動物業界のお仕事:夜間救急診療科の愛玩動物看護師(日本小動物医療センター夜間救急診療科)

「いきもののわ」5月の特集では、いろいろな「動物業界のお仕事」を紹介していきます!

今回は、二次診療(※)を行なっている動物病院の夜間救急診療科で愛玩動物看護師をしている知見さんに、1日の業務や就職までの経緯、この仕事を目指す人へのアドバイスなどをお聞きしました!
※かかりつけ医からの紹介で行う、専門分野に特化した獣医師による診断・治療のこと

愛玩動物看護師の知見さん

1日の業務について教えてください!

夜間救急のため、勤務時間は21〜8時です。外来と入院の担当によって出勤時間は異なります。外来の場合は、診療の準備をしながら朝礼を行い、その日の注意事項などを全体で共有します。
当センターの夜間救急では、21〜5時まで動物の受け入れをしています。電話対応や受付、診療補助、検査などをしながら、洗濯や犬舎の掃除、入院処置の手伝いなど、仕事内容は多岐にわたります。休診時間は特に設けていないため、外来が落ち着くタイミングなどで順番に休憩を取り、時間があれば心肺蘇生処置の練習などを行います。5時に診療時間が終了になりますが、その後も入院処置や片付けなども行なっています。その日の最後には必ず終礼があり、反省点の共有や来院した動物の症例の振り返りをしています。

心肺蘇生処置の練習を行なっているところ

入院担当の場合は、日中の看護師さんから引き継ぎを受けて入院記録表をチェックし、いつ何の処置を行うのかを確認します。決められた処置以外にも1時間毎に状態確認を全頭行い、入院している動物に変化があれば獣医師と相談して検査や処置を追加で行います。入院している動物の多くは、術後管理や抗がん剤投与後などシビアなケースが多いため、なぜ入院しているのか症例を頭に入れながら看護しています。

終礼の様子

仕事のやりがいを教えてください!

夜間に一緒に暮らしている動物に変化があったとき、診察できる場所があることで少しでも安心してもらいたいと思っています。「遅い時間だけど診てもらえてよかった」、「こんな時間にありがとうございます」などと言っていただくと、救急で働いていてよかったと実感します。
また、一般の動物病院で働いていた時にはあまり見たことがなかった重症症例が多く、知識や観察力、技術を身につけられることにやりがいを感じます。

どうしてこの職に就こうと思ったのですか?

小さい頃から犬と暮らしており、動物に関係する仕事に就きたいと漠然と思っていました。そんな時、親から動物を可愛くするトリマーという職業があると聞き、トリマーを目指しました。しかし、次第に看護の勉強が面白いと感じるようになり、トリミングの仕事より愛玩動物看護師の仕事の方が向いていると感じたため、現在の仕事に就きました。

就職までの経緯を教えてください!

愛玩動物看護師になるための大学で4年間基礎から動物について学び、一般の動物病院に就職しました。そこでは、飼い主さんとのコミュニケーションや予防、病気の動物の看護、受付などを経験し、7年間働きました。
夜間は病院に誰もいなくなる施設が多く、夜間に動物が急変することを心配する飼い主さんも多くいるので、少しでも誰かの役に立てればと思い夜間救急の世界に飛び込みました。

帝王切開で出てきた新生児の助産

この職を目指す学生さんに、アドバイスはありますか?

動物病院といっても、大きいところから小さいところまで様々な病院があります。まずは、いろいろな病院を自分の目で見て、現場の雰囲気を感じることが大切だと思います。自分のやりたいことができ、自分に合った病院を見つけることが長続きする秘訣だと思います。その病院の方針によって働き方が変わったり、飼い主さんの事情によって治療が変わることもあります。臨機応変に対応することが求められるため、多種多様な価値観にふれてみることもいいのではないでしょうか。
また、救急では様々な相談がくるので、幅広い知識を付け、いろいろなことに興味を持って挑戦してみることで仕事に活かせると思います。

知見紗希(ちけん・さき)
日本小動物医療センター夜間救急診療科
ホームページ:https://jsamc.jp/