ペット用サプリメントのトリセツ【第3回】製品の良し悪しの見分け方(原材料表示、エビデンスなど)

確認すべき5つのポイント

ペット用サプリメントの良し悪しを見分けるときには、知人やインターネットからの情報をうのみにしてはいけません。各自が情報の裏付けを取り、その効能について理解する必要があります。

良質なサプリメントを見分けるために確認すべき5つのポイントを以下に示します。

1.原材料は何か?

2.サプリメントに含まれている栄養素・成分の配合量はどうなっているか?
※少ない配合量のものほど、記載の順番が後ろになる。機能性のある成分が最後の方に記載されている場合、少なくても有効性が高い成分である可能性はあるものの、少なすぎる可能性もある。

3.栄養素は天然原料由来なのか、化学合成なのか?

4.どのような添加物が使用されているか?

5.どのくらい添加物が使用されているか

図:製品パッケージなどに記載されている情報をよく確認して、選択することが大切

安心して使用できるサプリメントとは?

安心して使用でき、費用に見合う有効性が期待できるサプリメントは、個々のニーズや社会的背景の影響も受けるため、簡単には断定できません。しかしながら、わかりやすい判断基準として「添加物が少ない=良いサプリメント」といえます。

加工や保存のために必要な添加物は、すべてのサプリメントに入っているものです。しかしながら、あまりにも安価なサプリメントでは、有効成分が少ない代わりに添加物などの不純物がやたらと多く含まれているものがあります。なかには、添加物99%なんて製品も……。このようなサプリメントを知らずに飲むと、添加物を代謝するために肝臓に負担がかかってしまうのです。

添加物の種類と目的

添加物には、カプセルの成分(ゼラチン、グリセリン、セルロース、プルラン、HPMC[ヒドロキシプロピルメチルセルロース]など)の他、錠剤を固めるなど製造工程で使われる機械の中をサラサラと通すため、または苦みを緩和する、吸湿による品質劣化をさせない……など色々な目的があるため、添加物0%はほぼ実現不可能です。なので、すべての添加物がいけないわけではありません。

しかし、上記以外の添加物である「増量剤」「着色料」「甘味料」「香料」「保存料」などは不使用でも、理論上はサプリメントを作ることができます。ただし、これらの添加物を含まずに作ろうとすると高価になるため、製品にするには多くの企業努力が必要になるのが欠点です。

いずれにせよ、安いからという理由だけで、サプリメントを安易に選ぶのは控えるべきでしょう。

「エビデンス」のあるサプリメントとは?

エビデンスとは、科学的根拠のことです。

人用医薬品は、基礎実験および臨床実験での検証後、厚生労働省の審査を通った上で販売されています。機能性表示食品や特定保健用食品も、消費者庁への届出や審査があり、私たちはその恩恵を受けています。

しかし、ペット用のサプリメントにはそのような決まりがないため、基礎実験を少し実施した以上の科学的根拠がないものもあります。例えば、根拠がインターネット上の体験談やアンケート調査のみのものや、人に有効だからペットにも有効だろうと、人用とほぼ同じ中身で販売しているものもあります。

よって、エビデンスのあるペット用サプリメントを選びたい場合は、エビデンスとなるデータを飼い主さん自らが確認する必要があります。ただし、飼い主さんにとっては根拠となるデータの判断が難しいこともあると思いますので、サプリメントの専門家や獣医師に相談しても良いでしょう。

前述したように、人用の特定保健用食品は、消費者庁が認証する際に審査されているので、医薬品レベルではないもののエビデンスのある食品といえます。いずれ、このような仕組みがペット分野でも構築されれば、飼い主さんの手でエビデンスのある製品を選ぶことができるようになるでしょう。

■参考

人用サプリメントは研究が進んでおり、安全性はもちろん効果についてのエビデンスのある製品が数多くあります。その成分の有効性を確認できる便利なウェブサイトと書籍を紹介します。

・国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:素材情報データベース
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/info/hf2.html .

・一般社団法人 日本健康食品・サプリメント情報センター:ナチュラルメディシン・データベース(有料)
http://jahfic.or.jp/ .

※書籍『健康食品・サプリ[成分]のすべて ナチュラルメディシン・データベース 第7版』(同文書院)もあるので、参照するとよいでしょう。

【執筆者】
小沼 守(おぬま・まもる)
獣医師、博士(獣医学)。千葉科学大学教授、大相模動物クリニック名誉院長。日本サプリメント協会ペット栄養部会長、日本ペット栄養学会動物用サプリメント研究推進委員会委員、獣医アトピー・アレルギー・免疫学会編集委員、日本機能性香料医学会理事・編集委員。20年以上にわたりペットサプリメントを含む機能性食品の研究と開発に携わっている。