飼いはじめに気を付けたい犬の病気

はじめて犬をお迎えする前に

はじめて犬をお迎えする際には、わからないことが多くて不安になる方がほとんどです。犬種や犬の性格・年齢、お住いの状況などに合わせて、お迎え後の環境を整えることはもちろん大切ですが、お迎え前に確認できると安心なことを病気や怪我に着目してご紹介します。

基本的な予防歴

・ワクチン接種(混合ワクチン/狂犬病予防ワクチン)
・ノミ/ダニ予防
・フィラリア症予防

これらは、犬の予防医療として非常に重要な項目です。犬をお迎えするときには、接種日やお薬の種類などを必ず確認しましょう。ワクチンは接種証明書をもらうこともできます。

既往歴

既往歴(きおうれき)とは、これまでにかかった病気や手術などの治療の記録のことです。
子犬の場合は、お腹の虫(回虫やコクシジウム、原虫など)やケンネルコフ(ウィルス性の風邪)などの病気にかかったことがあるか、成犬の場合は、持病があるかを確認しましょう。継続した治療が必要な場合もあるので、お薬の種類やこれまでの治療期間や経過も併せて確認できるとなおよいです。

これらの情報があると、動物病院で適切な予防が選択できますし、お迎え後すぐに体調が悪くなった場合でも最善の治療を受けやすくなります。

最寄りの動物病院

お迎えする前に、近隣の動物病院をリサーチしておくことはとても大切です。診察時間や休診日、夜間対応の有無、診療科目などをあらかじめ調べておくことで、急な体調不良でも慌てずに対応できます。

飼いはじめに気をつけるべきこと

環境の変化による体調不良

これまで過ごしてきた環境から別の環境へお迎えすることは、犬にとって大きなストレスとなり、体調不良の原因になることが多々あります。子犬の場合は、ケンネルコフと総称されるウィルス性の風邪をひいたり、成犬の場合は消化器症状(嘔吐や下痢、食欲不振など)が多く認められます。また、すでに完治したと思われていた病気を、再度発症することもあります。様子を見るのではなく、特に子犬の場合は、早めに動物病院を受診することが大切です。

怪我や事故

初めて犬を迎えたばかりの時には、飼い主も犬もお互いに慣れないことが多いはずです。どんなに気を付けていても、予想外のアクシデントによる怪我や事故が多い時期でもあります。
子犬の誤食(おもちゃや中毒を起こす食材などを誤って食べてしまうこと)や、コード類をかじって感電してしまうことは珍しくありません。また、成犬でも新しい環境に驚いて脱走したり、他の犬や人に慣れていない場合は、恐怖から攻撃的になりトラブルが生じることもあります。

住環境は犬目線で危険がないかを改めて確認し、お散歩は少しずつ時間や範囲を広げるなど、犬の性格にあわせてあげることが大切です。

おわりに

いきものをお迎えするということは、楽しいことが待っていると同時に、命を守り育てる責任が生じます。その子が生活していく環境はもちろん、健康的に暮らしていけるようしっかり観察しましょう。
この記事が、飼い主と犬の幸せな暮らしにすこしでも役に立てば幸いです。

【執筆】
酒井和紀(さかい・あき)
獣医師。麻布大学獣医学部卒業後、都内動物病院にて一般診療および眼科診療を担当。その後、製薬会社で犬猫用サプリメントの学術を担当する傍ら、動物病院での診療を担当し、2025年2月TOMOどうぶつ病院代々木上原(HP:http://tomoahyoyogiuehara.com)を開院。