「どうぶつ愛護フェスティバル」(東京)ってどんなイベント? 日本動物愛護協会さんにお聞きしました!

毎年9月20~26日の動物愛護週間を中心に開催され、さまざまな企画を通して動物の魅力や命の大切さを学ぶことができるイベント「どうぶつ愛護フェスティバル」(東京)。イベントの企画やなりたち、開催の意義について、日本動物愛護協会の中山さんに教えていただきました。

写真:日本動物愛護協会の中山さん

「どうぶつ愛護フェスティバル」(東京)について教えてください!

どうぶつ愛護フェスティバルは、9月20~26日の動物愛護週間に合わせて開催されるイベントです。

動物愛護週間は、「動物の愛護及び管理に関する法律」(以下動物愛護管理法)第4条で、「ひろく国民の間に命あるものである動物の愛護と適正な飼養についての関心と理解を深めるようにするため、動物愛護週間を設ける」と定められた週間です。

日本にはいろいろな「〇〇週間」がありますが、法律で定められているのは、かなり珍しいんですよ。法律の中でも、動物愛護が大事なことだと捉えられているのですね。

動物愛護週間には、どうぶつ愛護フェスティバル以外にも、全国各地でさまざまな動物愛護に関するイベントが行われています。どうぶつ愛護フェスティバルは、環境省、自治体である東京都および台東区、私たち動物愛護団体などを含めた11団体で構成された「動物愛護週間中央行事実行委員会」で開催しており、全国のいろいろなイベントの中心となることを目指しています。

さまざまな面白い企画がありますよ! 屋外行事、屋内行事にわけて開催しています。

屋外行事は、おもにステージ企画やブース出展が中心です。ステージ企画では、毎年さまざまな催しを行います。過去には、犬のしつけ教室や動物のクイズ大会などがありました。ブースでも、楽しみながら動物について学べる企画をたくさん準備しています。

写真:2023年開催時の屋外行事

屋内行事は講演会が中心で、動物に関する知識をしっかり深めていただける場としています。各団体が主催している動物愛護に関するコンクールの表彰式なども開催されます。

写真:2023年開催時の屋内行事

図:どうぶつ愛護フェスティバルのポスターには「令和5年度動物愛護週間ポスターのデザイン絵画コンクール」最優秀作品が使われている

年によって幅も大きいのですが、屋内行事はおおよそ150~300人くらい、屋外だと5000~10000人くらいの方に参加いただいています。

毎年、構成団体が集まってテーマを選定して、それに合う行事を企画しています。年ごとに違うテーマを選ぶことが多かったのですが、2022~2024年の3年間は「子どもも大人も一緒に考えよう、私たちと動物」で一貫しました。3年間、同じテーマに集中することで、より皆さんにいろいろな知識をつけていただけるのでは? という狙いです。

開催のきっかけは約100年前?

どうぶつ愛護フェスティバルのなりたちをお話するには、約100年ほど歴史をさかのぼる必要があります。

まず、1915年に世界初の「動物愛護週間」がアメリカで決められました。そして、それから12年後の1927年に「日本人道会」という動物愛護団体が提唱して、日本で最初の動物愛護週間が行われました。

その後も継続されていた動物愛護週間ですが、戦時中にいったん途絶えてしまいます。

しかし戦後、GHQからの指示を受けて、1949年の春分の日(3月21日)に「動物愛護デー」として再開しました。そして1951年に、「1日だけの開催だと成果が限られる」ということになり、春分の日を中心とした「動物愛護週間」に変わりました。

1954年には日取りに対して「春分の日だと、北部ではまだ残雪がある」「学校が春休みに入っていて、子どもが参加しづらい」などの点が協議され、秋分の日(9月22日~23日ごろ)を中心とした1週間で開催するようになりました。

写真:戦後に再開した「動物愛護デー」

1973年には、今の動物愛護管理法の原点となる「動物保護管理法」が制定され、動物愛護週間についても法律で規定されました。それまでは愛護団体などが中心になって行事を開催していましたが、法律で国や地方自治体が催すように定められたことで、国、自治体、動物愛護団体で実行委員会が組織されました。

現在のような形で、どうぶつ愛護フェスティバルの第1回が開催されたのは、1982年のことです。当時は東京都庁が丸の内にあったので、日比谷から東京都庁まで、かなり大規模なパレードがあったことが記録に残っています。

写真:1982年に開催された第1回どうぶつ愛護フェスティバル

2020~21年は感染症対策として、屋外行事は中止、屋内行事はオンライン配信がベースとなりました。2022年も屋外行事はブースの出展が無く、ステージイベントだけの開催でした。しかし、2023年からは屋外行事、屋内行事ともにブースもステージイベントも復活し、皆様に参加いただけるようになりました。

なお屋内行事の動画配信に関しては、コロナ禍でオンライン配信が世の中に浸透したこともあり継続しています。東京に来るのが難しい方でもご参加いただけますよ!

2022年から「動物感謝デー」と同日開催するようになったことが、大きく変わったことです。

「動物感謝デー」とは、実行委員会の構成団体のひとつでもある「日本獣医師会」が主催しているイベントです。どうぶつ愛護フェスティバルと動物感謝デーを同時開催することで、訪れた方に見ていただける企画がさらに充実しました。

動物の大切さを学べるイベント

長く続いてきたどうぶつ愛護フェスティバルさんの、今後の開催への意気込みを教えてください!

今後も引き続き、動物愛護管理法に基づいて、全国の皆様が動物愛護について考えるきっかけとなるイベントを開催していきます。

1人でも多くの方に行事に参加していただき、動物の特性や動物愛護の大切さを知ってもらえるようなイベント作りを心がけていきたいです。企画の魅力は行事に参加する意欲にも関わってくるので、今年も皆様に楽しんでもらえるイベントを企画することが今後の目標ですね。子どもでもわかりやすく、大人でも考えさせられるイベントを企画しているところです。

「動物愛護」と聞くと「難しい話だな」と思ってしまう方もいますが、どうぶつ愛護フェスティバルは楽しみながら動物の魅力や命の大切さを知ってもらえるイベントです。ぜひ気軽に足を運んでみてください。

また、動物愛護週間の行事は、東京以外でもいろいろな自治体や団体で開催しています。東京に来ることが難しい方は、インターネットやSNSなどで近くのイベントを調べて、参加してみてくださいね!

中山 雄玖斗(なかやま・おくと)
日本動物愛護協会 事務局所属

動物愛護週間中央行事「どうぶつ愛護フェスティバル」(東京)

https://www.doubutsuaigo.net/