良いパピー用フード選びの4つのポイント

パピーを家族に迎えると決めたら、最初に考えたいのはドッグフードではないのでしょうか? 健康に育つために「うちの子にベストなドッグフードを選びたい!」と意気込む気持ちはよくわかりますが、まずは新しい環境に慣れてもらうことが大切です。からだの外と中の環境が一度に変わることは、からだの未熟なパピーにとって大きな負担になります。
そのため、問題がない限り、家族として迎えた日からしばらくは、ペットショップやブリーダーなどがそれまで食べさせていたペットフードを与えるのが望ましいでしょう。ペットフードを変えたい場合は、次のような4つのポイントに着目して愛犬に適したフードを選びましょう。
※パピーの定義は、犬種や個体によって異なりますが、下記の表を参考に判断してください。

サイズ別で成犬になる月齢の目安

1.  総合栄養食のパピー用(成長期用)フードかチェック!

「毎日食べる主食には総合栄養食を選ぶ」のが基本です。
総合栄養食とは、水とそのペットフードで健康が維持できるように栄養バランスを整えて作られたペットフードのことです。パピー用の総合栄養食では、正常な発達を促し、健康なからだをつくるためにたんぱく質、脂質、カルシウムやリンといった栄養素が成犬用フードより多く配合されています。
総合栄養食の中には「全年齢対応」「オールライフステージ用」などのような、どの年齢にも与えられる商品もありますが、からだの未熟なパピーが十分な栄養やエネルギーを高消化性の食事から得るには、パピー用に配合された商品が望ましいでしょう。

高品質なパピー用フードには、成長過程の未熟なからだをサポートする栄養素が添加されています。例えば、フルクトオリゴ糖や乳酸菌はおなかの健康を良好に保ち、魚油に多いEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といったn-3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸: エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、αリノレン酸の総称)は脳や神経の発達に必要です。

2.  犬のサイズに適したパピー用フードかチェック!

「大きくなるようにたくさん食べてね」と思いたいところですが、たくさん食べればいいというものではありません。
特に、大型犬や超大型犬のパピーに過剰給与をすると、からだを支える骨がまだしっかりしないうちに体重が増え、関節が曲がる、正常に関節や骨が作られないといった異常が生じることもあります。

また、噛む力の弱い超小型犬では、粒が大きい、硬いなどの原因で必要量を食べられないことによって、成長が遅れてしまうこともあります。このようなことがないように、パピー用フードはそれぞれの犬の大きさ、成長期間や成長段階における特徴を考慮した商品選びが大切です。

サイズ別パピー用フードの一般的なカテゴリー

3.  原材料が動物性たんぱく質を主体としているかチェック!

たんぱく質はからだを作る最も大事な栄養素です。肉や魚、卵、乳製品のような動物由来のものを動物性たんぱく質と呼び、穀類やイモ類、大豆などに含まれる植物由来のものを植物性たんぱく質と呼びます。

一般的に、動物性たんぱく質の方が消化や吸収が良く、少量で必要なたんぱく質を得られるため、パピーの未熟な消化器官に適しています。高品質な商品を選ぶには、原材料表示の最初に動物性たんぱく質が表示され、動物種がわかる商品を選びましょう。

パピー用フードの原材料表示例

4.  代謝エネルギーまたはカロリーをチェック!

ペットフードのラベルには、100グラムあたりの代謝エネルギー、またはカロリーが記載されています。このエネルギー量をもとに、体重ごとに必要なエネルギーを満たす給与量が決定されています。この数値が低いと給与量が多く、高いと少なくなります。
パピー用フードは、高消化性の原材料を使用した栄養濃度が高い食事から、必要な栄養素とエネルギーを摂取できるのが理想的です。高品質なパピー用フードの代謝エネルギー(カロリー)を、犬のサイズ別に把握しておきましょう。

高品質なパピー用フードのカロリー(代謝エネルギー)の目安

さいごに

ペットフードのラベルには情報が満載で、全て読んでから選ぶのは大変です。そこで、今回ご紹介した4つのポイントをチェックして商品を絞り込むと、愛犬に適したパピー用フードが探しやすくなると思います。
単に原材料の良し悪しやフードの評判だけに左右されることなく、正しい知識を増やしながら「愛犬にとっての良いパピー用フード」を探し、健康で長生きできるようなからだづくりを支えましょう。

【執筆者】
奈良なぎさ(なら・なぎさ)
ペット栄養コンサルタント、ペット栄養管理士、臨床栄養指導認定動物看護師1級、愛玩動物看護師、Holistic Nutrition M.S.。中央動物専門学校非常勤講師。「ペットベッツ栄養相談」を主宰し、動物病院のクライアントに対して栄養相談を行っている。ペット雑誌・専門誌、ウェブサイトなどでの執筆も数多い。主な著書に、『愛情いっぱい 愛犬のごはん』、『肥満犬・老犬のためのヘルシー手作り犬ごはん』(いずれもブティック社)、『楽しく作るカンタン60レシピ 愛犬おやつ』(イースト・プレス)などがある。