Cyclophiops semicarinatus(Hallowell, 1861)
トカラ列島、奄美群島、沖縄諸島に暮らすヘビで、平地から山地まで、比較的多く見つかります。
多くのヘビは夜行性なのですが、このヘビは日中に多く活動しています。昼行性といえば、本州でいうところのシマヘビやアオダイショウの位置にくるヘビです。と言っても、夜間も活動する姿を見かけたことがあります。大雨後の雨上がり、日中活動できなかったためか、路上に出る餌生物を捕食しに来たのかもしれません。
リュウキュウアオヘビの特徴
このヘビの変わったところは、その餌生物です。何を食べるかというと、ミミズです。見るからに不味そうで、栄養もなさそうです。これを専食しているのだから変わり者ですね。体のつくりに注目すると、頭がやたら小さいことに気が付きます。
ミミズを食べやすいように、地中に潜りやすく進化したのでしょうか? いずれにせよ、たくさんのミミズを食べないといけないので、毎日の餌探しは忙しそうです。
体には他にも特徴があります。他のヘビに比べると、体がかたいような感じがします。あまりとぐろを巻いた姿を見たことがありません。
追い込まれると、体の前半部を持ち上げ、くねらせて威嚇する姿を見たことがあります。あれだけ鎌首をもたげることができるのだから、一概に体がかたいとは言い切れないかもしれません。
でも安心してください。無毒の蛇です。
“アオ”ヘビなのに……?
卵から生まれてしばらくは頭部に斑紋が目立ちますが、成長とともに消失していきます。
体色のこととなると、このヘビの名前についても触れなければいけません。
アオヘビと名前がつきますが、日中見かけるヘビは緑色の背中に黄色いお腹。青くはないです……。
もしかしたら夜間に出会うと青いのかもしれないと思いましたが、ある時、夜間に路上で出会ったリュウキュウアオヘビは……緑色。いつになったら筆者に青い姿を見せてくれるのでしょうか?
体にブロッチ状の斑紋や黒いライン、もはや緑色でもない茶褐色の個体など、模様は様々ですが、まだ青色の個体とは出会えていません。
いつ幸運の青いヘビに出会えるのか、今でもドキドキしながら森へ自然観察に入っています。
ぜひ私よりも先に幸運の青いヘビを見つけてみてください。見つけたらこっそり教えてくださいね。
【文・写真】
関 慎太郎(せき・しんたろう)
1972年兵庫県生まれ。自然写真家、びわこベース代表、日本両棲類研究所展示飼育部長。身近な生きものの生態写真撮影がライフワーク。滋賀県や京都府内の水族館立ち上げに関わる。『日本のいきものビジュアルガイド はっけん!』シリーズ(カナヘビ、ニホンヤモリ、ニホンイシガメ、オオサンショウウオ、ニホンアマガエル、オタマジャクシ、イモリ、トカゲ、小型サンショウウオ)、『野外観察のための日本産両生類図鑑 第3版』『同 爬虫類図鑑 第3版』、『世界 温帯域の淡水魚図鑑』、『日本産 淡水性・汽水性エビ・カニ図鑑』(いずれも緑書房)、『うまれたよ! イモリ』(岩崎書店)、『日本サンショウウオ探検記 減り続ければいなくなる!?』(少年写真新聞社)など著書多数。
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