愛犬との新生活を描く『わんまん』作者:イラストレーターのアボット奥谷さんが犬との生活で気が付いたこと

親しみやすく、どこか懐かしさを感じるイラストで人気のイラストレーター・アボット奥谷さん。愛犬との新生活を題材にした『わんまん』で描かれる、失敗談や幸せなエピソードは多くの共感を得ています。
そんなアボット奥谷さんに、イラストや漫画を描く際のこだわりや、犬と暮らしはじめて変わったことをお聞きしました。

アボット奥谷さんと愛犬のぺろ太くん

シー・ズーとの幸せな思い出

アボット奥谷さんのプロフィールを教えてください!

アボット奥谷さん

イラストレーターとして活動し、雑誌・書籍・web・映像・アパレル・アイドルグッズなど、さまざまな媒体で幅広く描いていて、SNSに犬との初めての暮らしを題材にしたエッセエイ漫画『わんまん』を投稿しています。

『わんまん』第1話
アボット奥谷さん

愛犬のぺろ太はシー・ズーで、2歳の男の子です。

ぺろ太くん

イラストを描きはじめたきっかけは何ですか?

アボット奥谷さん

小さい時から絵を描くのが好きで、アルバイトの隙間時間で描いていた落書きを見た同僚に、「イラストレーターになれるんじゃない?」と言われ、イラストレーターを志すようになりました。単純な理由ですが、当時別のことを誉められていたら、今イラストレーターではなかったかもしれません。

アボット奥谷さんのイラスト

『わんまん』を描きはじめたきっかけは何でしょうか?

アボット奥谷さん

愛犬のぺろ太との思い出を残したいと思ったのがきっかけです。
一人暮らしで犬を迎えるためにした準備、一緒に暮らす中での失敗談や気付いたことを描いています。
漫画を読んだ初心者飼い主さんや、犬との暮らしに不安のある方に「その子に合った成長があるから、安心して焦らず育てればいい」と感じてもらえたら嬉しいです。

また、軽い気持ちで飼いはじめるのは良くないという啓発的な意味も込めました。

成長スピードはそれぞれ違う

同じ境遇の人がいると分かるだけで心強いと思います。
その他に気を付けていることはありますか?

アボット奥谷さん

一般的な「あるある」を描こうとは思っていなくて、「本やネットではこんなことが起こるなんて書いてなかったのに!」と思うことの連続だった思い出を、できるだけ忠実に描くようにしています。

本当に起こったことだからこそ、多くの共感を得ているのですね。
漫画以外のイラストへのこだわりも教えてください。

アボット奥谷さん

あたたかみや身近な雰囲気は、特に大事にしています。
二度手間ですけど、まず鉛筆で描いて、それをデジタルに起こしています。

なぜ鉛筆で描かれるのですか?

アボット奥谷さん

今はAIの普及もあり、これまでより簡単に綺麗な絵を描くことができる環境になってきているので、手書きならではの良さを残していきたいと思っています。

アボット奥谷さんのイラスト

人生初の犬との暮らし

ぺろ太くんとの出会いを教えてください!

アボット奥谷さん

今まで犬や猫と暮らしたことがなかったので、子犬から最後までお世話をしてみたいという思いがあり、2年前にブリーダーからお迎えしました。

なぜシー・ズ-がいいと思ったのでしょうか?

アボット奥谷さん

自分が描いている絵に一番似たものを感じたからです。
可愛い犬で探していたら一目惚れしました。きっと、潜在的に好きなビジュアルに一番近かったのだと思います。

ぺろ太くん

見たときにピンと来たんですね。
では、ぺろ太くんをお迎えするにあたって準備したことを教えてください。

アボット奥谷さん

慎重な性格なので、とにかくお金の準備をしました。いきものを育てるという責任感から、生涯で必要になるお金を貯めてからお迎えしようと決めていました。
なので、お迎えするまで約3年掛かりましたね(笑)

万全の準備をすることにした

いきものを相手にするということ

3年も準備をされたとのことですが、お迎えする前に知っておきたかったことはありますか?

アボット奥谷さん

本やネットの情報は絶対じゃないということを知っておきたかったです。
この月齢までにこのトレーニングを行うべき、といった情報通りではなく、時間が経てばできるようになることもありますし、理由はわからないけど、気づいたらできるようになったこともありました。
全部時間が解決してくれるとは思いませんが、マニュアル通りでなくとも、それほど心配する必要はなかったと思います。

いきものを育てることの難しさに直面

『わんまん』に込められた願いは、そういった体験からきているのですね。
他に犬と暮らしていて大変だと感じたことはありますか?

アボット奥谷さん

自分の時間が取れなくなることです。シー・ズーの散歩は1日30分程度と聞いていたのですが、ぺろ太は1日3時間くらい歩きます。

1日3時間散歩をしている

3時間も! とても元気ですね。

アボット奥谷さん

散歩の後にブラッシングなどをしたりすると、全部で4時間くらいかかってしまいます(笑)

散歩中のとても楽しそうなぺろ太くん

では逆に、よかったことや嬉しかったことを教えてください!

アボット奥谷さん

独身の僕にとって、一緒にいてくれる存在がいることは嬉しいですね。

それから、ある程度一緒に行動できるところも犬の魅力だと思います。少し遠出をしたり、ご飯を食べに行くなどの何気ないことも楽しいイベントになります。自分の時間が取れなくなる代わりに、幸せな時間が増えました。

今までとは違う日常

大変だとしても、幸せな時間がそれ以上にあるということですね。
今後の活動について、目標はありますか?

アボット奥谷さん

いつか『わんまん』を書籍化したいと思っています。

それから、『わんまん』の展示会や個展もしたいと思っています。
2024年12月に、愛犬と飼い主さんの似顔絵を描く「似顔絵イベント」を行い、ファンの方々の生の声を聞くことができとても充実した時間を過ごせました。またファンの方々と交流する機会を作りたいですし、それが『わんまん』でできたらすごく嬉しいです。

ありがとうございます。最後に、この記事の読者にメッセージをお願いします。

アボット奥谷さん

『わんまん』は、ベテラン飼い主さんからしたら歯がゆい内容かもしれません。ですが、自分がしてきた失敗を漫画にしているので、ベテラン飼い主さんは昔を懐かしんで、お迎えしたばかりの方は、失敗を気にしすぎずに、お気軽に読んでみてください!

ありがとうございました! これからの作品も楽しみにしています!

アボット奥谷
イラストレーター。三重県出身。雑誌、書籍、web、映像、アパレル、アイドルグッズなど、さまざまな媒体で幅広く活動中。
X:https://x.com/abbottokutani
Instagram:abbott_okutani