仕事は他にもある中でこの仕事を選んだ理由は、詳しく調べて知識を得ることができる学術職として働き、プロバイオティクスの専門家になりたいと考えたからです。そして、プロバイオティクスを深堀り出来る仕事自体が面白そうだなと感じたところにあります。
臨床現場で働いていた頃は、腸の調子を整えるという程度でしかプロバイオティクスの役割を理解していませんでしたが、畜水産業界では、治療だけでなく生産性の向上や安心安全な食品生産のためなど、具体的な目的をもって活用されています。この業界に関わるようになってからは、プロバイオティクスの「できる」ことと「可能性」の幅広さに驚いています。これからも、自分が感じた驚きを現場の獣医師や生産者にお伝えして、幅広くお役立ていただきたいと思っています。

動物が好きだから動物に関わる仕事を選ぶ人が多いと思いますが、どんな仕事でも人とのコミュニケーションが大切なことには変わりありません。
また、企業や部署によっては新卒採用を行っていない所もあります。現に、同じ部署で働いている仲間は全員、他の業務や職種の経験者です。希望した進路先や就職先でなくても無駄なことはなく、自分で仕事を提案して前向きに取り組んでいけば、キャリアは繋がっていくのではないかと思います。応援しています。

小池奈央子(こいけ・なおこ)
東亜薬品工業株式会社 営業本部 動薬学術部
ホームページ:https://www.toabio.co.jp/