見逃さないで! 愛猫が出す体調不良のサイン

猫は本能的に体調不良を隠すことがあり、その変化に気付くことが遅れてしまう場合があります。しかし、日頃から愛猫の様子をよく観察することで、異変を早期に発見し、適切なケアを行うことができます。

本記事では、初めて猫を家族に迎える方や迎えたばかりの方に向けて、猫が体調不良の際に見せる主なサインとその見分け方をご紹介します。

食欲や飲水量の変化

健康な猫は、規則的な食事と一定量の水を摂取しますが、体調が悪くなるとこれらに変化が現れます。

急に食べなくなる

普段はよく食べる猫が突然食べなくなったり、食べムラが起きたりすると、それは体調不良のサインかもしれません。長期間食事を食べないと、肝リピドーシス(脂肪肝)になる危険性もあります。子猫は半日、成猫は1日以上食欲がない場合は注意しましょう。

飲水量が増える

水をたくさん飲んでいると、なんとなく健康そうに見えるかもしれませんがそうではありません。飲水量が増える代表的な病気には慢性腎臓病や糖尿病、甲状腺機能亢進症などがあります。普段から、愛猫の飲水量が増えていないか意識してみてください。

トイレで見られる異常

猫の健康状態は、トイレの様子に反映されることが多いです。以下のような変化が見られた場合は注意が必要です。

排尿回数の変化

トイレで頻繁に排尿をしている場合には、膀胱炎や尿道閉塞など、下部尿路(膀胱と尿道)に問題があることが多いです。また、トイレで気張っているのに排尿できていない場合は大問題です。尿道に何かが詰まって尿道閉塞を起こしている可能性があり、命に関わる危険な状態です。

排尿量の変化

尿の量が増えていることは、体調不良のサインの一つです。糖尿病や慢性腎臓病、甲状腺機能亢進症などいくつかの病気では尿の量が増えます。それに続いて飲水量が増えます。普段から尿の量を意識しておくと早く気づくことができるでしょう。

下痢をしている

いつもより便が柔らかい場合は注意してください。排便の回数や便の色、トイレで気張っていたか、食欲はどうかなど観察しておくとよいでしょう。動物病院に便を持って行くと検便をすることができます。

便が固すぎる

便が硬すぎる場合は、便秘の可能性があります。気張っているのに出ないなどの症状がないかよく見ておきましょう。

トイレを掃除する時には、尿や便の状態を観察することが重要です。異常を感じた場合はすぐに動物病院に相談しましょう。

動きや仕草の変化、体重の減少

猫の動きや仕草、体重の変化は体調を示す重要なサインです。以下のポイントに注意してください。

動かなくなる、隠れる

普段は活発な猫が一日中動かず隠れている場合、体調が悪い可能性があります。痛みやストレスを感じている時に見られる行動です。

毛づくろいをしなくなる

健康な猫が日常的に毛づくろいをしなくなった場合、口内の病気や関節の痛みが原因であることがあります。

体重の減少

抱っこした時や触れた時に骨ばった感じがする、明らかに痩せていると感じる場合は、内臓疾患や代謝の異常が考えられます。

普段の愛猫の行動や体格をよく把握しておき、日々の健康チェックを習慣化しましょう。特に体重は定期的に計測することで、健康状態の変化をいち早く察知することができます。

おわりに

猫の体調不良のサインを見つけるためには、毎日しっかり観察し、普段と違うところに気がつけるようになることが大切です。トイレ掃除の時や触れ合う時などに細かくチェックする習慣をつけ、大切な家族と長く健康にいられるようにしましょう。

【執筆】
服部 幸(はっとり・ゆき)
1979年生まれ。北里大学獣医学部卒業後、2年半の動物病院勤務を経て2005年にSyuSyu CAT Clinic院長を務める。2012年、江東区に東京猫医療センター( https://tokyofmc.jp/ )を開院、院長として猫の専門医療にかかわりつづける。2014年にねこ医学会(JSFM)理事に就任(現副会長)。『ネコにウケる飼い方』(ワニブックス)、『イラストでわかる! ネコ学大図鑑 』(宝島社)、『猫を極める本 猫の解剖から猫にやさしい病院づくりまで』(インターズー)など著書多数。