「いきもののわ」5月の特集では、いろいろな「動物業界のお仕事」を紹介していきます!
今回は、畜産動物用製薬メーカーの学術・マーケティング担当をしている柴田さんに、1日の業務や就職までの経緯、この仕事を目指す人へのアドバイスなどをお聞きしました!

1日の業務について教えてください!
在宅勤務の場合と出張に行く場合で業務内容が異なります。
在宅の場合は、学術担当としての問い合わせ対応や、トライアル試験のデータまとめ、本社との打ち合わせ、営業支援資料の作成を行うことが多いです。イベント前や新製品ローンチ前では、マーケティングの仕事が多くなります。資料やパンフレットの作成、広告掲載依頼、イベント会場・グッズなどの手配を行います。
出張に出る場合には、朝にメールチェックや連絡事項の確認をしてから、訪問先に向かいます。その後、営業担当に同行して製品の提案やトライアル試験の提案・実施を行います。その後、宿泊先にて、訪問の中で出た業務のまとめや提案内容の加筆修正、次の日の準備を行います。


仕事のやりがいを教えてください!
お客様の役に立てた実感がある時に、とてもやりがいを感じます。データ上で農場の生産成績の改善が確認できた瞬間はもちろんですが、訪問の際や電話で弾んだ声が聞けると「もっと頑張ろう!」と思います。
私の仕事内容は、まるで「推し活」です。「推し」は目の前のお客様であり、自社の製品でもあります。
推し(お客様)のために何ができるのか。もっと多くの人に推し(自社製品)の良さを知ってもらうためにはどうするべきなのか。
ということを常に考えて試行錯誤しています。また、社員も自社のブランドイメージを構成する一部であるという意識を持って仕事に取り組んでいます。誠実なビジネスに基づき売上を立てることで、海外にある本社に対する「日本はまだまだ投資する価値のある市場である」というアピールに繋がると考えています。
どうしてこの職に就こうと思ったのですか?
獣医師として畜産に関わる仕事がしたかったので、前職では育種改良団体で働いていました。現職はワクチンメーカーで、臨床から少し離れましたが、一貫して畜産関係の仕事をしています。
畜産は衣食住に関わる生活の根幹を担う分野ですが、就業人口は右肩下がりです。その中で、生産性を少しでも改善することで就業者・生産者の方の負担を軽減し、さらなる利益を追求できるような「未来の畜産」に貢献したいと考えています。

就職までの経緯を教えてください!
鳥取大学農学部獣医学科で6年学び、獣医師免許を取得しました。当時は繁殖学研究室に所属しており、牛の臨床獣医師を志していましたが、卒業前に牧草のアレルギーを発症し、急遽希望畜種を変更しました。
卒業後は豚の育種改良に2年近く携わりました。その経験をもとに、当時豚の浮腫病ワクチン「ベピュード®」を日本で発売したばかりだった現職に、テクニカルサービスとして入社しました。はじめは学術業務が中心でしたが、新製品の発売が多く、イベントなどにも積極的に参加する社風のため、自然とマーケティング業務も兼任する形となりました。

この職を目指す学生さんに、アドバイスはありますか?
製薬会社の学術担当やマーケティング担当には、知識量や倫理的思考能力などが大切だと思われがちです。しかし、最も大切なことは、体力・根性・コミュニケーション能力だと痛感しています。私はまだまだアドバイスができるような段階ではないのですが、この3つを兼ね備えて「頑丈で、親身に話を聞いてくれる人」だと思ってもらえると、未熟な部分があっても仕事が前に進み出すという実感があります。
柴田麻友(しばた・まゆ)
イプラ・ジャパン合同会社 テクニカルサービス 獣医師
ホームページ:https://hipra.jp/
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