フォトエッセイ 猫に呼ばれて世界の街へ【第9回】観光客を迎える準備(クロアチア)

クロアチア南部の都市ドブロヴニクは、毎日たくさんのクルーズ船が寄港する人気の観光地です。青い海とオレンジ色の屋根の対比が印象的で、「アドリア海の真珠」と表現されるのも納得の美しい街でした。

海に面しているためシーフードも絶品で、街の猫たちもその恩恵を受けて、魚のお裾分けをもらっていました。

ドブロヴニクは、スタジオジブリ製作の映画である『魔女の宅急便』や『紅の豚』の舞台のモデルともされていて、その魅力は広く知られています。

また、全長2キロメートル、高さ25メートルあまりの城壁に囲まれた旧市街エリアは、世界文化遺産に登録されています。

この旧市街エリアは、世界的に人気のドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のロケ地でもあります。昼間の旧市街には多くのドラマファンも聖地巡礼に訪れており、観光客で賑わっていました。

街が目覚めるまでの貴重なひととき

人通りがまばらになる早朝は、ドブロヴニクに住む人にとって貴重な時間です。街の人々は、これから訪れる大勢の観光客を迎える準備に勤しんでいました。

清掃車により掃除やゴミの回収がされていたほか、レストランや土産店では搬入作業が行われ、皆さんとても忙しそうでした。それでも、作業をしながらおすすめの猫を紹介してくれることもありました。

猫たちは忙しそうな人々の横で、ひなたぼっこをしたり、ごはんを食べたり、搬入された荷物の検品を手伝ったりして、街が目覚めるまでのひとときを楽しんでいました。

【文・写真】
町田奈穂(まちだ・なほ)
埼玉県出身。世界中を旅しながら、地域の猫を撮影している。猫の表情や仕草、猫が暮らす環境の色と光に重点を置いた写真が特徴。2023年に世界一周旅行を達成し、初の個展を開催。その他、企業カレンダーやグループ展など精力的に活動中。
Instagram:cat_serenade
X(旧Twitter):naho_umineko