前回に引き続き(第8回)、御蔵島で出会ったイルカたちとの思い出を紹介していきます。
光と二頭のイルカ
青く澄んだ御蔵島周辺の海で出会った二頭のイルカ。
性格なのか、それともこの時の気分なのか、この子達は他のイルカと違って、人間に近づくこともなく、二頭の世界を楽しんでいました。
海には二頭の「キューキュー」といった楽しそうな声が響いていて心地良く、二頭の姿が見えなくなったあとも、しばらくの間は鳴き声が響き渡っていました。 目には見えないけれど、まだ近くにいてくれている…そう感じさせてくれるイルカの鳴き声は、私にとって安心を与えてくれたり、癒しだったりします。
下から見上げたイルカ
御蔵島周辺に生息するミナミハンドウイルカは大人の個体で2.5メートル程度と、水族館でよくイルカショーに登場するハンドウイルカよりもおおよそ1メートル小さいのですが、人間と並ぶとその大きさを感じます。
この写真は、イルカより人間が奥にいるため、遠近感のある見え方をしています。イルカの大きさが伝わる点と、人間がイルカと並んで泳いでいる様子を切り取ることで、このイルカが、人に心を許している穏やかさのようなものも引き出せたようで、お気に入りの一枚になりました。
ターコイズの海とイルカの群れ
波の高さや風の強さ、その方角によって白泡が発生し、青い海がターコイズブルーに見えることがあります。
白泡だけなら良いのですが、海底の砂などが巻き上がってしまうと一気に透視度が悪くなり、5メートル先も見えなくなる時があります。
私の周りにいた人たちからするとコンディションは最悪のようですが、私は意外と好きな景色です。
確かにイルカと目を合わせて一緒に泳ぐには向いていない状況ですが、濁っているおかげで、イルカを視認できない状態からいきなり目の前に飛び出してくるのです。
この時は10頭程度の群れで行動していたイルカを観察することができました。
写真の下の方にいるイルカは私の方を覗き込んでいるように見えます。 今回、このイルカの群れと出会えたのはこの時はだけでしたが、そんな思いがけない出会いがあるのもドルフィンスイムの楽しみです。
【文・写真】
あき
1996年大阪府生まれ、東京都在住。水族館や水中、音楽ライブの撮影のほか、雑誌、Webメディアへの寄稿などを行う。2017年、水族館の生きものを綺麗に撮影したいと思い、写真を始める。2023年、国際フォトコンテスト8TH 35AWARDS「UNDERWATER PHOTOGRAPHY」で100Best photo選出、Top35 photographers選出。ほか『幻想的な水族館の世界カレンダー2024』(緑書房)など。
X(旧Twitter):@akira1027_photo
Instagram:@akira1027_photo
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