動物業界のお仕事:動物用医薬品メーカーの研究開発職(共立製薬)

「いきもののわ」6月の特集では、いろいろな「動物業界のお仕事」を紹介しています!

今回は、動物用医薬品メーカーで水産用医薬品の研究開発職をしている内山さんに、1日の業務や就職までの経緯、この仕事を目指す人へのアドバイスなどをお聞きしました!

写真:共立製薬の内山さん

ブリのような養殖魚は、1尾ごとにワクチンを注射することを知っていますか? 私は、ブリ、マダイ、ウナギなどの養殖魚を対象とした、ワクチン、駆虫剤、抗生剤、飼料の製品開発をしています。

私が所属する部署は、基礎検討から製品の発売までを一貫して行っています。そのため業務内容も、基礎実験、野外試験、申請書の作成、発売後の販売支援など、プロジェクトの段階によって多岐にわたります。魚を用いた試験をしているときには、午前中は魚の飼育管理をして、午後は書類作業をすることが多いです。

写真:試験用の魚の管理

「研究開発職」には実験室にこもっているイメージがあるかもしれませんが、社外で活動することも多くあります。特に野外試験では、実際の養殖場で作業することも、漁船で海へ出ることもあります。また展示会に参加してウナギの試食を配るなど少しユニークな業務が多いのも、この仕事の魅力だと感じています。

写真:野外試験のために漁船に乗ることも

自分がかかわった製品が、おいしい魚の生産に貢献していると実感できたときに、やりがいを感じます。

私は入社した直後に「大きくておいしい雌ウナギ」を生産する共同研究プロジェクトに配属され、技術の要となる飼料開発を担当しました。養殖業者の方から「今までよりも良い品質のウナギになった」とお声がけいただいたときや、試食イベントなどで「すごくおいしい!」と感想をもらえたときには、とてもうれしかったです。自分が手掛けた製品で育ったウナギが、鰻屋さんやスーパーに並ぶ日も近いので楽しみです。

高校生のころから生物や生命科学といった分野に興味がありました。大学時代は薬学部の薬科学科で学び、大学院では神経科学を研究しました。

製薬業界を中心に就職活動をしていた際に、動物用医薬品メーカーについて知りました。そして、当社では研究と開発で担当部署が分かれておらず、幅広い分野にかかわれることに興味をもったことが、この仕事に就いたきっかけです。大学では動物や魚については専門的に勉強していなかったため、入社してからも学びの連続です。

また、子どものころから生き物が好きで、うさぎ、猫、金魚などを飼っていたことも、この仕事に興味をもった理由のひとつです。子ども時代の自分に「今はお魚の薬を作る仕事をしている」と教えたら、びっくりすると思います。ちなみに今のペットはウナギの「うなちゃん」です。

写真:ペットのウナギ、うなちゃん(7歳)

ひとつの製品を作り上げるためには、社内外のさまざまな人とかかわりながら進める必要があるため、コミュニケーションは大切です。また、常に幅広いことへの興味関心と、学び続けようという意識をもち続けてください。

内山 藍(うちやま・あい)
共立製薬株式会社 ワクチン事業本部 ワクチン開発部 水産ワクチン課