動物業界のお仕事:ペットフードメーカーの研究開発職(イースター)

「いきもののわ」6月の特集では、いろいろな「動物業界のお仕事」を紹介していきます!

今回は、ペットフードメーカーで製品の研究開発をしている橋本さんに、1日の業務や就職までの経緯、この仕事を目指す人へのアドバイスなどをお聞きしました!

写真:勤務地であるイースター本社

写真:イースターの橋本さん

私の業務は多岐にわたり、ペットフードの研究、企画、配合設計、そしてプロモーションの企画立案や実施などです。毎日のルーティン業務はありませんが、デスクワークが中心となります。

写真:橋本さんのデスク。WEBデザインの制作もするため、パソコンが2台ある

現在は、主に新製品の開発にかかわっています。関係者と協力しながら、毎日少しずつ複数商品の開発を進めています。

新製品開発のおおよその流れとして、スタート段階では社内の関係部署との打ち合わせを重ね、情報を集めてコンセプトを決めていきます。大枠が決まったところで、レシピ作りに必要となる、さまざまな栄養成分の目標値を定めて、使用する原材料を選定します。レシピは、粒の成形しやすさや嗜好性なども考慮しながら作成しています。ときには工場から原材料を取り寄せて、手作りのサンプルを作って味見することもあります。

写真:レシピ作成のためにサンプルを手作りすることも

写真:試作品の検証では、粒のサイズの確認のほか、実際に食べて味や食感なども確認する

新製品の開発だけでなく、プロモーションの企画にもかかわっているため、自分たちがゼロから開発したペットフードの感想をお客様からお伺いするときに、最もやりがいを感じます。

嗜好性はもちろんのこと、開発商品におけるコンセプトやこだわりが、お客様にしっかりと伝わったのだという実感が何よりの励みになります。ペット関係のイベントであるインターペットに、ドッグフード「霧島鶏じゅわドーン!」のプロモーション企画のために参加した際には、「見た目がさらにおいしそうになった!」、「これを試しに与えてみたら、愛犬の一番のお気に入りになった!」と嬉しいご意見やご感想をたくさんいただきました。これからもお客様とペットが笑顔になれるペットフードの開発に尽力していきます。

写真:もらった感想が開発の励みに

もともとは獣医師を目指していましたが、動物看護を学べる学科がある大学へ進学しました。さまざまな専門分野を勉強しているうちに、人と同じく動物にとっても、毎日の食事が健康維持に重要であることに興味を抱きました。そして、在学中にアルバイトをしていた動物病院で、食事とは健康維持を助けるだけではなく、病気の治療のサポートとしても重要なものであると実感しました。また、犬や猫の主食となる「総合栄養食」の設計であっても、使用する原材料とさまざまな栄養成分の組成に完璧な答えがないことが、栄養学のおもしろさと魅力であると感じました。これらの理由から、ペットフードの配合・設計にかかわる職に就くことを決心しました。

エキゾチックアニマル用(特にウサギ)のペットフードの設計の仕事をしたいと考えていましたが、就職活動の時期に募集がありませんでした。そのため卒業後は一度、現在とは違う職種に就きました。

しかしながらペットフードの設計にかかわる仕事をすることを諦めきれず、社会人として働きながらも求人情報を随時確認していました。その際に、当社の営業部の求人案内を目にし、研究開発職の募集をかける予定がないかを採用担当者へ電話にて問い合わせました。イレギュラーな形ではありますが、その後に送付した履歴書の内容から、2回の面接を経て、就職となりました。

ペットフードの配合や設計にかかわる仕事を目指す場合には、採用活動をしている企業へ、栄養学が得意であり、その分野に興味や関心をもっていることを伝える必要があります。採用試験がない場合には、関連する資格を自発的に勉強して取得することが実力の証明になるかもしれません。そのほかにも、エキゾチックアニマルなどは、専門的な文献が英語であることが多いため、英語の文献を和訳して理解できる英語力を身につけておくと情報収集がしやすくなります。

私の場合は、取得している資格の多さから採用担当者の関心を得られ、イレギュラーな形ながらも採用に至りました。そのため、ひとつの強みを作れるように、資格の取得を頑張ってみるのも良いかもしれません。

橋本祐衣(はしもと・ゆい)
イースター株式会社 企画開発部 研究開発課勤務