沈まない太陽の下での豊かな時間
コペンハーゲンからオールボー空港まで飛行機でおおよそ45分。オールボー空港からさらに北に向かって車で走ること約50分。デンマークのユラン半島北部にある「Tversted=トヴェルステッド」という小さな町に着きました。
初夏に近づく季節にデンマークを訪れましたが、まるで白夜のように日の沈まない夜、日の沈まない空を経験したのは人生で初めてでした。
長く厳しい冬の後、沈まない太陽の光を思う存分楽しむデンマークの人たち。時計を意識せず、明るさがある自然の中で家族や友達とティータイム、ディナーやバーベキューをしながら永遠のようにも感じられる一日を楽しんでいました。日本の分刻みで行動する生活スタイルとは逆で、こんな毎日が贅沢で幸せな時間である感じ、心がリセットされていく気持ちに包まれました。

日が沈んでいる時間が短いので、日が昇ったこともあまりよくわからないまま、朝6時過ぎにホテルを後にし、トヴェルステッド ストランドを散歩しました。森の中を、いくつもの緩やかな丘を越えながら海に向かう途中、ハンターに出会ったり、トレッキングやロードバイクを楽しんでいる人たちと「Hej=ハイ」とあいさつを交わしました。

海に到着すると、デンマークで人気のラブラドールレトリバーやゴールデンレトリバー、ジャーマンシェパードなどの大型犬ばかりに出会いました。どの犬たちも、飼い主と散歩や流木で遊んでいました。


滞在中、知人にデンマークの犬事情を教えてもらいました。とても驚いたことは、犬を外で飼ってはいけないという法律でした。どうしても犬を外で飼わなければならない場合は、雨や雪、暑さをしのげる暮らしやすい犬小屋が必要だそうです。
長い一日をゆったりと過ごすトヴェルステッドでは、人も犬もストレスフリーな毎日をすごしているのだと感じました。

【写真・文】
蜂巣文香(はちす・あやこ)
写真家。犬、猫、コンパニオンバードなどのペット写真をはじめ、手仕事やライフスタイルなどさまざまな分野で“伝わる”写真を日々撮影している。広告や雑誌、書籍、WEBなど幅広く活躍中。欧米を中心とした海外での撮影経験も豊富。愛犬雑誌「Wan」(緑書房)でもおなじみのカメラマンで、柴犬をモチーフにしたカレンダーシリーズ「しばいぬ(卓上)」「日本の柴犬(壁掛け)」「黒柴(壁掛け)」(緑書房)も毎年好評を博している。
Instagram:dogtionary_hachi
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