『生きものたちの眠りの国へ』発刊

緑書房では、このたび『生きものたちの眠りの国へ』(著:森 由民、監修:関口雄祐)を発刊しました。制作を担当した編集者より、本書の魅力とポイントについてご紹介します。

アリストテレスから恐竜や寄生虫まで。なぜ眠る? どうして眠る?

「眠り(睡眠)」とは、何だと思いますか?
「目を閉じて、横たわること」。それでは、寝たフリをしている人や、昏睡している人との違いって、何?
片目だけ開けたカモや、飛び続けている渡り鳥は、寝ていないってことなんでしょうか?

本書では、そんな「眠りって何?」「夢って何?」という疑問から出発し、動物行動学・睡眠科学の専門家の監修のもと、生きものの「眠り」についてくわしく解説します。

レム睡眠・ノンレム睡眠、概日リズムなど、眠りに関する基本的な知識の説明からはじまり、「寝ているときに人の脳・神経ではどんな活動が行われているのか?」「どんなホルモンがはたらいているのか?」という体内のミクロなメカニズムを解説、そして「飛び続けながら寝る渡り鳥」「ベッドを作るチンパンジー」など、多数の動物たちの寝姿や特徴から、睡眠の在り方のマクロな進化を説明し、それらがいつのまにか、遠い昔、約40億年前に起こった生きものの睡眠の起源へと、ドミノのようにつながっていきます!

他にも睡眠ではない行動、冬眠やコールドスリープについても考えます。
……冬眠って、睡眠ではないのでしょうか? その答えは、ぜひ本書にて。

『史上最強』の脚注で学べる

本書の大きな魅力の1つは、監修者の関口雄祐さんの言葉をお借りすると『それぞれが十分1冊の本に匹敵』する内容を扱った本文と、『史上最強』の脚注。
本文だけでなく注釈の1つひとつにまで、情報量が『史上最強』にぎゅっと詰まっており、堅実に、しっかりと学べる本になっています。

難しい言葉がわかりやすく説明されているだけでなく、最新の脳&画像生成AIの研究から、睡眠にまつわるイチオシ映画や書籍、はたまた時差ボケを軽くするコツ、1200万年ほど前に出現したカニ化石の情報まで盛りだくさん! 注釈をさかのぼって読むのが楽しいこと、まちがいなしです。

文系も大歓迎

「自分には生物の知識があまりないから、難しそう…」
そんな方にもオススメです。

睡眠研究を行ってきた研究者・医者たちの歴史的な挑戦と成果を知ったり、哲学者アリストテレスやプラトンの考えを検証したり、文学作品(例えば岡本綺堂の『離魂病』)から国による魂の在り方に思いを馳せたり…。
本書は、分野を横断したトピックが非常に豊富なんです。

音楽や漫画、映画・ドラマなどについてもふんだんに言及されており、ムーミンやポーの一族、金八先生までカバーしています。
見出しも著者の森さんの言葉遊びが満載で、山上憶良の句からミスチルの歌詞まで、たくさん引っ掛けられています。ぜひ、元になったネタも探してみてください。


写真:著者の森由民さん

写真:監修者の関口雄祐さん

本書を読み終わったときには、きっと今日眠るのがちょっと楽しくなっているはず。

みなさんも、ぜひ『眠りの国』へ出かけてみてください!

【本書概要】

【本書概要】
・書名:生きものたちの眠りの国へ
・著者:森 由民
・監修者:関口雄祐
・発行:緑書房
・体裁:四六判224頁
・定価:2,200円 (本体2,000円)
・発売日:2023年12月26日
・ISBN978-4-89531-935-5

【著者】
森 由民(もり ゆうみん)
動物園ライター
1963年神奈川県生まれ。千葉大学理学部生物学科卒業。各地の動物園・水族館を取材し、書籍などを執筆するとともに、主に映画・小説を対象に動物観に関する批評も行っている。専門学校などで動物園論の講師も務める。
著書に『動物園のひみつ』(執筆/PHP 研究所)、『約束しよう、キリンのリンリン いのちを守るハズバンダリー・トレーニング』(執筆/フレーベル館)、『春・夏・秋・冬 どうぶつえん』(著者、イラスト サクマユウコ/東洋館出版社)、『ウソをつく生きものたち』(執筆/緑書房)など。

【監修者】
関口雄祐(せきぐち ゆうすけ)
博士(理学)、千葉商科大学教授、東京農業大学客員教授
専門は動物行動学、行動生理学。1973年千葉県生まれ。東京工業大学生命理工学部卒業、同大学院修了。豊橋技術科学大学、東京医科歯科大学での研究員生活を経て、2008年に千葉商科大学着任(専任講師、准教授を経て現職)。「睡眠のはなし」は、保育園から東大まで、どこで講演してもたくさん質問をもらえるので、社会的にも個人的にも関心の高さを実感している。
著書に『眠れる美しい生き物』(執筆/エクスナレッジ)、『眠れなくなるほどおもしろい睡眠の話』(執筆/洋泉社)、『海棲哺乳類大全 彼らの体と生き方に迫る』(分担執筆/緑書房)、『調べてみよう! 生きもののふしぎ イルカのねむり方』(監修/金の星社)、『イルカを食べちゃダメですか? 科学者の追い込み漁体験記』(執筆/光文社)など。

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