タスマニアデビルが再び多摩動物公園にやってきた!
2023年10月より国内での飼育が途絶えていたタスマニアデビルの2頭、ワイティーとパピティが、2024年3月14日より多摩動物公園にて一般公開されています。
タスマニアデビルはオーストラリア・タスマニア州固有の肉食性有袋類です。腐肉食動物(スカベンジャー)であり、動物の死骸を優れた嗅覚でかぎつけて、群れで食べる習性があります。
2008年には絶滅危惧種に指定されており、今回はタスマニアデビルを絶滅の危機から救うことを目的としたプログラム「セイブ・ザ・タスマニアデビル・プログラム(Save the Devil Program)」の一環として多摩動物公園で飼育されることとなりました。
「タスマニアデビル」スペシャルトークイベント
3月20日には同園ウォッチングセンター内にて、スペシャルトークイベントが行われ、同園園長の渡部浩文氏と、飼育担当の永田典子氏が講演しました。
なぜタスマニアデビルは減ってしまったのか?
渡部氏は講演にて、タスマニアデビルを絶滅の危機に追いやった病であるデビル顔面腫瘍病(DFTD:Devil Facial Tumor Disease)や、セイブ・ザ・タスマニアデビル・プログラムなどについて話しました。
DFTDは1996年代に公式に診断された伝染性のがんです。感染した個体が他の個体を噛むことによりタスマニアデビル間でがんが伝染します。これにより、1990年代後半から個体数が激減し、絶滅の危機に瀕するようになりました。DFTDは現在、タスマニア州の80%以上に分布しているといわれています。
これを受け、2003年にタスマニア州天然資源管理局により「セイブ・ザ・タスマニアデビル・プログラム」がスタートしました。プログラムでは、DFTD感染個体の識別や、感染がない場所への個体の移動、ロードキルを減らすための対策、ワクチンの開発や投与試験、そして一般向けの情報提供に取り組んでいます。
2013年からはプログラムの一環として、繁殖に参加させないタスマニアデビルを海外に大使として派遣して現状を知ってもらうことを目的とした「アンバサダープログラム」がスタートされました。ワイティーとパピティは、このプログラムにより多摩動物公園にやってきました。
タスマニアから多摩動物公園に来るまでの道のり
現地で対応にあたった永田氏からは、タスマニアにあるタスマニアデビルの保護施設クレッシーワイルドライフセンター(Cressy Wildlife Centre)の説明や、タスマニアデビルを多摩動物公園まで輸送する際の出来事などについて講演がありました。
同施設には約70個の部屋があり、最大50頭のタスマニアデビルを飼育できます。野生のタスマニアデビルが施設に入れないようにフェンスに鉄板が貼られているほか、万が一入ってしまったときのために罠も仕掛けられているなど、厳重な体制で飼育されています。2頭は、この施設から多摩動物公園までの長い移動経路を、できる限りストレスがかからないように工夫しながら運ばれたそうです。
また、もともとは2頭とも違う名前が付いており、最終的にはタスマニアの先住民族の言葉で、ワイティーは「虹」、パピティは「稲妻」を意味する名前となったというエピソードも披露されました。
永田氏はまた、ワイティーとパピティが慎重な性格をしていることに触れ、「慣れるまでは、そっと短い時間で見ていただきたい」と理解を求めました。
タスマニアデビルについて深く学べる絶好の機会!
多摩動物公園では、タスマニア島の紹介や、タスマニアデビルの生態や野生での現状について説明するパネルが、2024年5月28日まで設置されます。
また、「セイブ・ザ・タスマニアデビル・プログラム」の支援のため、2024年5月28日まで募金箱が設置されています。集まった支援金は、タスマニア大学におけるDFTDの研究などに活用されるとのこと。
さらに園内のカフェでは、飼育員が監修し、細部までこだわった特別メニュー「タスマニアデビル飲んデビル?」が販売されています。タスマニアデビルの姿がマシュマロで再現されているほか、毛の黒がコーラで、耳の赤がカシスのシャーベットで表現されています。
※数量限定品のため、なくなり次第終了。
この機会に、ぜひ多摩動物公園を訪れてみてはいかがでしょうか。
多摩動物公園 公式サイト:
https://www.tokyo-zoo.net/zoo/tama