世界遺産の街:イスタンブール
アジアとヨーロッパの中間に位置するトルコ。
イスタンブールは独特な文化を創り出すこの国最大の都市。様々な歴史的建造物が残る旧市街が世界遺産に登録されています。
そんな旧市街の中で野良犬がのびのびと歩き、市民と信頼関係を結びながら、共存生活を送っているようです。
街を訪れて一番驚いたのは、その野良犬の多さです。ホテル、お店やカフェの前、そして公園で寝そべって気持ちよさそうにリラックスしているたくさんの犬たちの姿を見かけました。
トルコの野良犬たちは、ほとんどが大型犬です。また、性格がとても穏やか。群れをなすと迫力があり、日本では見慣れない光景に驚きますが、人間に害を与え、街の人たちがおびえるような光景を目にすることは全くありませんでした。
むしろ犬たちは、すぐそばを通る人間にはお構いなしで、気持ちよさそうにうとうと、すやすや、熟睡していました。
イスタンブールに滞在中、毎日早朝に街の中を散歩しました。犬たちの痩せている姿を見かけることはほとんどなく、街中のあちらこちらでドッグフード、満水になっている餌入れがありました。
通勤の際にバッグからビニール袋を取り出し、ボウルにドッグフードを入れる人たちの姿を何度も見かけました。また、店先のごみなどを荒らしている犬の姿を一度も見ることがなく、犬たちがご飯に困ることのない環境なのだとすぐに感じました。
滞在をはじめ3日ほど経った頃、犬たちの暮らしを見ているうちに気になることがありました。野良犬たちの耳についている緑や黄色のカラータグです。
このことをイスタンブールに住んでいる知人に尋ねると、「野良犬たちは役所が管理をしていて、狂犬病の注射済の証拠」と。
犬好きには本当にたまらなく魅力的な街なのだと思わされることばかりでした。
【写真・文】
蜂巣文香(はちす・あやこ)
写真家。犬、猫、コンパニオンバードなどのペット写真をはじめ、手仕事やライフスタイルなどさまざまな分野で“伝わる”写真を日々撮影している。広告や雑誌、書籍、WEBなど幅広く活躍中。欧米を中心とした海外での撮影経験も豊富。愛犬雑誌「Wan」(緑書房)でもおなじみのカメラマンで、柴犬をモチーフにしたカレンダーシリーズ「しばいぬ(卓上)」「日本の柴犬(壁掛け)」「黒柴(壁掛け)」(緑書房)も毎年好評を博している。
Instagram:dogtionary_hachi
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