馬が好きで、馬に関わるお仕事を目指す人のための学校があることをご存知でしょうか? 獣医師や愛玩動物看護師などがそれぞれ専門的なことを学ぶための学校やコースがあるように、馬にも専門的な学校があります。
今回は、馬のプロを育てる「アニマル・ベジテイション・カレッジ」の江里口校長先生に学校で学べる事や卒業生の進路先などについて、現在学校に通う生徒さんに将来の目標と、それに向けて頑張っていることなどをお聞きしました。
職業として馬と関わり続ける
―アニマル・ベジテイション・カレッジはどのような学校なのでしょか?

馬とともに学び、職業として馬と共に生きていく人のための学校です。
馬のお世話をしながら、接し方や扱い方、乗り方、調教の仕方などを学び、馬術の競技会にも参加します。

―卒業生はどのような職業に就くのでしょうか?

主な就職先は、競走馬の育成や生産をする牧場や、JRAの厩務員、乗馬クラブのスタッフ、そして騎手などです。
―それぞれ就きたい職業によって選択するコースも変わるのでしょうか?

コースによって、各分野に特化して学ぶことができます。しかし、生徒全員が馬の扱い方や馬術などを全体的に学ぶので、どのコースでも馬に関わる職業全般に就職することができます。
―馬関連の仕事であれば、どこに行っても通用する力を付けられるということですね! その他、アニマル・ベジテイション・カレッジならではの特徴を教えてください。

乗馬クラブと併設しているので、一般のお客さんとも交流する機会があります。その中で社会性を培うこともできます。
それから、競技会を毎月1回以上行うので、緊張感がある状況に慣れ、本番に強くなれると思います。
―より実践に近い学びができるのですね。

馬といういきものを扱う仕事の性質上、大きな失敗は許されません。1週間のインターンシップ制度もあり、就職先をよく見ることができます。そういう側面からも本番に強い人材になれると思います。
―いきものを扱う仕事だからこそ、気持ちの面で強くなることも大切ですね。
馬に関わるお仕事に興味がある方へメッセージをお願いします。

馬が好きなことが何よりも大切です。
馬の体は大きいので、体全体を使ってお世話することになります。
馬への気持ちを大切にできて、職業として馬と共に生きていきたい人と会えることを楽しみにしています。

馬ならではの魅力を作り、伝えたい
―それでは、生徒さんにもお聞きしていきます。お名前と、入学した理由をお教えてください。

2年生の佐々木孝輔(ささきこうすけ)です。
競走馬関係の仕事に就きたいと思っていて、乗馬技術を高めるためのステップとして入学を決めました。


同じく2年生の瀧澤咲良(たきざわさくら)です。
中学生の時に通い始めた地元の乗馬クラブをきっかけに、馬に関わる仕事につきたいと思い、入学しました。

―佐々木さんは、具体的にどのように競走馬と関わっていきたいですか?

JRAの厩舎スタッフになりたいと考えています。
いつか、日本ダービーで活躍するような馬を育てたいです。
―そう思うようになったきっかけは何でしょうか?

日本ダービーを初めて見たときに、競馬の世界にハマったからです。限られた馬しか出走できず、どの馬にも個性と、濃いバックストーリーがあることに驚きました。その競走馬の魅力を作る側になりたいと思っています。
―滝沢さんは将来の目標は決まっていますか?

観光養老牧場への就職が決まっています。就職したら、馬を好きになる人を増やしたり、馬の魅力を伝える活動をしていきたいです。具体的には、馬車に乗る体験だったり、引退競走馬とのふれあい体験など、馬とかかわる機会をたくさん提供していきたいです。
馬の目線で考える
―では、学校生活での楽しい瞬間を教えてください。

授業の後に「これがうまくいかなかった」「次はこうしてみようと思う」など、同級生と話し合っているときが楽しいです。いろいろなアドバイスももらえますし、同じ悩みも聞いて、一緒に乗り越えられたときは最高です!
―学校だからこそ感じることができる楽しみですね。

私は、毎日のお世話が楽しいです。特に運動後のお手入れの時間が好きです。馬によってはお手入れを嫌がる子もいますが、コミュニケーションをとりながらお手入れをしてあげると喜んでくれます。


馬によって個性や性格が違うので、声をかけながら好みのブラッシングの仕方を探ったりしています。
―では逆に、大変なことは何でしょうか?

瀧澤さんがコミュニケーションについて話していましたが、言葉が通じないという点は難しいです。
―コミュニケーションを取る上で気を付けていることはありますか?

何を求めているのか、その日の体調や痛い箇所はないかなど、いつもと違うところを見逃さないように注意深く観察しています。大変ではありますが、可愛くもあって、馬と関わる醍醐味だと思っています。


大雨の日や風の強い日もお世話をする必要があるので、そういう日は大変です。
天候が悪いと物見(馬が何かに驚いて騒いだり、止まったり、横に飛んだりすること)が多くなるので、いつもより多くのことを考える必要があります。
―天候の悪い日などに気を付けていることはありますか?

馬は記憶力が良いので、一度部屋の前に何かが飛んできて怖い思いをすると部屋から出たがらなくなってしまいます。そうなることを防ぐために、飛んでいきそうなものは仕舞っておくなど、事前に対策をするようにしています。
―最後に、将来の目標に向けて今頑張っていること、今後頑張りたいことを教えてください

乗馬の基礎スキルを身に着けられるように努力しています。馬は乗る人の練度によって、動きが変わります。上手な人が乗った後だと、乗りやすく状態のいい馬になります。私もコンディションの良い馬を育てられるようになりたいです。


引退競走馬などの怪我をしてしまった馬が来る場所で働くので、今まで頑張った馬が快適に一生を過ごせるような環境づくりを頑張りたいです。
馬は暑さに弱いので、風が一頭一頭に当たるように工夫をしたり、馬場に出る前に水をまくなど、小さなことでも馬が心地よく生きていけるようにしていきたいです。

ありがとうございました! これからも馬と共に、夢に向かって頑張ってください!
アニマル・ベジテイション・カレッジ
馬のプロを目指すための学校。ジョッキー、厩務員など多くの馬のプロを養成している。