みんなといれば怖くない（宮崎市フェニックス自然動物園）
グラントシマウマはこんな生き物
グラントシマウマ（哺乳網奇蹄目ウマ科・学名Equus burchellii boehmi）は、アフリカ東部のサバンナ地帯に生息しています。
シマウマは、大きくヤマシマウマとグレビーシマウマ、サバンナシマウマに分けることができ、グラントシマウマはサバンナシマウマの仲間（一亜種）です。
体重は200～300キログラムで、草や木の葉、木の芽を食べて、群れで生活をします。オス１頭にメス数頭の群れをつくり、若いオスはオス同士で群れをつくって過ごしています。エサ場を求めて移動する際に、別の群れと重なり数百～数万頭の群れになることがあります。
ハイエナやライオンなどの肉食動物に狙われることがありますが、後肢の蹴りで致命傷を与えることもあります。
シマ模様は、擬態や群れでいることで標的を絞りにくくするなど言われていますが、吸血性のハエがシマ模様の上に止まることが少ないという研究結果が様々な研究機関から報告されています。あのシマ模様は、吸血性のハエが媒介する致命的な病気にかからないようにするためのものなのかもしれません。言われてみれば、当園で飼育するシマ模様のないポニーとロバのほうが、サシバエの影響を受けている気がします。
当園では現在、メス７頭（ナツコ・ナツミ・ナツナ・コナツ・ナミ・ソラ・テルハ）、オス３頭（コタロウ・ナツキ・ナツオ）を飼育、展示しています。「ナツ」を含む名前が多いのは母親「ナツ」の名前を取って付けたからです。ひそかに「ナツ一族」と呼ばれています。現在飼育している個体は全て「ナツ一族」です。
※情報は2025年２月時点のものです。
グラントシマウマの日常
当園のシマウマは、キリンやダチョウと一緒にアフリカ園という展示場に放飼しています。
朝、異常がないかを確認した後エサ場の掃除をし、１回目のエサをあげます。シマウマ達も、エサ場にきて待っています。そのあと、展示場の掃除をしながらエサをよく食べているか、下痢をしていないかなど、健康面のチェックもあわせて実施します。
３～11月頃は、近くの牧場で作ってもらっている青草（牧草）を刈り取りに行きます。青草は園全体の草食動物用のエサになるので、機械で約400キログラムを刈り、２トンダンプカーへ人力で積み込み、持ち帰ります。昼にその青草を与え、午後のエサの準備や動物のガイドなどのイベント、壊れている所の補修などをします。１日の最後に、掃除とエサを与えます。
飼育員さんの小話
シマウマの鳴き声を、聞いたことがありますか？ 馬の鳴き声が分かる方は多くいるかと思いますが、シマウマは聞く機会が少ないと思います。馬よりも、ロバの鳴き声の方がシマウマに近く、聞く人によっては犬の鳴き声に近いと言われています。
それから、シマ模様を持つトラの地肌はシマ模様ですが、シマウマの地肌はシマ模様ではありません。赤みがかった黒に近い灰色です。
飼育員さんが教えるグラントシマウマの見どころ
野生下ではなくても不安なのか、水飲み場や餌を食べに行くときも群れで移動する様子を見ることができます。みんなで水を飲むかと思いきや、飲まずに戻る個体もいます。シマウマ同士、いつ行くか話しているのでしょうか。
シマウマのシマ模様はそれぞれ違っており、個体識別ができるようになるといつも一緒に行動しているのが親子であったり、同じ時期に生まれた仲良しグループだったりすることに気が付きます。エサを食べる場所（誰の隣で食べるか）も決まっているのが面白いです。
当園には、キリンが好きなシマウマが２頭います。名前は「ナツナ」と「コナツ」で、多くの時間をキリンのそばで過ごしています。特にキリンの赤ちゃんにはご執心で、まるでボディーガードのようについて歩きます。
当園では毎年動物総選挙を行っており、2024年の３月にはシマウマ総選挙を開催しました。同年１月に誕生したキリンの子どもが注目を浴びていたので、同じ展示場にいるシマウマにも注目してほしいという想いで実施されました。
10頭のシマウマの見分け方や、「シロクロつけようじゃないか」というキャッチフレーズをつけて選挙ポスターを作り、園内５カ所に張り出しました。
春休みを利用して約２週間の選挙期間で実施し、１番投票が多かったのが「コナツ」でした。キャッチコピーは、「キリンと仲良し」だったので、キリンにあやかって当選したのかもしれません。
【文・写真】
宮崎市フェニックス自然動物園
〒880-0122 宮崎県宮崎市大字塩路字浜山3083-42
TEL：0985-39-1306
公式サイト：https://www.miyazaki-city-zoo.jp/
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