志和口駅に新たな猫駅長が!! りょうま猫駅長を継ぐ2匹が担うもの

広島県を走るJR芸備線の志和口駅で「猫駅長」を務め、多くの人に愛された「りょうま」。多くの人に愛された名駅長でしたが、2019年に亡くなりました。そして2024年3月、元保護猫の「やまと」が2代目猫駅長に、その兄弟猫の「ちどり」が副猫駅長に就任しました。

元志和口駅長であり、りょうま記念館の館長を務める中原さんに、りょうまとの思い出や、やまと、ちどりの現在のおしごとについてお聞きしました。

「凛々しく賢い猫だった」りょうま猫駅長

りょうまは、2010年のある日にふらっと志和口駅にやってきて、そのまま居ついた野良猫でした。人や列車を怖がらず、駅をパトロールをしているかのような姿を見て、ちょうど和歌山県で「たま駅長」が話題になっていた時期だったこともあり、りょうまに「猫駅長になってもらおう!」と思いつきました。こうしたきっかけで、2012年にりょうまが猫駅長に就任しました。

写真:猫駅長のりょうま

りょうまは凛々しくて賢い猫でした。駅をパトロールしたり、ホームで電車や乗降客を出迎えたり、それはもう立派な駅長ぶりでした。撫でられても写真を撮られても動じず、帽子をかぶるのもお手のものでした。

写真:パトロール中のりょうま
写真:帽子をかぶるのもお手のもの

やまととちどりの就任式は大賑わい!

2024年3月に、志和口駅の2代目猫駅長として「やまと」が、初代副猫駅長として「ちどり」が就任しました。人を怖がらないことが、志和口駅の2代目猫駅長の任命における一番のポイントでした。この2匹はとても人懐っこく仲良しの兄弟猫だったのが決め手となりました。

写真:猫駅長のやまとと、副猫駅長のちどり

やまとは凛々しい顔立ちで、好奇心が強く、遊ぶことが大好きな猫です。動くものを見るとすぐに追いかけまわし、おもちゃもすぐに壊してしまうやんちゃ坊主です。猫駅長らしく、お客様が触れられる距離でくつろいでいることが多いです。

写真:赤い首輪がやまと猫駅長のトレードマーク

ちどりは少し丸顔でマイペースな猫です。やまとが遊んでいても無反応でお昼寝をしていますが、おやつの気配がすると素早くやってきます。のんびりとしていますが実は動きが機敏で、ジャンプ力はやまとよりも強いです。

写真:マイペースなところがあるちどり副猫駅長

5月に実施された2匹の就任式には約300人が訪れ、区長、地元の議員をはじめとして、国土交通大臣もかけつけてくださいました。遠方からの参加者も多く、宮城県や鹿児島県から来てくださった方もいました。人の多さと、いつもと違う雰囲気に2匹ともびっくりしてしまい、お披露目はほんの一瞬だけになってしまいましたが、訪れた方々に暖かく見守られながら、無事に式を終えることができました。当日は志和口駅のホームも芸備線の列車も、久しぶりに大賑わいとなり、昔の活気が戻ったようでした。

現在の2匹の「おしごと」は、ご飯をしっかり食べて、遊んで、毎日元気に過ごすことです。また、将来的に外出を目指して、ハーネスをつける訓練をしています。

写真:今のおしごとは毎日元気に過ごすこと!

2匹とも人を怖がらず、撫でられることも好きなので、とてもかわいがられています。網越しにお客様と触れ合うことができるのですが、よく網に寄りかかって寝ころんで、お客様に背中を撫でてもらっています。昼寝をしていることも多いのですが、皆さん幸せそうに眺めて帰られます。2匹に会うためだけに芸備線に乗ってくる方もいるため、じわじわと芸備線の利用に貢献できているようです。他県から訪れる方も多く、白木町に人が訪れるきっかけとなれていることが嬉しいです。

2匹とも、りょうまとは違う魅力で、たくさんの人に愛される猫駅長と副猫駅長になってほしいと思います。芸備線だけではなく、地域の活性化にもひと役買うことができるような存在になってもらえたら素晴らしいですね。

2匹とも、猫駅長としてこなしている任務は先代に遠く及びませんが、可愛さにおいては負けていませんし、人気も上昇中です。ぜひ会いに来て、元気と癒しをもらってくださいね。

中原英起(なかはら・ひでき)
JR芸備線志和口駅の元駅長。りょうま記念館館長および「りょうまを偲ぶ会」会長。