ペット用サプリメントのトリセツ【第6回】サプリメントを与える際の工夫

犬や猫の場合は、サプリメントにいくら魅力的な効能があったとしても、それ以前の「飲めない」という大きな課題に阻まれて効能が得られないことが多々あります。

【犬や猫がサプリメントを飲むうえでの課題】
・サプリメントの嗜好性が低い(苦味、渋味、酸味などがある)。
※甘味は猫で苦手で、犬はたいへん好みます。酸味は意外にも腐食動物である犬より猫の方が好きなようです。苦味は犬・猫とも苦手のようです。
・錠剤が大きい。
・錠剤を飲まない。もしくは、十分な量を飲んだかわからない。
・慢性疾患によりすでに投薬量が多いため、薬剤類の投与をさらには増やせない。

上記の課題のうち、サプリメントの嗜好性について対策を紹介します。

嗜好性が低いサプリメントの対策

サプリメントの苦味や渋味を緩和するためには、ハチミツ、水あめ、あるいは最近よく使われる練り状のおやつや投薬専用食品などと一緒に与えると良いでしょう。ただし、せっかく機能性を有するサプリメントを与えたにもかかわらず、一緒におやつを与えすぎたことなどにより栄養バランスが崩れ、体調に影響してしまわないよう注意する必要があります。

また、錠形が錠剤のものについては、割ったり潰したりして与える場合は注意すべき点があります。まず、糖衣錠など表面がコーティングされている錠剤を割ると、効能(力価)が落ちてしまう可能性があります。また、錠剤を割ったり潰したりすることで、与える際に苦味が出て、嗜好性が落ちてしまうこともあるのです。カプセルタイプのサプリメントについても、カプセルを開けて投与すると効能が落ちることもあるため、推奨されないことがあります。

薬剤であれば、最近多く出ているような、投与しやすい工夫がされている(錠剤が小サイズなど)ジェネリック薬品や、類似した他の薬剤を与えることができます。しかし、サプリメントは簡単に代替品にすればよいというものではありません。

また薬剤の場合は、割ったり潰したりして与えなくてはならないときに、効能(力価)が落ちることを想定し、最大投与量以下(中毒量以下)かつ最低投与量以上(例:約10%増)を計算して与えるなどの対策があります。しかし、このような与え方により中毒になるリスクや、反対に効果が発揮されないことがあるため、獣医師に相談して注意点を理解したうえで投与をするべきか判断すると良いでしょう。

複数のサプリメントを与えたい場合は

複数のサプリメントを飲ませたい場合は、やみくもに与えるのではなく、それぞれの機能性を理解し、優先順位の高いものから選択しましょう。あれもこれもと与えてしまうことはままありますが、それぞれのサプリメントの機能性が重複している場合もあるため、注意が必要です。

【執筆者】
小沼 守(おぬま・まもる)
獣医師、博士(獣医学)。千葉科学大学教授、大相模動物クリニック名誉院長。日本サプリメント協会ペット栄養部会長、日本ペット栄養学会動物用サプリメント研究推進委員会委員、獣医アトピー・アレルギー・免疫学会編集委員、日本機能性香料医学会理事・編集委員他。20年以上にわたりペットサプリメントを含む機能性食品の研究と開発に携わっている。