『どうしてそうなった!? いきものの名前 奥深い和名と学名の意味・しくみ・由来』発刊

緑書房ではこのたび『どうしてそうなった!? いきものの名前 奥深い和名と学名の意味・しくみ・由来』(著:丸山貴史、監修:岡西政典)を発刊しました。制作を担当した編集者より、本書を簡単に紹介します。

何その名前?

動物園や図鑑などで変わった名前の生き物に接した時、そう感じたことはありませんか。

例えば、「ドウガネブイブイ」「ドピンドピンメダカ」という独特な響きの動物。
「オオヒメゲンゴロウ」「オオコドモヒメシャコ」という大きいのか小さいのかよくわからない動物。
「メクラチビゴミムシ」のようないわゆる差別語が含まれる動物。
「ナンジャモンジャ」「キソウテンガイ」「リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ」という名前の植物。
さらには異様に長い「Myxococcus llanfairpwllgwyngyllgogerychwyrndrobwllllantysiliogogogochensis」という細菌の学名などなど、一度聞いたら忘れられないような名前をもつ生き物はたくさんいます。

すでにこういったことに関心のある方や分類学を学ばれた方は、次のようなトピックはご存じかもしれません。
昆虫のナナフシモドキの別名がなぜかナナフシであること、ウミヘビには爬虫類のウミヘビ以外に魚類のウミヘビがいること、鳥のコマドリとアカヒゲの学名が入れ替わってしまっていること、「ゴキカブリ」の誤記が定着してゴキブリになってしまっていること、さらにはデヴィッド・ボウイやスタン・リーといった著名人が学名になっていること。

変な名前、長すぎる名前、まぎらわしい名前、間違ってつけられた名前……。そこには、どういった経緯や理由があるのでしょうか?
もし気になったとしても、名前によっては多くの図鑑や論文、古い文献、現地語を調べなくてはならず、ちょっと大変ですよね。

前提知識は不要です。楽しんでください

本書は、和名や学名のルールやしきたり、古今東西の命名された時のエピソードなどを交えながら、恐竜から細菌まで、たくさんの生き物の名前について解説します。名前を通して生き物の特徴だけでなく、分類学や新種発見の世界、その名前がついた国(土地)の歴史や文化を知ることができます。さらにはインターネットがなかった時代ならではのデータ管理の大変さや、命名者の「その人らしさ」「人間関係」を垣間見ることができます。

「和名」「学名」「ルール」という言葉から、敷居が高い読み物のように感じたかもしれませんが、前提知識は不要です! どこからでも読めますので、雑学として楽しんでもよし、もちろん分類学のキホンを学ぶ入門書として読んでもよしです。

写真200点超、知識がぎゅうぎゅうに詰まっています

著者の丸山貴史さん(写真)は、「図鑑制作者」という肩書で生き物の図鑑づくりに携わっています。丸山さんは「はじめに」の中でこのように書かれています。
「この本を書くにあたり和名や学名について調べましたが、知っているようでいて、正確には知らなかったことだらけでした。そこで知り得たことを、ぎゅうぎゅうに詰め込んだのがこの本です」
まさにこの言葉の通りで、本文の内容が濃厚なだけでなく、補足、こぼれ話、豆知識などが「これでもか!」と入っていて、余白は少なめです。

写真:著者の丸山貴史さん

監修者の岡西政典先生の専門は、海産動物の分類学です。先生はこれまでにクモヒトデ綱の新種を23種も記載されている新進気鋭の若手研究者です。
本書では、コラム「記載論文の書き方」と解説「だから、名前をつけるんだ」をご執筆いただきました。楽しさ・タフさ・緻密さが同居する分類学の現場の臨場感を味わうことができます。また、分類学を通じた生物多様性の探究が、地球環境の保全にいかに貢献するかも学ぶことができます。

内容が少しでも気になった方、生き物の名前の世界にどっぷり浸かってみませんか?

【著者】
丸山貴史(まるやま・たかし)
1971年、東京都生まれ。法政大学を卒業後、ネイチャー・プロ編集室、人類文化社などで編集業務に従事。2008年に株式会社アードバークを設立し、図鑑の企画、編集、執筆、校閲、監修などを行っている。主な作品に、『どうぶつのタマタマ学』(執筆/緑書房)、『わけあって絶滅しました。』(執筆/ダイヤモンド社)、『ざんねんないきもの事典』(執筆/高橋書店)、『生まれたときからせつない動物図鑑』(監訳/ダイヤモンド社)、『世界珍獣図鑑』(編集/人類文化社)、『ゴキブリだもん』(編集/幻冬舎コミックス)などがある。

【監修者】
岡西政典(おかにし・まさのり)
1983年、高知県生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。現在は広島修道大学人間環境学部助教。専門は海産動物の分類学。著書に、『生物を分けると世界がわかる』(講談社)、『新種の発見』(中央公論新社)、『深海生物テヅルモヅルの謎を追え!』(東海大学出版部)。日本動物学会論文賞・藤井賞・奨励賞、日本動物分類学会奨励賞、科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞などを受賞。

【本書概要】
・書名:どうしてそうなった!? いきものの名前 奥深い和名と学名の意味・しくみ・由来
・著者:丸山貴史
・監修:岡西政典
・発行:緑書房
・体裁:四六判 284頁(内口絵カラー16頁)
・定価:2,420円 (本体2,200円)
・発売日:2023年12月26日
・ISBN978-4-89531-940-9

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