藪の中には逞しいトラ柄模様(よこはま動物園ズーラシア)
スマトラトラはこんな生き物
スマトラトラ(食肉目ネコ科・学名Panthera tigris sumatrae)は、インドネシアのスマトラ島のみに生息するトラで、トラの中で1番体が小さいと言われています。スマトラ島は、日本の国土の1.25倍の面積があると言われていますが、野生のスマトラトラの生息数は300頭程と、現地でもめったに見ることのできない動物です。
野生では、日本にはいない種類のシカやイノシシの仲間を捕まえています。当園では、シカやイノシシを用意できない代わりに、牛や馬、鶏の肉を栄養バランスを考えて与えています。

主な行動は一般的なイエネコとほとんど同じですが、大きく違うところはイエネコが苦手としている水を好むことです。当園でも夏の暑い日に体温を下げるため水に浸かっている様子をよく見ます。

当園では現在、デル(メス、18歳、ムジュの母親)、アカラ(オス、11歳)、ムジュ(メス、5歳、デルの娘)を飼育、展示しています。
※情報は2025年2月時点のものです。
スマトラトラの日常
9時30分の開園までに展示場に放飼します。日によって異なりますが、展示場にはおもちゃや肉を置いて動物たちが飽きないようにしています。
動物が展示場に出た後、寝室の掃除を行い、昼前に個体の入れ替えや餌を与えています。午後からは、寝室にワラを敷いたり、餌を置いたり動物を入れる準備をします。
展示場に出ている個体より少し早く、展示場に出ておらず日中非公開場所(サブ運動場と言います)で過ごしている個体を収容し、サブ運動場の掃除を行います。
16時30分に閉園した後は、展示場に出ていた個体を収容し、展示場の清掃をします。

特に気を付けていることは、個体の移動です。人と動物の接触はもちろんですが、お互いに姿を見せることを避けている個体もいますので、厳重な施錠確認と人の確認不足を補うための設備があります。
飼育員さんの小話
トラたちにも個体同士のコミュニケーションがあります。わかりやすいのは、犬歯を見せて唸ることで相手を威嚇する行動です。他にも、耳の角度を変えて耳裏の模様(虎耳状斑)を見せることでコミュニケーションをとることがあります。
中でも、1番皆さんが知らないであろうコミュニケーションは挨拶です。トラの挨拶は、「フフフン」と鼻を鳴らすことで相手への親和性を示します。親子や兄弟間でも見られる挨拶ですが、人工哺育の個体では人に対して鼻を鳴らす個体もいます。当園では、ムジュが人工哺育で育っているため、よく鼻を鳴らして挨拶をしてくれます。

飼育員さんが教えるスマトラトラの見どころ
トラの最も有名な特徴は「トラ柄模様」であり、スマトラトラはより色が濃い傾向にあります。そのトラ柄が自然の景観の中でどのように見えるのか、展示場と併せて見てください。パッと見つけられるのか、それとも藪に入ってしまうとなかなか見つけることができないのか。一説によると、草食動物は白黒の世界を見ていると言われていますので、ぜひ草食動物の立場になってトラを観察してみると面白いかもしれません。

【文・写真】
よこはま動物園ズーラシア
〒241-0001 横浜市旭区上白根町1175-1
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公式サイト:https://www.hama-midorinokyokai.or.jp/zoo/zoorasia/
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