「いきもののわ」6月の特集では、いろいろな「動物業界のお仕事」を紹介していきます!
今回は、動物衛生についてのコンサルタントをしている木間さんに、1日の業務や就職までの経緯、この仕事を目指す人へのアドバイスなどをお聞きしました!
1日の業務について教えてください!
私のおもな担当業務は、畜産農場(養牛、養豚、養鶏)へのコンサルティングです。農場へ出向いて、衛生指導、管理改善の提案、従業員の教育、分析用の検体の採取などをします。関係先での講演会や、雑誌記事の執筆などをすることもあります。
朝は、車両の消毒や器材の準備をしたのちに農場へ向かいます。訪問する農場の多くは養豚場です。農場のルールに従ってシャワーを浴びたあと、農場内を巡回します。分娩ステージの次に離乳ステージというように、衛生レベルが高い順に巡回して、動物の状態や飼養状況の確認をします。農場の規模によっては半日で巡回が終わる場合もありますが、大きい農場では丸一日かかります。
巡回が完了した後は、まとめとして従業員の方向けに巡回の報告をします。飼養管理の面から、問題点などの指摘やアドバイスをしています。農場から帰社した後は、器材の片付けや巡回報告書の作成、電話相談への対応、検査相談、そのお見積りの作成などの事務作業をします。
仕事のやりがいを教えてください!
昨今の法定伝染病の流行などもあり、厳しい現状が続いている畜産現場に深くかかわる立場なので、つらく大変なことも多くあります。しかし、畜産は食の源流であり、農場の方はとても高い意識で安心安全な畜産物の生産に取り組んでいます。その生産者さんに寄り添い、一緒に悩みながら問題の解決や感染症の予防にかかわれることに、「食の安全を支える縁の下の力持ち」として非常にやりがいを感じています。
また、かつては改善点が多く動物の活力も低かった農場で、改善後に生き生きとした動物の姿を見られることにも、動物の命に向き合う者としてやりがいを感じています。
どうしてこの職に就こうと思ったのですか?
幼少期から動物が大好きで、将来は動物にかかわる仕事がしたいと考えていたため、畜産系の大学に進学しました。そして、大学の授業で「命とは何だと思いますか」という問いかけを受け、それまでふんわりとつなげて考えていた「動物と食」が、自分の中では切り離せないものだと明確に気づきました。「動物」も「食」も大好きなので、人間の生活に深くかかわる畜産業界に興味をもつようになりました。
就職活動をしていくなかで今の仕事について知り、畜産農家を検査やコンサルティングを通して支える仕事であり、たくさんの動物や人、食にかかわれるという点を非常に魅力的に感じたため、志望して就職しました。
就職してからのことを教えてください!
就職後は、社内研修で検査の知識や検体採取の手技手法などを学びました。また、畜産現場のコンサルタントは多くの現場経験が必要なので、既存顧客への訪問や、現場の状況の聞き取りなどを重ねて経験を積みました。先輩や上司から指導を受けたほか、農場の方に現場での詳細な情報の提供や、動物のハンドリングや機材の使い方の指導など多くの経験をさせてもらったことで、コンサルタントとして育てていただきました。畜産現場は常に情報が更新されていくので、今でも日々の勉強を続け、新しい情報は農場の方と一緒に検証していくようにしています。
この職を目指す学生さんに、アドバイスはありますか?
この仕事では、言葉を話さない動物に興味をもって対応することはもちろんですが、人との関係性を作ることも非常に大切です。畜産現場以外の知識を流用することも多くありますので、いろいろなことに興味を持って頑張ってほしいと思います。
木間奈都子(きま・なつこ)
株式会社食環境衛生研究所 動物衛生コンサル事業部
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動物業界のお仕事:動物用医薬品メーカーの学術職(日本全薬工業)
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動物業界のお仕事:動物衛生のコンサルタント(食環境衛生研究所)
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