「僕たちは養豚生産者というワンチームです」若き養豚生産者たちが主催するイベントJAPAN PORK FESTIVAL ~俺たちの豚肉を食ってくれ!~ (日本養豚協会)

生姜焼きや肉じゃが、回鍋肉にしゃぶしゃぶまで、豚肉は私たちの食卓を彩ってくれます。私たちが美味しい豚肉を食べられるのは、養豚生産者の方々のおかげです。
しかし、近年の養豚業界は後継者不足に悩まされています。家族経営が多い業界なので、都会に出てしまったり、別の仕事に就いたりと、継承や人材確保は難しい問題となっているそうです。そんな現状を打破しようとしているのが、養豚生産者で構成される日本養豚協会とその青年部です。

そこで今回は、日本養豚協会青年部会長の石川 貴泰さんに青年部についてや、一般向けに行っているイベントについてお話を伺いました。

日本養豚協会青年部会長 石川 貴泰さん

日本の養豚生産者は全員仲間

―「日本養豚協会」とはどのような組織なのでしょうか?

石川 貴泰さん

養豚生産者による、養豚生産者のための全国組織です。日本の食卓を支える日本産豚肉が安定的に共有されるように、国内の生産や経営安定化を図っています。また、日本産豚肉の安全性が担保されるように、関係機関と連携して生産環境などの維持・向上に努めています。

―青年部ではどのような活動を行っているのでしょうか?

石川 貴泰さん

全国の次世代を担う若手養豚生産者のサポートを行っており、年に1回東京で会員向けのセミナーや一般消費者を対象としたイベントを実施しています。また、東京に集まれない生産者にむけて、地方でもセミナーを行っています。
若手生産者を中心に、ワンチームとして日本の養豚産業を盛り上げていくことをスローガンとしています。

―若手生産者に対する教育が主な役割になるのでしょうか?

石川 貴泰さん

教育も行いますが、まずは様々な悩みを話し合える場を提供することが一番大きな役割だと思っています。横の繋がりを強化したり、風通しを良くすることで参加しやすい組織運営を心掛けています。

―年上が多いと委縮してしまうこともありますね。

石川 貴泰さん

日本養豚協会に加入していない養豚生産者にも輪を広げられるように、「日本養豚青年部」という組織も立ち上げました。日本養豚協会の情報をオープンにして、日本の養豚生産者全体のチーム力をあげていきたいと思っています。

―まさにワンチームですね! 一般消費者向けのイベントについて教えてください。

石川 貴泰さん

「JAPAN PORK FESTIVAL ~俺たちの豚肉を食ってくれ!~(通称:俺豚)」というイベントを実施しています。コロナ禍で実施できない期間もありましたが、2007年から毎年11月頃に行っています。2024年には、秋葉原で開催しました。

2024年11月24日に秋葉原で開催された際の集合写真

国内外へ向けたまっすぐな想い

―「俺豚」とはどのようなイベントなのでしょうか?

石川 貴泰さん

一般消費者向けに、日本産豚肉の美味しさ・安全性・大切さを紹介する街頭キャンペーンとして開催した試食イベントです。全国の養豚生産者が生産した豚肉を実食してもらうことで、日本産豚肉の魅力を伝え、多くの方に応援してもらうことを目的としています。

2024年開催時の様子

―日本産豚肉が一堂に会するわけですね……!

石川 貴泰さん

様々な産地の豚肉を、しゃぶしゃぶで食べてもらいます。「食べ比べることで、豚肉の味に違いがあることを知れた」という声も聞かれました!

第1回は2007年に新宿アルタ前で街頭試食キャンペーンとして開催

―試食会以外に何かプログラムはありますか?

石川 貴泰さん

2024年の開催時には、じゃんけん大会やクイズ大会、鉾田囃子のパフォーマンス、豚の鳴き声モノマネ大会などを実施しました。

―豚の鳴き声モノマネ大会はとても盛り上がりそうですね(笑)。

石川 貴泰さん

とても盛り上がりました! 豚の鳴き声をよく研究されている方もいました。
以前は、フランスパン1本で作るホットドッグ早食い競争もありました!

―フランスパン1本丸ごとのホットドッグですか!

石川 貴泰さん

とても人気の企画でしたが、感染症対策などで実施が難しくなってしまいました。毎年チャレンジしてくれていた方もいたので、どうにか復活させたいですね。

日比谷公園で開催されていたときのホットドッグ早食い競争の様子

―タイトルがユニークだと思いますが、込められた願いなどはありますか?

石川 貴泰さん

「自分たちが生産した豚肉を食べてほしい!」という想いをストレートに込めています。立ち上げ当時の青年部の強い思いは、今も受け継がれています。
また、2024年からはインバウンドの影響も考慮して、海外から日本へ来た人たちに向けて「JAPAN PORK FESTIVAL」をタイトルに付けました。

―世界にも普及させていきたいということですね。

石川 貴泰さん

日本産豚肉の魅力を伝えて、”WAGYU”のように輸出拡大へつなげたいという想いもあります。
鉾田囃子のパフォーマンスは日本の文化ごと楽しんでもらうために取り入れました。

2024年開催時の鉾田囃子のパフォーマンスの様子

―今後に向けて課題などはありますか?

石川 貴泰さん

SNSを活用したキャンペーンや宣伝には力を入れていきたいです。
また、地方に出店しているキッチンカーや飲食店などで、その地方の銘柄豚を絡めたイベントを開催できたらいいなと思っています。東京以外の各地からも日本産豚肉の知名度が上がれば、より全国に普及しやすくなるのではないかと考えています。

以前実施したSNSキャンペーン

―各地域で銘柄豚が根付くと、それこそ和牛のようになりますね!

石川 貴泰さん

地元の特産品はその土地のシンボルや特徴にもなるので、受け入れてもらえるような工夫が必要です。そのためにも、SNSなどを活用してアピールすることが重要です。

―「俺豚」を地方で開催することはあるのでしょうか?

石川 貴泰さん

それも一つの手だと思います。「俺豚」は一般消費者との交流も兼ねていますし、私たち養豚生産者を近くに感じてもらえる機会を多く作れるといいですね。

その他にも、日本産豚肉を使ったレシピ集を発信することも案として考えています。毎日の献立に日本産豚肉を入れる選択肢になって、自然と認知されていくのではないでしょうか。

―ありがとうございます。最後に、この記事の読者にメッセージをお願いします。

日本産豚肉は、みなさんに支えられて生産を維持することができています。これからも食卓へ、美味しくて安全な豚肉を安定的に届けていけるように頑張ります。次回の「俺豚」は、2025年11月29日に2024年と同様、ベルサール秋葉原での開催が決定しています。ぜひ美味しい豚肉を食べに来てください!

そして、全国の養豚生産者とこの業界を目指しているみなさんへ。養豚業界には、この業界を盛り上げていこうという気持ちを持った、若いエネルギッシュな人がたくさんいます。そのエネルギーを一般消費者にも感じ取ってもらえるような組織活動を続けていきますので、これからもよろしくお願いします。

2024年開催時には外国人のお客さんが多かった

―ありがとうございました!

日本養豚協会
・ホームページ:https://jppa.biz/
・X:@porkman_jppa
・Instagram:@porkman_jppa
・Facebook:Jppa俺たちの豚肉を食ってくれ!

【開催概要】
・名称:JAPAN PORK FESTIVAL~俺たちの豚肉を食ってくれ!~
・日程:2025年11月29日
・場所:ベルサール秋葉原(東京都千代田区外神田3-12-8住友不動産秋葉原ビル)