書籍『見る・撮る・描く 身近な飛ぶ虫観察図鑑』(著:石井誠、監修:岩野秀俊)

緑書房は、『見る・撮る・描く 身近な飛ぶ虫観察図鑑』(著:石井誠、監修:岩野秀俊)を発売中です。そこで、身近な昆虫を最大限に楽しむことができる本書の魅力をちょっとだけ紹介します!

身近な昆虫の飛翔姿をふんだんに掲載!その数なんと90種以上!

昆虫という存在は私たちの身の回りにありふれています。どんな場所であろうと、どんな時期であろうと、野外に出れば昆虫を見かけないことはありません。それどころか家の中に入ってくることさえもあります。

しかし、そんな身近な昆虫のことを、あなたはどれだけ知っていますか?

なんとなく「虫が飛んでいる」ですまされている彼らは、想像もできないほど長い年月をかけて飛翔という能力を獲得し、吸蜜のため、交尾のため、外敵から逃げるためなど、さまざまな理由で飛び回っています。【昆虫観察歴80年以上】の著者は、「極論すれば、飛翔している姿を観察することで、彼らの生命活動のほとんどを知ることができるのではないか」とまで語ります。

セミやハチは4枚の翅(はね)をもっていますが、じつは後翅(こうし)の筋肉は退化していて、前翅(ぜんし)との間にある連結を使って羽ばたいています。ハエやアブのような2枚しか翅をもたない昆虫では、後翅が変化した「平均こん」と呼ばれる耳かき状の突起を使ってバランスを保つことで器用に飛翔することができています。

「飛ぶ」とひと口にいっても、種によってこれだけの違いがあるなんて、昆虫の飛翔とはなんて奥深いのでしょう。

写真:飛翔するカラスアゲハ(上)とビロウドツリアブ(下)

本書では、撮影するのが難しい、野外での自然な状態で飛翔する昆虫たちの姿をとらえた貴重な写真を豊富に掲載するとともに、生態情報や観察すべきポイントなどを、長年昆虫を見つめ続けてきた著者ならではの視点で愛情たっぷりに紹介しています。

読者の皆さんにはこの本を読んで、何気なく見ていた飛び回る昆虫に少しでも興味を持っていただき、昆虫観察や昆虫撮影をはじめるきっかけとしていただければ幸いです。(本書「まえがき」より一部引用)

写真:本書内「カラスアゲハ」

写真:本書内「オオスカシバ」

写真:本書内「シロテンハナムグリ」

著者はなんと御年94歳のベテラン昆虫写真家

本書の著者、石井誠さんは1929年生まれの94歳。昆虫観察歴は実に80年以上、撮影歴も約70年という超ベテランの昆虫写真家です。本書の中には著者が昆虫を楽しむために行っている撮影、描画、研究などの活動について、そして著者自身がどのようにして在野の自然愛好家として続けてきたのかについて紹介したページもありますので、ぜひ日々の昆虫観察の参考にしてみてください。

写真:御年94歳で渾身の一冊をまとめた石井誠さん。昆虫への情熱は衰え知らず

そんな著者について、昆虫学者である監修者の岩野秀俊さんはこのように語ります。

著者の石井誠さんは、長年にわたって身近にいる昆虫たちを地道に観察し、彼らの魅力的な生活ぶりを多くの生態写真として記録してきた、在野の自然愛好家の第一人者とも呼ぶべき人物です。昆虫たちの生息場所や生活ぶりは多種多様で、昆虫を観察して写真撮影することは決して容易なことばかりではなかったはずです。

あるときは地際の花や草にいる昆虫の決定的瞬間を撮影するために、地べたに伏したまま辛抱強く待機したり、またあるときは生い茂った草地や灌木を分け入ったり、ひたすら樹幹の穴を見つめ続けるなんてこともあったでしょう。しかも、昆虫たちが活動する時期は主に春から秋にかけての気温が高く、暑い時期に重なりますので、必然的に大汗をかきながら昆虫観察を行うことになります。

ここまで苦労して野外で昆虫を追い続ける著者の並々ならぬ情熱と意欲には、ただただ驚くばかりです。94歳を過ぎてなお意欲は衰えず、野外観察を継続していることには脱帽するしかありません。その姿勢や行動力は後学の自然愛好家にとっても良き鑑となるはずです。(本書「監修者のことば」より抜粋)

写真:カメラを抱えて虫を探す日々。この日はナツミカンの木に飛来したナミアゲハを撮影できました

身近な「普通種」の魅力に気づく1冊

本書には珍しい昆虫たちはほとんど登場していません。私たちの身近にある公園や緑地、雑木林などの自然環境の中でひっそりと暮らしている普通種の昆虫たちに視線を向けて観察・撮影した生態写真が紹介されており、彼らの興味深い生態を知る絶好の機会になると確信しています。

さらに、本書では多くの昆虫たちの顔や体型などを描いた細密画もふんだんに登場しますが、生態写真とは違った新鮮な驚きや感動があり、見応えのある図鑑となっています。(本書「監修者のことば」より抜粋)

写真:クロウリハムシの顔(細密画)を描いている最中。「同じ種類でも、個体ごとに顔が異なるのが面白い」と語る石井誠さん

【主要目次】
第1章 チョウのなかま
第2章 ガのなかま
第3章 トンボのなかま
第4章 ハチのなかま
第5章 アブ・ハエのなかま
第6章 甲虫・その他のなかま
著者の活動

【著者】
石井 誠(いしい・まこと)
1929年神奈川県横浜市生まれ。昆虫観察歴80年を超えるベテラン昆虫写真家で、撮影した昆虫の細密画(対象を細部まで緻密に描写した絵)も描いている。公園や雑木林などで身近な昆虫を観察、撮影する傍ら、専門誌で研究発表を行い、地域の学校などでの昆虫観察教室の講師を務める。神奈川昆虫談話会会員、相模の蝶を語る会会員。主な著書に『昆虫のすごい瞬間図鑑』、『公園で探せる昆虫図鑑』、『昆虫びっくり観察術1 顔からみえる虫の生き方』、『昆虫びっくり観察術2 体からみえる虫の能力』(以上、誠文堂新光社)、『虫の顔』(八坂書房)などがある。

【監修者】
岩野秀俊(いわの・ひでとし)
1951年東京都北区生まれ。博士(農学)。元日本大学生物資源科学部教授、元日本鱗翅学会会長、相模原市立博物館協議会会長。チョウをはじめとする昆虫の生態や分布を専門として研究し、現在は相模の蝶を語る会の会長として昆虫好きの談話の場を運営している。主な著書(分担執筆)に『日本産蝶類の衰亡と保護 第5集』(日本鱗翅学会)、『日本の昆虫の衰亡と保護』(北隆館)、『神奈川県昆虫誌』(神奈川昆虫談話会)、『相模原市史自然編』(相模原市)、『バイオロジカル・コントロール』(朝倉書店)などがある。

※略歴は出版時の情報です。

【本書概要】
・書名:見る・撮る・描く 身近な飛ぶ虫観察図鑑
・著者:石井 誠
・監修者:岩野秀俊
・発行:緑書房
・体裁:A5判 192頁
・定価:2,420円(本体2,200円)
・ISBN978-4-89531-899-0

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