はっけん! 日本の爬虫類・両生類【第31回】シロアゴガエル Polypedates leucomystax (Gravenhorst, 1829)

日本にはもともと見られなかったのに、いつの間にか侵入して増えてしまっているいきものがいます。今回紹介するシロアゴガエルもその一つです。痩せっぽい体に白いアゴが特徴のカエルで、全身が茶色っぽい体色から、背中に3本の筋模様が入る個体もいます。

シロアゴガエルの正面顔

詳しい侵入経路は分かっていませんが、フィリピンから沖縄諸島へ向かう物資の中に紛れ込んだと考えられています。褐色の体は資材に紛れ込むと分かりづらくなりますが、定着するためにはそれなりの数や雌雄が必要となり、様々な条件が合致したことには驚きです。

シロアゴガエルの成体

私がよく撮影に訪問する宮古島でも、かなりの数が見られます。街中にあるコンクリートの池の周りには、クリーム色の泡状の塊が見られます。これはシロアゴガエルの卵で、メスは産卵直前に一度水に入り、体内に水をためてから樹木やコンクリートの壁面を指先にある大きな吸盤を上手に使って登ります。途中でオスに見つかるとそのまま背負って産卵に向かうのですが、オスの「グエッ」と鳴く声をめがけて近寄っているようにも見えます。メスが後脚で泡をこねてそこに産卵することで、泡の中で授精が行われます。オスは途中から加わり、複数になることもあります。産卵された卵はクリーム色をした泡に包まれ、表面が乾燥しても中はしっとりしていて、幼生は暑さや紫外線から守られながらそこですくすくと育ちます。

シロアゴガエルの産卵の様子

ある程度成長すると、雨の日に泡の中から幼生たちが巣立ちます。育った幼生は特徴的な容姿をしているため、他のカエルと区別しやすいです。というのも、吻端(ふんたん:顔の先端)に白いスポットがあること、尾鰭が幅広く遊泳力があること、目が側面にあることなどが特徴的です。

シロアゴガエルの幼生

特定外来生物に指定され、比較的小さな島にも侵入しているので様々な駆除が試みられています。鹿児島県の与論島や徳之島、沖縄県の西表島にも侵入しています。西表島では根絶に成功し、現在では経過観察されている状況です。このような成功例がわずかながら報告されていますが、手が付けられない状況に陥ってしまった地域もあります。多くの人のちょっとした気付きが、これらを防除する一手になるかもしれません。日々の住居まわりのいきもの観察はとても大事ですね。

【文・写真】
関 慎太郎(せき・しんたろう)
1972年兵庫県生まれ。自然写真家、びわこベース代表、日本両棲類研究所展示飼育部長。身近な生きものの生態写真撮影がライフワーク。滋賀県や京都府内の水族館立ち上げに関わる。『日本のいきものビジュアルガイド はっけん!』シリーズ(田んぼのいきもの、カナヘビ、小型サンショウウオ、ニホンイシガメ、ニホンヤモリ、トカゲ、イモリ、ニホンアマガエル、オタマジャクシ、オオサンショウウオ)、『野外観察のための日本産両生類図鑑 第3版』『同 爬虫類図鑑 第3版』、『世界 温帯域の淡水魚図鑑』、『日本産 淡水性・汽水性エビ・カニ図鑑』(いずれも緑書房)、『うまれたよ! イモリ』(岩崎書店)、『日本サンショウウオ探検記 減り続ければいなくなる!?』(少年写真新聞社)など著書多数。

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