猫を初めてお迎えするときは、どんなことに気をつければいいのか、何を準備したらいいのか、わからないことが多く不安に思う人もいるでしょう。
そこで、本記事では、新しい家族を迎える時に気をつけなければいけないポイントをご紹介します。

体調の急変に気を付けましょう
子猫であれ成猫であれ、住む環境がこれまでと変わることは大きなストレスになります。猫は、体調不良を隠すことが大変上手です。「昨日までとても元気だったのに」「今朝まで普段通りだったのに」と、病院に駆け込んで来る飼い主さんは少なくありません。
以下のような症状があるときは、早めに病院に相談しましょう。
ネコ風邪(ヘルペスウィルス性角結膜炎/鼻咽頭炎)
目やにや鼻水、くしゃみなどの風邪症状がみられます。風邪は万病のもとと言われますが、猫も同様です。他のウィルス疾患を併発したり、肺炎などを合併すると子猫の場合命に関わることもあります。
内部寄生虫(回虫、コクシジウム、など)
お腹の調子が良くても、これらの寄生虫がいないとは言い切れません。普段は良便でも、まれに軟便や粘膜便が混じるような場合は、一度検査をしましょう。一回では検出できないこともあるので、気になる症状がある場合は、複数回の検査を行うことをおすすめします。
泌尿器疾患
猫は、泌尿器疾患を患うことが多い動物です。慢性腎臓病(徐々に腎臓の機能が失われる病気)は、年齢に関わらず発症します。また、ストレス下では膀胱炎などを引き起こすことがあるため、頻尿や血尿、排尿痛などがないか注意して観察しましょう。
動物病院を身近なものにしましょう
犬と違い、猫は動物病院に行く機会が多くありません。しかし、いざという時に病院が身近な存在になっていないと、診断や治療が遅れてしまうことがあります。動物病院を身近にするために、気を付けるべきことを確認しましょう。
通院する際のキャリーは普段使いをしましょう
外出の際に使うキャリーは、日ごろから部屋に置いて猫が入って休んだり、ご飯を食べられるくらい慣れさせておきましょう。そうすることで、いざ病院に連れていく際に、キャリーを見て逃げ出すことなくスムーズに通院できます。

近所の病院をリサーチしておきましょう
具合が悪くなってから慌てて病院を選ぶのではなく、事前に近所の動物病院をリサーチしておくことは大切です。
病気の時だけでなく、爪切りなど普段のお手入れで利用することも可能ですし、ちょっとしたことでも相談できる病院があることは、猫の健康維持のために欠かせません。
猫が安心できる空間を確保しましょう
品種や年齢、性格にもよりますが、飼い始めのストレスがかかる時期だけではなく、その後の生活において安心して過ごせる場所を確保してあげることは、猫にとってとても重要です。猫のストレスを軽減するために、2つのポイントをピックアップしました。
一人の時間も作ってあげましょう
多くの猫は、一人の時間を必要とします。飼い始めは心配なことが多く、ついつい構ってしまいますが、一人でゆっくりする時間も意識して確保してあげてください。

快適な空間づくり
ほら穴のような、上部も覆われた狭い空間を好むことが多いため、箱などを利用して猫が安心して過ごせる空間をつくりましょう。また、飼い始めのストレスが大きい時期は、猫用のフェロモン剤を使用して気持ちを落ちつかせることもとても有用です。
おわりに
新しい家族を迎えるとともに、その子の一生を守る責任が生じます。わからないことや不安なこともたくさんあると思いますが、この記事を参考にしっかり観察し、猫の目線になって考えてあげてください。
この記事が、飼い主と猫の幸せな暮らしに少しでも役に立てば幸いです。

【執筆】
酒井和紀(さかい・あき)
獣医師。麻布大学獣医学部卒業後、都内動物病院にて一般診療および眼科診療を担当。その後、製薬会社で犬猫用サプリメントの学術を担当する傍ら、動物病院での診療を担当し、2025年2月TOMOどうぶつ病院代々木上原(HP:http://tomoahyoyogiuehara.com)を開院。
Instagram:tomoanimalhospital
