動物業界のお仕事:動物専門学校の教員(中央動物専門学校)

「いきもののわ」6月の特集では、いろいろな「動物業界のお仕事」を紹介していきます!

今回は、愛玩動物看護師を育成する動物専門学校の教員である山下さんに、1日の業務や就職までの経緯、この仕事を目指す人へのアドバイスなどをお聞きしました!

*動物病院などで診療補助業務を行う仕事。2022年に国家資格として定められ、2023年に最初の愛玩動物看護師国家試験が実施された。

写真:中央動物専門学校の山下さん

出勤後は、9時にホームルームの教室へ向かい、出席確認や連絡事項の伝達をします。9時10分に授業がはじまった後は、担当の授業をしたり、保定や検査方法などの実習のアシスタントについたりします。アシスタントでは、授業の内容や実習に必要な技術を、各班の学生に教えにいきます。このようにして16時ごろまで授業をします。

写真:動物臨床看護実習の講義を担当する山下さん

昼休みや放課後は、個別の学生への対応や、教室の清掃チェックなどをします。そのほかにも空いている時間を見つけて、授業資料の作成、実習の準備、備品の在庫管理などをします。また、学校で学生が当番制で飼育しているウサギのお世話の最終確認をしたりもします。学校に勤める獣医師と一緒に、学校で飼育している校有犬の治療や検査をすることもあります。

愛玩動物看護師も教員も、仕事をすることで誰かのためになれるところにやりがいを感じます。

動物病院で勤務していたときに、末期がんを患っている猫のセカンドオピニオンをしていたことがあります。長い闘病生活の最後に飼い主さんが「うちの子にかかわったのがあなたで、本当に良かった。ありがとうございました」と、つらい思いのなかで感謝をしてくださったときに、大きなやりがいを感じました。今でも、その飼い主さんとは定期的に交流をしています。

教育の現場でも同様に、授業中に学生の成長を感じたときや、卒業後に学校に来て元気な姿を見せてくれたとき、また企業説明会で登壇している姿などを見て「立派に頑張っているな」と感じたときに、学生のためになれたのでは、と嬉しく思います。

写真:授業中に感じる学生の成長も、やりがいのひとつ

幼少期から動物が大好きで触れあう機会も多く、家でも犬、猫、フェレットなどを飼育していました。そのため、動物関連の仕事に就きたいと子どもの頃から考えていました。そして中学生のときに、動物病院の職業体験で動物看護師(当時の名称)という仕事を知りました。誰かの話を聞いて、その手助けをするような仕事が自分には向いていると感じていたため、そこから動物看護師を目指しはじめました。

こうして動物看護師となって動物病院に就職したあとに、転職活動をしました。もともとは違う動物病院への就職を考えていましたが、母校である動物専門学校の先生へ相談したときに、教職についての話を聞き、「愛玩動物看護師を目指すこれからの子どもたちに自分の経験などを伝えて、具体的な愛玩動物看護師像をイメージしてもらいたい」と思うようになりました。

写真:愛玩動物看護師を目指す学生に経験を伝えたい

動物専門学校に3年間通い、卒業した後に動物看護師(当時)として動物病院で働きました。そこで受付業務や入院管理、診察補助、手術助手などの動物看護師業務をしながら、飼い主さんやボランティア団体とも交流しつつ、4年半ほど勤務しました。

その後、転職活動をする際に、母校の先生に伺った話をきっかけとして動物専門学校に教員として就職しました。そして、教員となって1年目のときに愛玩動物看護師が国家資格となったため、受験して資格を取得しました。

まずは愛玩動物看護師の立場から、動物を飼育しているかどうかに関わらず、動物が大好きであることがこの仕事には大切だと伝えたいです。また、動物医療の現場は命を扱うため責任が伴います。基本的な勉強の習慣をつけるだけでなく、日頃から自分のしたいことや任されたことに責任をもち、最後までやり抜く意識を身につけると良いと思います。

また、愛玩動物看護師と教員のどちらについても、飼い主さん、学生・保護者、業者の方など、さまざまな人とコミュニケーションを取らなければなりません。そのため、人とのかかわりを大事にできる力も重要です。

大変なこともあると思いますが、好きなことをしているという気持ちが努力の原動力になると思いますので、ぜひ夢に向かって頑張ってください。

山下怜華(やました・れいか)
中央動物専門学校 教員室 愛玩動物看護科