イタリア北部に位置するヴェネツィアは、100以上の島々で構成され、「ヴェネツィアとその潟」として世界文化遺産にも登録されています。かつてヴェネツィア共和国の中心だったこの街は、地中海貿易の中継地として繁栄し、「アドリア海の女王」と称えられました。
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歴史的建造物に囲まれた運河や、橋のある街並みが美しい「水の都」ヴェネツィアは、たくさんの映画や文学作品の舞台になっています。ヴェネツィアを象徴するゴンドラ(手漕ぎ舟)もゆったりと運河を行き交っていました。
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今回は、そんな「水の都」で出会った猫を紹介します。
「高潮」の名をもつ本屋
「Libreria Acqua Alta(アクア・アルタ書店)」という本屋は、観光名所にもなっています。店名のアクア・アルタは「高潮」という意味で、ヴェネツィア周辺でたびたび発生する冠水、つまりヴェネツィアの悩みの種が店名になっています。店内にゴンドラが置かれ、その中に本が陳列されている不思議な店でした。また、猫がいる本屋としても知られていて、店内では猫が自由に過ごしています。
私が訪問したときは、レジの横で店員さんと一緒に店番をしていました。イタリア語の本は簡単には読めないので購入する勇気が出ませんでしたが、しおりやポストカードなど、猫をモチーフにしたヴェネツィアらしいお土産を買うこともできました。
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水上バスでヴェネツィアの離島めぐり
ヴェネツィアには、本島以外にも毎年映画祭が開催されるリド島、ヴェネツィアン・グラスの産地であるムラーノ島、レース編みが特産品のブラーノ島など、さまざまな島があります。島間や島内での移動は水上バスがメインです。人気観光スポットを往来する船乗り場には、驚くほどの大行列ができていました。
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離島には、本島とは雰囲気が違うオシャレな建物がたくさんあり、どこを撮影しても絵になります。猫たちも美しい風景に溶け込んでいました。
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イタリアでは、公共交通機関やレストランなどで犬を連れた人を多く見かけます。ヴェネツィアの水上バスにも、よく犬が乗っていました。目的地まで飼い主の足元で大人しく待っている、しっかりしつけられた犬ばかりでした。街中にいる犬たちも、猫と遭遇しても冷静に通り過ぎていきます。
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街を散策していると、通りがかりの家のドアがちょうど開き、中から猫が出てきました。この猫の日課は、ドアの前に座って通行人を見守ることのようです。
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2階の窓から顔を出したご婦人と何やら話をしている猫もいました。私もつい猫に話しかけてしまうタイプなので、それで恥ずかしい思いをすることがときどきあります。しかしイタリアでは猫に話しかける人をよく見かけたので、その点を気にする必要がなく、とても居心地が良かったです。
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夕方になると、猫たちは自分の家に帰っていきました。日中は外で自由に過ごし、夕方になるとそれぞれの家に戻る生活をしているようです。
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【文・写真】
町田奈穂(まちだ・なほ)
埼玉県出身。世界中を旅しながら、地域の猫を撮影している。猫の表情や仕草、猫が暮らす環境の色と光に重点を置いた写真が特徴。2023年に世界一周旅行を達成し、初の個展を開催。その他、企業カレンダーやグループ展など精力的に活動中。
Instagram:cat_serenade
X(旧Twitter):naho_umineko
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