書籍『動物園・水族館の子づくり大作戦 希少動物の命をつなぐ飼育員・獣医師たちの奮闘記』(編著:成島悦雄)発刊

緑書房はこのたび、『動物園・水族館の子づくり大作戦 希少動物の命をつなぐ飼育員・獣医師たちの奮闘記』(編著:成島悦雄)を発刊しました。

希少動物の保全のために日本の動物園・水族館が果たしている使命と責任、たゆまぬ工夫の数々を紹介!

みなさんは動物園・水族館をどんなところだと思っていますか。
「いろいろな動物を見ることができる場所」「遠足で行くところ」「家族でのお出かけ先」などでしょうか。大方の感想をまとめれば、「世界中のいろいろな動物が集められて、友人や家族と楽しみながら観察するところ」になるでしょう。
しかし、動物園・水族館の役割はそれにとどまりません。公益社団法人日本動物園水族館協会(JAZA)は、動物園・水族館には「レクリエーション」「教育活動」「調査研究」「種の保存」の4つの役割があるとしています。

この本は、そのなかでも「種の保存」に着目し、国内外の希少動物を保全していくために、日本の動物園・水族館が取り組んでいる「子づくり」と「子育て」の工夫の数々を紹介しています。
執筆者は現場の第一線で奮闘している飼育員や獣医師であり、外から観察しているだけではわからない工夫や苦労の数々が語られています。

24種の赤ちゃん誕生物語!

イントロダクションの第1章では、動物園・水族館の役割と、繁殖への取り組みの全体像を紹介するとともに、動物の繁殖に関する基礎知識について解説しています。

第1章「動物園・水族館の役割」

メインとなる第2章では、哺乳類、鳥類、爬虫類・両生類を24種ピックアップし、動物園・水族館での繁殖に向けた取り組みや、赤ちゃん誕生の秘話を紹介しています。

第2章「ツシマヤマネコ」

動物に直接かかわる人にしか撮影できない臨場感あふれる写真もたくさん掲載しています。それら貴重な写真をながめるだけでも、非常に興味深いものとなっています。

第2章「ジャイアントパンダ」
第2章「アメリカマナティー」

「動物の保全のためにこんなことまでしているのか」「そんな工夫があったとは……」「こんなふうに子育てをするのか」など、意外な努力や工夫を知ることができ、さらに動物の意外な一面を垣間見ることができます。

第2章「ニホンライチョウ」
第2章「アカウミガメ」

締めくくりの第3章では、動物園・水族館の今後の課題・展望、最新情報などをまとめています。

ぜひこの本を読んで、野生動物の繁殖の難しさや奥深さを知り、さらには動物のおもしろさや不思議さを感じてみてください。

「この本をきっかけに、動物たちの命の大切さや動物園・水族館の存在意義、そしてそれらの未来について考えほしい」と編著者の成島悦雄さん

【主要目次】
第1章 動物園・水族館は何をするところ?
・動物園・水族館の役割
・Check 飼育係、飼育員、飼育技師
・繁殖への取り組み
・動物園・水族館の繁殖の基本的な流れ
・Check 知っておきたい 動物の繁殖学

第2章 赤ちゃんの誕生と成長の裏話
〈哺乳類〉
・ツシマヤマネコ 全国をまたにかけた人工繁殖の取り組み
・アマミトゲネズミ 飼育下繁殖への挑戦~トゲネズミ類の生息域外保全をめざして~
・アジアゾウ 大きいがゆえの苦労
・ジャイアントパンダ 竹を食べることで独特の進化をした動物
・ユキヒョウ 生態を活かし繁殖につなげる
・Column ユキヒョウ飼育の歴史に残る「シンギズ」
・ユーラシアカワウソ 自然環境の再現でみられた野生本来の子育て
・コアラ ポケット育児の苦悩
・ニシローランドゴリラ 待望の第2子・キンタロウ誕生までの軌跡
・Column モモタロウの誕生
・クロサイ どんな心配も無用? 安産の代名詞
・オカピ 日本初の挑戦
・キリン 予想外の出産と子育て
・Column アメリカから来たメイ
〈海に生息する哺乳類〉
・シャチ 繁殖から生態の謎を解く
・アメリカマナティー やさしい海のベジタリアンの介添え哺育への挑戦
〈鳥類〉
・ニホンライチョウ 奇跡の1羽からの復活計画
・トキ 野生絶滅からの復活
・Column トキとともに絶滅したトキウモウダニ
・ニホンイヌワシ 人工ふ化・育雛の成功
・シマフクロウ 神の鳥を守る動物園の役割
・タンチョウ 保護個体を活用した飼育下繁殖群の維持~釧路市動物園の北海道個体群~
・ハシビロコウ お見合い大作戦
・フンボルトペンギン 将来のための繁殖管理
〈爬虫類・両生類〉
・ミヤコカナヘビ 細やかな飼育管理でつなぐ保全
・アカウミガメ ウミガメを卵で守る
・コモドオオトカゲ 日本で遅れているトカゲの繁殖
・Column どちらが大きい? コモドオオトカゲvsハナブトオオトカゲ
・オオサンショウウオ 繁殖のカギは巣穴とヌシ?
・Column オオサンショウウオのことをもっと知りたい方へ

第3章 これからの動物園・水族館
・動物園・水族館を未来につないでいくために

【編著者】
成島悦雄(なるしま・えつお)
獣医師。東京農工大学農学部獣医学科を卒業後、上野動物園、多摩動物公園の動物病院に勤務。2010~2015 年まで井の頭自然文化園園長を務める。その他、公益社団法人日本動物園水族館協会専務理事、日本獣医生命科学大学客員教授、日本野生動物医学会評議員など歴任。著書に『進化のたまもの!どうぶつのタマタマ学』(監修、緑書房)、『ヤバいけどおいしい!?せいぶつ図鑑』(監修、世界文化社)、『驚きの身体能力!アスリートな動物図鑑』(監修、ナツメ社)、『これだけは知っておきたい どうぶつ図鑑』(監修、パイインターナショナル)、『自然散策が楽しくなる!日本の生きもの図鑑』(監修、池田書店)、『どうぶつカード』(監修、永岡書店)、『小学館の図鑑NEO[新版]動物 DVD つき』(共監修、小学館)、『珍獣図鑑』(執筆、ハッピーオウル社)、『動物園学入門』(共編著、朝倉書店)など。

【執筆者】
・飯間裕子/釧路市動物園/第2章・タンチョウ
・石和田研二/元 横浜市立よこはま動物園(ズーラシア)/第2章・オカピ
・磯 哲雄/宇都宮動物園/第2章・キリン Column
・大橋直哉/公益財団法人東京動物園協会 多摩動物公園教育普及課/第1章・動物園・水族館の繁殖の基本的な流れ
・乙津和歌/東京都立大島公園/第2章・アジアゾウ
・勝俣悦子/鴨川シーワールド/第2章・シャチ
・金子良則/トキふれあいプラザ/第2章・トキ
・木村夏子/公益財団法人高知県のいち動物公園協会/第2章・ハシビロコウ
・齋藤純康/鴨川シーワールド/第2章・アカウミガメ
・坂田修一/公益財団法人東京動物園協会 野生生物保全センター/第2章・コモドオオトカゲ
・桜井普子/鹿児島市平川動物公園/第2章・コアラ
・佐藤哲也/那須どうぶつ王国/第2章・ニホンライチョウ
・清水 勲/多摩動物公園/第2章・キリン
・高木嘉彦/埼玉県こども動物自然公園/第2章・アマミトゲネズミ
・田口勇輝/元 広島市安佐動物公園、オオサンショウウオ生態保全教育文化研究所/第2章・オオサンショウウオ
・田島日出男/井の頭自然文化園/第2章・ツシマヤマネコ
・中尾建子/アドベンチャーワールド/第2章・ジャイアントパンダ
・中村千穂/環境水族館アクアマリンふくしま/第2章・ユーラシアカワウソ
・成島悦雄/上掲/第1章・動物園・水族館の役割、繁殖への取り組み、Check 知っておきたい動物の繁殖学、第2章・ニシローランドゴリラ Column、第3章・動物園・水族館を未来につないでいくために
・畑瀬 淳/広島市安佐動物公園/第2章・クロサイ
・原藤芽衣/那須どうぶつ王国/第2章・ニホンライチョウ
・藤本 智/釧路市動物園/第2章・シマフクロウ
・本田直也/札幌市円山動物園、一般社団法人野生生物生息域外保全センター/第2章・ミヤコカナヘビ
・真壁正江/沖縄美ら海水族館/第2章・アメリカマナティー
・松井由希子/井の頭自然文化園/第2章・ユキヒョウ
・三浦匡哉/秋田市大森山動物園/第2章・ニホンイヌワシ
・安井早紀/京都市動物園/第2章・ニシローランドゴリラ
・山田 篤/新潟市水族館マリンピア日本海/第2章・フンボルトペンギン

※略歴・所属は出版時の情報です。

【本書概要】
・書名:動物園・水族館の子づくり大作戦 希少動物の命をつなぐ飼育員・獣医師たちの奮闘記
・編著者:成島悦雄
・発行:緑書房
・体裁:A5判 288頁 全カラー
・定価:本体2,700円(税別)
・発売日:2024年11月29日
・ISBN978-4-89531-995-9

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