狭山丘陵の西端の自然豊かな場所にある「東京都立瑞穂農芸高等学校」には、園芸科学科、畜産科学科、食品科、生活デザイン科が設置されています。どの学科でも生命とかかわりながら、専門性の高いことを体験的に学ぶことができます。都立高校で畜産科学科が設置されているのは、瑞穂農芸高校だけだそうです。
今回は、畜産科学科の鈴木先生と生徒さんたちに学校についてや、将来の目標とそれに向けて頑張っていることなどをお聞きしました!
生命(いのち)に学び夢を叶える
―東京都立瑞穂農芸高等学校はどのような学校なのでしょか?

園芸科学科、畜産科学科、食品科の農業科と、生活デザイン科の家庭科を設置する専門高校です。
授業や実習、学校生活を通じて、生徒一人ひとりの可能性を最大限に伸ばし、豊かな心をもつ自立した社会人を育成する学校を目指しています。

―東京にあるにも関わらず、とても自然豊かな場所で学ぶことができますね。

普通の学校にはない農場や畜舎などの施設をはじめ、食品実習室や恒温室もあります。
敷地面積は、東京ドーム約2個分です。
本校最大の学校行事である「瑞高祭」という文化祭では、各学科の個性や学習の成果を発表し合います。その他にも、体育祭や修学旅行など、様々な行事があります。
―卒業生はどのような進路を進みますか?

学科によって違いはありますが、四年制大学や専門学校への進学が半分以上を占めています。もちろん、公務員を含めて、就職をする生徒たちもいます。
ここで学んだことを活かして、それぞれの夢に向かって進んでいますよ。
―都立高校で唯一の畜産科学科とお聞きしましたが、どのようなことを学ぶのでしょうか?

牛や豚、鶏などの家畜と、愛玩動物について幅広く学ぶことができます。動物の生理や繁殖なども学ぶことができ、より実践的で高度な学習もします。

―生徒さんが自ら進んで動物のお世話をしていますね。

授業だけではなく、放課後も使ってお世話をしています。みんな動物が大好きで、下校時間まで残っている子もいます。
責任をもって飼育管理をすることで、命の大切さを学び、将来に生かすことができると思います。
―瑞穂農芸高校への入学を迷っている方や、農業科、家庭科に興味を持っている方へメッセージをお願いします。

本校は、「生命に学ぶ学校」を特徴としています。畜産科学科だけではなく、園芸科学科、食品科、生活デザイン科それぞれで生命にかかわりながら日々学んでいます。
動物を取り巻く環境が厳しくなる中、生命の保全と共に人間社会の食生活についても考えられる本校で、ぜひ学んでください。
「はじめまして」から「ごちそうさま」まで
生徒さんにも、学校生活や将来の夢についてお聞きました。3年生4名と2年生1名が参加してくれました。学年関係無く仲が良さそうで、動物好きの絆を感じました!

―お名前を教えてください!

2年生の坂口 莉渚(さかぐち・りお)です。
3年生の橋本 心海(はしもと・ここみ)です。
同じく、小路 沙綾(しょうじ・さあや)です。
小鮒 琉花(こぶな・るか)です。
村田 爽太朗(むらた・そうたろう)です。
―瑞穂農芸高校に入学した理由は何ですか?

将来、動物関係の仕事に就きたいと思っていたからです! 中学三年生で進路を決めるときに、将来やりたいことにつながる学校で探していました。

―おうちで動物は飼っていますか?

今は、3歳の猫を飼っています。
小さいころから動物が好きだったことも、将来の目標を決めるきっかけでした。

―学校生活で楽しいことを教えてください。

実習や放課後のお世話などで、日常的に大型動物とふれ合えるところです!
―好きな動物は何ですか?

馬です!


馬だけなの? 牛は?

牛も好きです(笑)
でも特に馬が好きです。学校で、「あおい」と「ひなた」の2頭を飼育しています。橋本さんがポニー担当のリーダーをしています!
―村田さんは牛が好きなんですか?

大好きです! 牛の担当をしています。
もちろん馬も好きです!
―坂口さんは、馬のどこが好きですか?

全部好きなんですけど……、胸筋と顔が特に好きです!
―胸筋はあまり気にしたことがなかったです……。馬のお世話では何が好きですか?

ブラッシングが好きです。ただ、後ろに立たないようにしたり、蹴られないようにしたり、気を付けることがたくさんあります。

―学校生活で大変なことは何でしょうか?

当番のときに朝早いことも大変ですが、コモンマーモセットの人工哺育が一番大変でした。
―人工哺育もするんですね! 他にも担当している動物はいますか?

コモンリスザルと、ポニーも担当しています。あと、動物愛好部に入っています。

―動物愛好部でも他の動物をお世話しているんですか?

部活では、ウサギやモルモット、デグーなどのげっ歯類をメインにお世話しています。
―お世話で大変なことはありますか?

特にサルは感情を表すことが上手なので、遊ぶのが好きな子や近づいたら怒る子など、しっかり観察して感情を読んでお世話をすることが大変です。
―お世話をするうえで何か工夫をしていることはありますか?

遊ぶのが好きな子だったら、遊びながらお世話をしたり、なるべくストレスを与えないよう心がけています。

―将来の目標は何でしょうか?

トリミングの専門学校に通った後、5~6年トリミングサロンで働いて、お母さんが経営しているお店を継ぐことです。

―とても具体的な目標ですね! いつ頃からその目標を持っていましたか?

小学5、6年生のころだったと思います。
生まれたときから犬がいたり、いろんな動物に囲まれて育ったことが影響していると思います。
―夢のきっかけは何でしたか?

ドッグショーに連れて行ってもらったときにきれいに整った子たちを見て、「将来はドッグショーに出る子のトリミングをやりたい!」と思うようになりました。

―将来に向けて今頑張っていることを教えてください。

将来は酪農家になりたいと思っているので、担当している牛の管理を人一倍頑張ったり、実際に牧場で酪農について話を聞いたりしています。

―学校では何頭の牛を飼育していますか?

今は、乳が出る大人の乳牛が4頭、まだ乳が出ない子どもが5頭います。
いつか自分の牧場で育てた牛を共進会*¹で1番にしたいです。
*¹牛の体の顔や足腰などの各部位の良し悪しや、ポージングやウォーキングの美しさで競うコンテスト
―実際に学校で出場したことはありますか?

あります! 結果は良くも悪くもないといった感じでした。学校で飼育している牛はまだまだ成長段階なので、自分で一から育てて挑戦してみたいです。
―どのような部分で牛の美しさを魅せるのでしょうか?

立ち姿勢と歩き方です。牛が審査員を見ながらいい姿勢で歩かないといけません。難しいところではありますが、手ごたえを感じたので自信に繋がりました!

おわりに
撮影時も大好きな動物たちや、生徒同士でコミュニケーションを取っていて、とても楽しそうな様子を見ることができました。今回インタビューに参加してくれたのは畜産科学科の5名でしたが、専門性の高い学習ができる瑞穂農芸高校には、自分の目標に向かって頑張っている生徒が大勢いるようです。
生徒のみなさんが自然豊かな環境で学び、夢を叶えられるよう応援しています!


東京都立瑞穂農芸高等学校
農業科の園芸科学科、畜産科学科、食品科と、家庭科の生活デザイン科を設置する専門高校。生命とかかわりながら自立した社会人を育成する。
ホームページ:https://www.metro.ed.jp/mizuhonogei-h/
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