日本のカメの生息状況調査の結果を発表(日本自然保護協会)

ミシシッピアカミミガメの割合がやや減少

日本自然保護協会は、ミシシッピアカミミガメ(写真1)および在来のカメの生息状況を調査するために「自然しらべ2023 日本のカメ一斉調査」を2023年7月1日~9月30日の期間で実施し、その集計結果を発表しました。

写真1:ミシシッピアカミミガメ。2023年6月より外来生物法の「条件付特定外来生物」として規制対象となっている

【調査概要】
・調査期間:2023年7月1日~9月30日
・参加者数:1,824名
・確認個体数:3,181匹(2,529件の投稿データのうち確認されたカメの総個体数)
・集計対象数:2,147匹(表1、動物園や水族館等を除き集計対象とした1,729件の投稿データで確認されたカメの個体数)
・監修:矢部隆(日本カメ自然誌研究会代表)
※本事業は環境省請負業務として実施

表1:2023年の調査で確認されたカメの集計結果

※1 日本にはニホンスッポンとチュウゴクスッポンが生息しているが、外部形態で識別するのは難しいため、今回の分析においては両種を合わせて「スッポン」として扱っている
※2 リュウキュウヤマガメ、ヤエヤマセマルハコガメ、ヤエヤマイシガメ
※3 ミナミイシガメ、カミツキガメ、ハナガメ、ミシシッピニオイガメ

この「日本のカメ一斉調査」は10年ごとに開催されています。2003年と2013年の個体数はミシシッピアカミミガメ、クサガメ、ニホンイシガメ、スッポンの順でしたが、表1のとおり2023年の調査ではスッポンとニホンイシガメの順位が入れ替わりました。

2003年、2013年、2023年の割合変化をみると、ニホンイシガメは9.9%→9.1%→8.8%、クサガメは21.1%→20.3%→17.8%と微減。ミシシッピアカミミガメは2003年、2013年の60%強から2023年の約55%に減少しました。一方、スッポンは、2003年と2013年は2~3%だったのに対し、2023年は13.8%と4倍以上の増加がみられました(図1)。スッポンの著増の原因は不明で、同協会では、外来種のチュウゴクスッポンの実態や生態系への影響も含めて、今後の調査研究が必要としています。なお、各種の確認地点は図2のとおりです。

図1:2003年、2013年、2023年の本調査によるカメの割合比較

図2:ミシシッピアカミミガメ(左上)、ニホンイシガメ(右上)、クサガメ(左下)、スッポン(右下)の確認地点

「自然しらべ」とは

同協会が進めている「自然しらべ」とは、身近な自然に出かけて全国同じテーマで調べる、市民参加型プログラムです。「みんなで、みれば、みえてくる」を合い言葉に、身近な自然の状況を知る「自然の定期健康診断」として、1995年から毎年継続されています。集まった情報は、学術協力者の監修のもとまとめられ、日本の自然を守る活動に活用されています。同協会では、この活動により、多くの人が自然への愛着と関心を高めることで、日本の生物多様性の保護につながることを目指しています。

「自然しらべ2023 日本のカメ一斉調査」の詳細などは、公益財団法人日本自然保護協会のウェブサイトへ。
http://www.nacsj.or.jp/